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一人と独り  作者: 金平糖
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名付けるなら、終わり。

思い立って書いてみました。

読みにくい部分もあるかもしれません。

貪りついている。

宅配で頼んだ肉を手で掴み、それこそ骨の髄までむしゃぶりついている。

食べながらふと前を見ると、部屋の窓から古臭い団地の並びが見える。

青い空、白い雲、外だけが明るい薄暗い部屋で舞子はひたすら肉にかぶりついていた。


私は何してるんだろう。


きっと誰もが生きている中で一度や二度は抱く感情。であろうが、舞子には毎日訪れる。寝入るその時まで、そして起きた瞬間から。


油まみれになった手を止めた。数分で食べきってしまったためだ。

無造作に着ているシャツにその手を擦り付け、モソモソとゴミを台所のシンクに放り投げた。

洗わなくたって、分別しなくたって、誰も何も言わない。咎められることもない。

もちろん、舞子は一人だからだ。


カサ、と少し音がしたような気がしてそちらに目を向ける。

『ゴキブリ…では、ないか。』

散らかった部屋にとうとう出たかとも思ったが、舞子の頭に過ぎったのは全く違う感情だった。


ふ、と思い出しながら口の端を少し上げ、舞子は着替えることも、風呂に入ることもなく、敷いたままだった布団に潜り込んだ。



当たり前のように出るゴキブリ、下の階から流れる古い歌謡曲、包丁を握りしめた母、つむった瞼の裏に鮮明に映し出される。


それが普通の家庭だと、思っていた。


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