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怪異子葬  作者: エマ
44/44

File.41 覚めない夢

ブ〇アカで推しが来ない……水着ハ〇コ欲しい

 推しが人権って凄く嬉しいんだよ……当たって欲しい

 というかハ〇コの複雑なようで脆い心の中が好きなんだ

 雨の日のストーリーとか、この子は絶対に一人で思い悩ませたらダメだって思わせてくれるから好きなんや

 ずっと隣に居たい

 当たって欲しい……


 まぁ本編どうぞ!!!!!!



「疲れた 」


 死体があるエレベーターを出た。

 本当なら燃やしてやりたがったが時間が無い。せいぜい目を閉じさせることしか出来なかった。

 いやまぁ、あいつなんかどうでもいいか。

 先に進まなきゃ行けない。


(……やっぱりアイツが原因か )


 円柱を横倒しにしたような通路。そこを進んでいると、机の上の書類が目に付いた。

 丁寧に並べられたパソコンの文字、その上に殴り書かれた空無の文字。

 どうせそうだろうと思っていたが、やはり全ての原因は空無 真 に繋がるらしい。


「……ずるいなぁ 」


 フラフラ進む。

 この奥にある、あのスイッチまで。

 賞味期限……違う、正直今すぐ寝たい。

 つーかおやすみ3秒グッナイフォーエバーできるが、やらなきゃいけない。

 哀花のために。

 俺のために幸せになって欲しい哀花のために。


「あっ 」


 そんなこと思ってたら見つけた。

 今にも押してくれと言っている赤いレバーを。

 あれボタンじゃなかったけ?


 まぁ自爆スイッチなのには変わりない。

 それを掴んで引こうとしたが、その腕は小さな手に止められた。


「んだよ、来てたのかロリ 」


「ロリじゃないもん!! コフキだもん!! 」


「んな煮物みたいな名前だっけ? 」


「も〜う! 女の子に失礼だと思わないの!? 」


 ハムスターみてぇに頬を膨らませるコフキを無視して、レバーを下ろそうとする。

 が、やはり止められる。


「それ、いいの? 壁が爆発するヤツじゃなかった? 」


「ついでにこの研究所も爆発するぞ。ゾンビゲーみたいにな 」


「それは知らないけど……壁を壊したら外の怪異がなだれ込んでくるよ? たくさん人が死ぬよ? 」


「別にいいじゃねぇか。俺にとっちゃ他人だ。あと、怪異じゃあんまり死なねぇよ。たぶん人同士の争いが起こるからな 」


「……? 」


「まぁ良いじゃねぇか。手ぇどけろ、怪我するぞ 」


 小さな手が退いたのを確認し、レバーを下ろす。

 意外にも早く、地下全体に揺れが暴れ回った。恐らく壁は粉微塵だろう。

 これでようやく楽ができる。


 そう思うと、この空気のこもった通路が極上のベットに思えてきた。

 よし横になろう。


「あ〜疲れた。自分でやっといてクソゲーだなこりゃ 」


「汚いよそこ? というか歩ってさ、何をしたいの? 」


 最近よく聞かれる問い。

 今は言葉遊びをする元気がないから、とりあえず本音で答えることにした。


「人を助けたい。それだけだ 」


「……? 殺すとき楽しそうなのに? 」


「あぁ……つーか生き埋めになるぞ。逃げるなら逃げろ 」


「歩も着いてくの! これからは……一緒に居てくれるんでしょ? 」


「お前……マジでホストとかに気をつけろよ? いやほんと、人を見る目は鍛えた方がいい 」


「それ自分で言ってて悲しくならない? 」


「いや全然 」


 とりあえず起き上がり、コフキの手を取る。

 隣から変な声が上がったが、まぁ無視でいいだろう。

 性癖の対象外だし。


「じゃあ頼む 」


「う……うん 」


 そうして二人で、地上へ転移した。


 必要なものは手に入れた。

 あとは……俺の嫌いなお祈りゲーの時間だ。



ーーー



 私たちはビルの屋上に居た。

 手の届く範囲に、真城も彩音も。もう起きない学長と寝ている哀花も居る。

 でも、歩だけが居ない。


(さっきの揺れは何? なんであの少女は助けてくれたの? 歩が関係して? というか歩はどこ? あぁもう分からないことだらけよ!!! )


「っ!! 」


 後ろに誰かいる。

 振り向きざまにメスを三本突き刺し、そのままビルから蹴り落とす。


「ぎっ、あっ!! 」


 虫を焼いたような異音を放つのは、怪異。

 それは落ちていく。


 裂けた口を広げる、怪異の腹の中へ。

 口散らかされた四肢は小さな怪異に貪られ、その怪異は巨大な口によって丸呑みされる。


「なんでここに……怪異が 」


 ここは街の中だ。壁の中でもある。

 それなのに怪異がこんなにも居るなんて、異常すぎる。


「っ!? 」


 屋上にいるにも関わらず、揺れを足先に感じた。

 音がする向こう。そこには百鬼夜行のようなおどろおどろしい、怪異たちが群れを作り、こちらへ向かってきていた。

 それは進軍のようにも見えた。


「はいどうもこんばんは!! 」


「えっ? 」


 何処か聞き覚えのある声と共に、人影が舞い上がる。

 それは弓を掲げた知ってる男。

 学長の補佐をずっとしていた金髪のプリン頭。

 確か名前は……


「逆さで読んだらこいつ敵! 木手 槌子です!! 」


(そんな名前だったかしら )


 空中で身をひねり、矢を放つ槌子。

 それは遥か遠くの怪異たちへ吸い込まれるように飛び、小規模な爆発をあげた。

 だが怪異の勢いは止まらない。


「矢は現代兵器なんでしょぼくてごめんなさい!! あと動ける人は咲さん以外います!? 」


「居ません。みんな怪異化の疲労で」


「咲、状況は? 」


 振り返る。

 そこには立ち上がった真城が笑みを浮かべ、怪異の方を向いていた。


「なんか壁が壊れました! 今は民間の方の避難誘導中!! 前線で被害を抑えながらボーダーラインを作ってます!! とりあえず前線で暴れてきてください!! 」


「分かりました。あと久しぶりですね槌子さん 」


「そうッスね!! あと矢が切れたんですけどォ!!? 」


「ちょっと真城! あんた体大丈夫なの!? 」


「まぁな。むしろ調子がいい 」


「いやどう考えても異常でしょう!? ほんと無理してるなら」


「大丈夫だ 」


 念を押されるように強い言葉。そのせいで黙るしかない。


「申し訳ないですけどお願いします! 負傷者は全員保護しますから 」


「ちょ、私たち指名手配されてるんしょ!? 保護ってどこによ!! 」


「自分、思想はクズですけど学長側の人間です! なので任せてください!! 嘘ついたら殺してどうぞ!! 」


「殺すってあんたねぇ!! 」


「おはよ 」


 また聞き馴染みのある声がしたかと思えば、起きたのは笑顔の哀花だった。


「えっ、哀花アンタ……大丈夫なの? 」


「うん? 平気……かな? うん、平気。なんだか……胸が軽い。懐かしい。みんな……生きてるね 」


「えぇっと……大丈夫ならいいけど 」


「おわっ! なんか来てる!! 」


 下にいた裂けた口を持つ蜘蛛の怪異が、ビルの壁を走るように登ってくる。

 けれどそれは一瞬で、氷の矢によって消し飛ばされた。


「殺して良かった? 」


「まぁ……うん、助かったわ 」


「なんすかその威力! 自分の何億倍もあるじゃないですか!! ズルじゃないですかズル!! 」


「大人なのにうるさいわね! とりあえず真城は私と一緒に前線に行くわよ!! 哀花は彩音たちを守ってあげて 」


「うん 」


「自分も守ってくださいね! 弱いですから!! 」


 とりあえず煩い大人は無視し、真城に抱きついて飛び降りる。

 真城は刃を壁に突き刺し、勢いを殺して着地。

 そのままアドレナリンを打ち、二人で道を走る。


「咲。お前も大丈夫なのか? 怪異化も能力も大量に使ったろ? 」


「大丈夫。薬で誤魔化せるし、体内の疲労はコントロールできるから 」


「それでも再生能力は落ちてんだろ。あんま前に行くなよ 」


「えっ、うん 」


 なんだか言葉が強い真城。

 普段の少し落ち着いた態度と相まって、少しギャップを感じてしまう。

 もちろんいい意味で。


「助けて!! 」


 道の真ん中。

 傷だらけの大人たちに囲まれるように、助けを求める子供がいた。

 真城はすぐさまその首を跳ねる。

 私は周りの大人を治癒する。


「なんでバレっ」


「返り血くらいつけろよ 」


「怪異だってバレバレよ 」

 

 跳ねた首を蹴り潰し、そのまま全力で走り続ける。


「思ったより被害は少ないわね。まぁあの時に比べたらだけど 」


「……でも妙だ、被害が少なすぎる。パンドラが壊れて、戦力は少ないはずなのに、なんで死者がそんなに出てない 」


「確かに壁が壊れたにしては変ね。誤報……いや、そんな訳ないし。そもそもなんでこのタイミングで壊れたのかしら 」


 怪異を片手間に処理しながら考える。


 壁が壊れたとするのなら、それは自爆スイッチみたいなものがあったんだと思う。

 証拠隠滅、アイツの口ぶりからして国民を処理することも考えているだろうし。

 あのタイミング、それが出来るのはあの夢の怪異を持つ少女。

 そして黒幕のようなヤツと……歩。


(いや、歩に壁を壊す理由は無い。無いわよね? いやアイツに限って…… )


 思考の道が途切れ、やっと気がついた。

 私はアイツのことを全く知らない。

 アイツはずっと、何を考えてるか分からなかった。


「咲、着くぞ 」


「あっ、ごめんなさい 」


 勉強でよくやることだ。分からない問題は後回し。

 この国の前線、怪異が自分たちの体を潰し合うほどに密集した地獄に。

 今、着いた。



「詠唱は事前にしておけ! 死を悟れば必ず怪異化をしろ!! 隊列は崩していいが必ず後衛に引け!! 治癒用の怪異はある!! 貴様ら一人一人が貴重な兵力だ!! 決して無駄にするな!!! 」


 慌ただしく人が蠢き、怪異に殺し殺されを繰り返す人の群れの中心。

 そこに古臭い軍服を着た一人の大人が居る。

 その男は私たちに気がついた。


「指名手配犯……真城さんと咲さんだな 」


「何? こんなクソ忙しい時に規律でも気にする訳? 」


「手を貸してほしい。この際、指名手配のことは帳消しとする 」


「何上から目線でもの言ってやがる? てめぇ政府関係者だろ? なら色々と勘づいてるんじゃねぇか? 」


 やはりらしくない、真城の荒々しい口調。

 けれど大人は悪びれる様子も迷う様子もなく、この血に汚れた地面の上で土下座をした。


「時間がない。詫びる時間もその怒りを受ける時間も。手を貸してほしい。たのむ 」


「……咲、離れるな 」


「えっ、はい 」


 前線に走る真城を追いかける。

 怪異たちが群がる前線。そこは赤かった。


 どれが肉で人か。どれが足で血かも分からないほどに、すり潰れ叩き潰され交わっていた。

 悲鳴が聞こえる。

 それが唯一の生きているものだと知らしめてくれる。


「助けっ」


「生き摘め 」


 けれどその地獄は、放たれた刃によって黒く染め上げられた。


「真城……なにそれ? 」


 それは見たことがない怪異だった。

 真城の怪異は、白い爪を増殖させるもの。なのに爪は黒く変色し、真城の口からは白い息が出ている。

 心なしか辺りも寒い。けれど私にはその爪が感染していない。


「言ったろ、調子がいいんだ今 」


 白く凍った右腕を振るう真城。

 それだけで辺りは黒く染まり、怪異が巻き上げた血しぶきすらも黒に呑まれていく。

 それは明らかに異常な光景だった。


(能力が急に変化? 何が起こってるの? )


 異常の中、辛うじて息のある人たちを治癒していく。

 分からない。なんで急に。

 よく見れば死体以外に爪は感染していない。

 私を含め人は無傷だ。


(あっ )


 一つだけ心当たりがあった。

 昔、死を前にした仲間の怪異が変わったことがある。

 後で聞いたけどそれは、心変わりがあったからだと。


 人の心が、怪異を歪めた瞬間。

 人の殺意にも似た覚悟が、怪異を壊した瞬間。

 それが真城にも訪れたんだと思う。


(なら異常じゃない。真城は無事。無事。ぶ…… )


 そう思いたかった。

 でも真城は私が治した人を平気で巻き込み、すり潰し。

 笑っていた。


「さな」


「咲!! 」


 真城は私の後ろを見ていた。

 駆け上がった死と痛み。気がつけば心臓は刀に貫かれ、後ろには全身に口を開いた人間たちが居た。


「廻異化 」


(さっきまで生きてた人が……寄生するタイプ、あっ )


 心臓の周りごと吹き飛びして離脱。

 そのまま治癒するが、気がついた時には遅かった。


 頭が割れ、脳から細長い棒切れを伸ばす人間が周りを覆っていた。

 そしてしきりに、こう呟いていた。


「「「「「「廻異化 」」」」」」


 怪異の能力は初見殺し。

 実際に怪異との戦闘で必ずと言っていいほど人が死ぬのはそれが原因。

 それが複数。その悪意が全方向から向けられた。


(縺ゅ◆縺セ縺?◆縺?∩縺ソ縺後>縺溘>縺ゅ◆縺セ縺ソ縺ソ繧?縺ュ縺九i縺?縺斐∩縺?◆縺?¥繧九@縺?@縺ュ縺翫∪縺医?縺励?縺上?縺ォ縺?◆縺ソ縺励?繧九d縺」縺溘?縺励?縺励?縺励? )


 同時に喰らった耳が聞こえない目が見えないし目が見えるし目の前が歪んでゆがんで傾いてる

 ぐらぐらおかあさん退化して脳みそを壊してもおほしさまがきっと治りなさ


「廻意化 孤独の」


 誰の声あのときたきづいてたらおかあさんは真城の声


「怪異化 後悔の怪異 」


 首を跳ねられると同時に、意識がハッキリとした。


「意識があるのなら退け、ここは引き受ける 」


 先の嫌いなタイプの大人が目の前にいる。

 その右腕は黒く自傷痕のように変質しているが、怪異化の変化は右腕にだけ現れている。

 恐らく大人だから、感情が足りていない。

 むしろ怪異に呑まれかけている。


 なのに彼は私を真城に投げ、そのまま怪異に突っ込んだ。


 そして一瞬にも満たない時間で、ねじれた肉塊へと変わり果てた。


「捕まれ!! 」


「っ!! 」


「放て!!! 」


 上空から落ちてくる鉄塊。

 それは地面に突き刺さり、凄まじい勢いで鉄同士が手を繋ぎ、薄くはあるが広い壁が瞬時にできあがる。


 そこを駆け上がり、即席のボーダーラインの向こうへと着地する。


「大丈夫ですか!? 」


「……あんた 」


 パンドラの制服を着た女の子が駆け寄ってきた。

 その子の名前は知らない。でも顔は知ってる。

 討伐部隊の後ろでよく震えていた、目元を隠した女の子だ。


「怪我は!? 」


「俺はない。咲は? 」


「大丈夫……治したわよ。それよりこの人たちは? 」


 周りにはパンドラの制服を着た同級生たちが居た。

 無駄なく前線を張り、前が死んでも間を作らないような隊列を組む。

 まさに援軍が来てくれたような。

 そんな心強さがあった。


「あの襲撃の生き残りです。私と同じように、歩さんが事件の中心から遠ざけてくれたから生き残れました 」


「歩が……いや待って、こんな人を集めたらまずい。もっと広範囲に守らないと 」


「いえ、大丈夫です。怪異はここ周辺にのみ集まっていますので 」


「つまり……ここに集中したってこと? 」


「いえ。えっと……ここ以外に怪異の気配がないんです。集中したと言うよりは、ここにしか居ないと言いますか 」


「……なぜ? 」


「わ、分かりません。でも! ここさえ抑えればボーダーラインを作れますし!! このまま耐えて行きましょう!! 」


「あっ 」


 誰かが声を上げた。

 瞬間、上、空に。

 口を開けた龍が落ちてきた。





(……? )


 腕で首と顔を守り、即死を防ごうとした。

 が、私は無傷だった。

 その代わり、目の前にいる目元を隠した女の子は、私たちを守るように倒れていた。


 それと同じように、さっきまで動いていた人であったもの達は叩き潰されるように潰れていた。


「いた……い 」


「っ!! 」


 助けるために体が動く。

 けれど私と同じスピードで、口のついた怪異が突っ込んでくる。

 

 あれは龍の肉片だろうか。

 死にかけの人間程度は一口で喰えるほど大きい。

 治しても喰われて即死するかもしれない。

 私も即死するかも。

 でも助けたい。

 自分が死んでも。

 もう……あの後悔はしたくないから。

 助けられた人を、自分のせいで失いたくない。

 だから手を伸ばす。


「あれ 」


 手が触れた。

 治癒する瞬間、迫る怪異は粉々に。

 生徒の首はすくい上げるようにもぎ取られた。


「咲じゃん。休めよ、過労死するぞ? 」


 そいつは普通の顔をしていた。

 まるで街を歩くみたいに生首を持って、当たり前みたいに。


 見知った顔、よく見た顔。

 それが今、一番いて欲しくないところに居る。


「なんであんたが……仲間を殺してんのよ! 歩!! 」


「さて……おほん!! 」


 私を無視して、歩は無線用のマイクを手に取った。

 そして音が後ろの街から聞こえ、壊れかけた街に声が響いた。


「どうも、空無 歩です。これから怪異を呼び寄せる枝を、俺が一週間ずつ街の中心に投げる。まぁ目的は人類滅亡だ。せいぜい頑張れ〜 」


 音が途切れ、地鳴りが聞こえた。

 そして空から、ミサイルのような、神話の世界樹のようなものが、街の中央に降り注いだ。


「いやぁ、よく物が落ちてくる日だな 」



 意識が飛ぶほどの爆音。

 そして揺れる目の焦点が落ち着くと、歯を見せて笑う歩の顔が見えた。


「さて。壁を壊したのは俺だ 」


 生首を腕に乗せて、目を泳がせながら歩は言う。


「ここに怪異を降らせたのも俺で……あ〜、お前らを巻き込んだのも俺だ。つーか地下の研究所に行ったのも、さっきの能力が欲しかったから誘導しただけだ 」


「……嘘が下手ね 」


 そもそもそれがホントなら、私たちを助ける必要が無い。

 一緒に行動する理由も、なんなら勝手に一人で行ってくれば済む話だ。


「いや嘘じゃねぇよ……ほら、生首持ってんだぞ? 目の前で殺したんだぞ! 」


「じゃあなんで捨てないのよ。殺した理由は知らないけど、私たちの敵って言うなら死体くらい雑に扱いなさい 」


 そこまで言っても、歩は生首を大切に扱っている。

 顔には触らず、長い髪すら地面に着いていない。

 風で揺れる前髪から痛々しい古傷が覗いているが、それは治りかけている。


 まるで愛した人に死化粧を施すように、別れを惜しむように、歩は死体を大事に抱えている。


「ぶっちゃけよく知らない子だから、あんたが殺したとかどうでもいいわよ。仲間が無事ならそれでいいわ 」


「いや……そんなこと言うなよ。もっと自分の心を大切にしろよ 」


「あら? 私はアンタがよく知る通りの自己中女よ? それに 」


 困った顔をする歩。それがカンに触った。

 こいつはいつも真実を言わない。

 いや、本音を隠してる。

 だからそろそろイライラが限界で、コイツをぶん殴りたくなった。


「あんたがどうとか! 何をしたとかどうでもいいのよ!! 本音を言いなさい!! 私が求めるのはそれだけよ!!! 」


「哀花を助けたい 」


 その目が私を見た。

 それだけで本音だと理解した。


「そのために、この国を終わらせる 」


 真っ直ぐな目。

 そして歩は生首を置き、まるで目を背けるように振り返った。


「俺はもう、お前らに会わない 」


 空を見て笑いながら、壁が無くなった道を歩は進んでいく。

 その隣にはいつのまにか、私たちに舌を出すあの少女がいた。


「俺は好きな地獄を選んだ。お前らはまぁ…………二人で地獄を歩めよ。幸せにな 」


 そう言って歩は、ここから去った。

 相変わらず気色の悪い、祝いの言葉だけを残して。



 


 




 

へいへいへいへいへいへい、名前のない章が一旦終わりましたよ〜

 離反イベとかいう、これから展開だれるじゃん天下無双ですよはい


 あっ、ちなみに真城くんが後半で無言なのは、歩くんから咲さんを守るために神経を尖らせてたからです

 動いたら殺すぞ系男子になってました


 あと目隠しちゃんですが、昔イジメで顔に火傷跡が残ってるので、ずっと目元を隠してました(理科の授業中、絶対故意にアルコールをかけられ燃かれたのに、授業中の事故として処理されてイジメっ子共々『これから気をつけようね』と笑顔で対処されて心が折れてました )

 まぁ死ぬ直前に、歩くんの怪異で心の傷を治されたから幸せな状態で死ねましたよ

 ちなみに顔が治ったとしても疑心は消えないので、あのまま生きてたらいつか首を吊ってたと思います

 まぁ運が良ければ苦しみながら生きれたと思います


 ちなみに説明できませんでしたが、空から落ちてきた龍は完全な事故です

 歩くんは怪異引き寄せる枝を周りに起きまくって、防衛箇所を一つだけに絞ることで、生徒への被害を最小にしようとしました(ついでに彩音さんや咲さんたちに被害が行かないようにもしてた )

 でも思ったより怪異持ちの生徒が集まっちゃったので、そっちに反応して龍が行っちゃいました

 それをバチバチに悔やんでたので、後半登場の歩くんはテンションアホほど低いです


 歩くんは人殺しは好きです

 でも目の前で事故死されたり殺されるのは、マジで地雷です


 曇って欲しいけど死んで欲しい訳じゃなかったみたいな感じですかね?


 ちなみに哀花さんのテンションが高いのは、歩くんのおかげです

 ずっと悪夢にうなされて一時間も寝れなかった人が、超久しぶりに楽しい夢を見て12時間寝れたらテンション上がるじゃないですか

 こんな感じです


 あ、あとあとタイトルは歩くん目線です

 歩くんはあの時から悪夢に囚われてます


 いやブラボじゃん

 

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