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怪異子葬  作者: エマ
4/44

File.4 初任務



「おっ! よぉ哀花!! 」


「あっ、歩 」


 ブラブラ学校内を歩いてると、窓辺に立つ哀花が見えた。

 その顔はどこか不安そうだ。


「どうした? なんか元気ねぇけど 」


「ちょっと沙耶が……さっきの子が心配なだけ 」


「……そうか 」


 なにか気のいい言葉を考えてみるが、なにも思い浮かばない。


「あれ? その手どうしたの? 」


「ん? これ? 」


 そうこう悩んでいるうちに、向こうから声がかかってきた。


「切った!! 」


「切ったじゃないよ!! とりあえずこれ 」


 哀花はポケットに手を突っ込んだかと思えば、そこからハンカチを取りだし、


「まだ使ってないから、これで傷口抑えてね 」


 俺の傷口をキツく結んでくれた。


(あぁうん! 好き!! )


「ところで面接はどうだった? 」


「……あっ 」


 そう聞かれて気がついた。

 あの面接態度がいかにヤバい事に。


「いや〜、まぁ……ん〜〜〜……た、たぶん合格? あと哀花と同じ部隊になったハズだ 」


「そうなんだ! じゃあ、これからよろしく 」


 手を差し出された。

 細くて小さな、女の手を。


「……あぁよろしく 」


 笑って、絶対に傷付けないように、そっと手をにぎる。


 案外その手は白い。

 指も爪先まで綺麗で、ぜんぜん汚れてない。

 肌も綺麗で、俺のとはまったく違う。

 綺麗で美しくて、指に口付けでもしたいくらいに好きだ。


「どうかした? 」


「いんや別に。というか背中に汚れ付いてるからよ、あとで着替えてきたらどうだ? 」


「あれ、そうなの? じゃあ着替え取りに行くついでに、寮に案内するよ 」


 ゲロ臭いことを遠回しに伝え、廊下を歩く哀花について行く。


「ところで歩って、この学校についてどこまで知ってるの? 」


 窓ガラスだけが並ぶ、気味が悪い廊下を進んでると、ふいに哀花が声をかけてきた。


「ん〜? 怪異狩りしてて、学校なのに給料がでて、あと卒業したら特別手当が出ることくらい……か? 」


「うん、じゃあ卒業に関して説明するよ。まずこの学校は単位制なんだけど、任務中ならその分の単位は受理されるんだ 」


「えーっとつまり? 死ぬほどバカでも、任務こなしてれば卒業できるってことか? 」


「そっ。でも卒業できた人ってぜんぜん居ないんだよね 」


「死ぬから? 」


「うんん、辞めるから 」


 哀花は振り返らない。

 でも悔しそうに握りこまれた拳が、その表情を物語っている。


「紗奈みたいに、人を殺した罪悪感で。友達を亡くした喪失感で。一人だけ生き残ってしまった、自分への嫌悪感で。辞めるならまだいいけど、自殺する人も居る。だから君はさ 」


 やっと振り返った顔は、とても優しくて、どこか抱きしめたくなるような、悲しさをまとっていた。


「嫌ならいつでも逃げていい。それを責める人が居ても、私は絶対に責めない。生きてるってことは、何よりも大事だから 」


 胸に手を当て、優しく笑う哀花。

 正直いってめちゃくちゃ抱きしめたいが、今それをやったら絶対引かれるし通報される。

 あぁでも、このくらいはいいのかな?


「えっ? なに? 」


 肩に手を置いて、ただ本心で、心の底からの言葉をぶつける。


「哀花も逃げていいからな? 頼りがねぇ雑魚だけど……俺もあんたを絶対に責めない 」


「……ふふっ、ありがとう。でも」


 虫すら抱きしめるような手付きで、哀花は俺の手を掴み、


「大丈夫、私は死ぬまで逃げないから 」


 何事もなかったように笑った。


(……なにが大丈夫だ、クソが )


 話はそこで終わった。

 お互いなにも言わず、また廊下を進む。


「あっ、ここだよ 」


「ん、これ? 」


 哀花が止まった場所には、一個の扉があった。

 その上には、『怪異討伐部隊 特別班 』となんか仰々しい看板が立てかけられている。


「ようこそ、私たちの寮へ 」


 案内された室内には、一般家庭のようなリビングと2階へ続く階段があった。


「なんか思ったより普通……じゃねぇな!! なんで室内に階段あるんだよ!! 間取りはどうなってんだ間取り!!? これあれだぞ!? 学校ぶち抜いて階段作られてるぞ!!!? 」


「最初は驚くよね〜、慣れたら気にならないけど 」


 異質な間取りを笑ってスルーされ、次に案内されたのは、2階だった。


「ここがそれぞれの部屋だよ。その空き部屋が歩の……私の部屋は一番奥だから、困ったことがあったらいつでも来てね 」


「あっ、ウッス 」


「じゃあ着替えてくるから、また後で 」


 哀花は軽く手を振り、奥の部屋に入っていった。

 それを見送ってから、俺も案内された部屋に入る。


 そこは小さな冷蔵庫だけがポンと置かれた、殺風景な部屋。

 ベットもなければテレビもない。

 いやタンスはあるわ。


(……なんか、現実感ねぇな )


 地面で横になると、そんな考えが浮かんだ。


 ついこの前まで、殴られて盗んだ金で豪遊する生活してたのに、今じゃ日本のめちゃくちゃいい学校にいる。

 しかも部屋がついて、好きな人と同じ学園と寮にいる。

 ……あっ、ちょっと待て?


(哀花と同じ生活すんの俺!!!? )


 急に心臓がはやくなり、顔が痒いほど熱くなった。


(いやそんなどっかの恋愛漫画みたくラッキースケベとか偶然お泊まり会ヒャッホー!!! とかはないだろうけどさぁ!!! よーし落ち着けこれは現実だ。んな事やったら警察→裁判→ムショ行きだからな。あーでもちゃんとヒゲとかは毎日剃らないとな。あとはちゃんと風呂入って……服とかも着回しは無しにしなきゃな。うっわ、好きな人との生活ってこんな感じか!! )


「歩。ちょっと良いかな? 」


「はいっ!? 」


 部屋の外から声がした。

 扉を開ければ、もちろんそこには……着替えている哀花と、なんか爽やかなイケメンが立っていた。


「えーっと……今は金無いんで、支払いは来月にしてもらっていいっすか? 」


「ハハッ、なんの話しだよ 」


 青くて濃ゆい髪に、クシャりと笑った顔もうぜェほどイケメンだ。

 というかあれ? こいつ見たことあるような……


「見たことあるだろうけど紹介するね。彼は『真城 宝物(さなぎ おうじ)』。討伐部隊のメンバーだよ 」


「おう、よろしくな 」


 差し伸べられた手を、傷が付いていない方の手でつかむ。


「あぁよろしく。あと深い意味はねぇけどさ、二人ってどんな関係なんだ? 」


「ただの同じメンバーだよ? 」


「そっか。ならいいや 」


「……? 真城もなんで笑ってるの? 」


「いや、なるほどって思ってな 」


「……?? 」


 なぜかヘラヘラ笑う真城。

 それに気持ち悪さを覚えてると、哀花は時計を見ながら目を丸くさせた。


「ごめんね二人とも。ちょっと用事があるから、一旦失礼するね。真城は怪異狩りの説明をお願い 」


「おう任せろ 」


「じゃあ歩、頑張ってね 」


 そう言うと、哀花はどこかに行ってしまった。


(頑張ってね……嬉しいな )


「なに余韻に浸ってんだよ、分かりやすいなぁ 」


「うるせぇ。というかお前、本当に本名なのか? おうじって 」


「あぁ! 変な名前だろ? 」


「まぁ……な 」


「つーか助かったよ! この部隊、オレ以外みんな女だからさ。男が増えて嬉しいぜ 」


 真城はヘラヘラ笑うと、急に肩を組んできた。

 女ならともかく、男にこうされるのは正直いって気分が悪い。


「だからまっ、長生きしてくれよ 」


 顔は笑ったままなのに、その声だけは悲しそうな重みがあった。


「んっ? 」

 

「おっ、丁度いいな 」


 急に、真城の腕時計が赤く光りはじめた。


「なぁ、ちょっと付き合ってくれよ 」


「なにに? 」


「お前の初任務 」


 ニヤッと笑う真城から、事務室のような場所に連れられた。


「あっ、どうもっす姉さん! 緊急任務なんで手続きの短縮をお願いします 」


「あら〜真城! 任せてよおばさん暇してたし。気をつけて行ってくるんだよ!! 」


「おう 」


 次はなにかの研究室? に連れていかれ、哀花たちがつけてるのと同じ腕時計を貰った。


「連絡手段にも使える腕時計だ。無くすなよ 」


「あぁ 」


 次は街中の駅に。


「おっ、佐藤さんじゃないっすか! お疲れ様です!! 」


「おぉ、お疲れ真城 」


 学校から離れた駅だと言うのに、ここにも真城の知り合いっぽい駅員がいる。

 どんだけ交友関係広いんだよ……


「ん? 後ろにいるのは新人か? 」


「……どもっす 」


「じゃあ切符二人分だな。必ず帰ってこいよ 」


「あぁ!! 」


 そんな短い会話が終わり、今度は電車の中に乗せられた。


「……広いな 」


「ん? 電車は初めてか? 」


「あぁ、乗るのはな 」


「じゃあ慣れとけ。オレたちの移動手段はだいたいこれだならな 」


 誰もいない車内から見える外は、キレイだとは思わない。

 でも目が離せない。

 なぜかボーッと、外の景色を見入ってしまう。


「ん、そろそろ着くぞ 」


 真城の声とともに、電車が停止する。

 駅に降りた先には……どこまでも無機質なコンクリートの壁と、それに貼られた何万もの御札が見えた。


「あれは? 」


「国境だよ。怪異と日本のな 」


「ん、じゃあわざわざ外に? ふつう怪異狩るなら中だろ 」


「逆だ逆。外から来ないように、近場の怪異を狩るんだよ。その方が侵入された時の被害がすくねぇ 」


「ほーん 」


「行くぞ。離れんなよ 」


 真城は手馴れた動きで壁を飛び越え、こっちにロープを落としてきた。

 それを掴み、よじ登るように壁を超える。

 すると目の前には、寂れた街並みが広がっていた。


 ビルはボロボロ、道路はボコボコ。

 けれど電線や家はそのままで、物だけが昔に取り残されてるように見える。


「案外……普通だな。もっと黒いイメージをしてたんだが 」


「ありゃ衛星写真でそう見えるだけだ。怪異がワラワラ出なきゃ、今でも人が住める 」


「ふーん。てか任務って何したらいいんだ? 」


「怪異名、『三本足の人形』の討伐。あとは行方不明者の捜索だが……まぁお前は、とりあえず生き残ることだけ考えろ。可能なかぎり守るが、ダメならオレを捨てて逃げろよ 」


「へーい 」


 春だってのに微妙に寒い。

 すこし冷たくなった手を擦り合わせながら、真城に着いていく。


「てか真城、お前も怪異化しないのか? 」


「基本しねぇな。たぶんテレビとかで見たんだろうが……ありゃ人体に怪異を侵食させてるだけだ。強力だがデメリットが多い 」


「ふーん 」


「てかお前、なんも知らねぇんだな。好きなのは分かるけどよ、もう少し自分大切に」


「助けて!!! 」


「っ!? 」


「ん? 」


 ぼんやりしてると聞こえた、確かな子供の声。

 どうやら真城にも聞こえたらしい。

 チャラチャラしたような顔が、急に真剣になった。


「行くぞ 」


「う〜い 」


「助けて!!! 」


(4回……か )


 声が発せられる方に走るほど、声が明確に聞こえる。

 そして着いた。

 倒壊したビルに。


「助けて!!! 閉じ込められてるの!!! 」


「っ! すぐに」


 飛び出した真城。

 その肩をとっさに掴み、足を止める。


「おい!? 」


「いや待てよ。あれ人じゃねぇだろ 」


「はっ? 」


 振り返った真城の顔は苛立ちと焦りに満ちてたが、とりあえず全無視して自分の意見をぶつける。


「まず俺たちの声が聞こえて叫び始めたとして……6回くらいあれは叫んでる。人だったら少しは喉が疲れるはずなのによ、なんで声が変わらない 」


「そんな事で 」


「それに変だろ。なんで俺たちが足を止めた瞬間に、声がやんだ? 」


「……っ!! 」


 試しに一歩近づくと、またあの声が聞こえた。


「助けて!!! 」


「声が聞こえなくなったから? この距離でか? あんな遠い場所にいた俺たちの声は聞こえたのに? 」


「助けて!!! 」


「じゃあお前さぁ! 自分の名前言ってみろよ!! 人間なら名前くらい言えるよな? 」


「………… 」


 急に声が止んだ。


「たすけて 」


「さっさと姿現せよ 」


「タすケけけケっッてぇぇ!!!!! 」


 テレビがバグったような異音。

 ビルが完全に倒壊し、それは起き上がった。


 円柱のように長い、黒い胴。

 腹からは無数の手と足がぶら下がり、てっぺんにある顔は人形のように不気味に笑い、割れたその半分には、赤い人の目が数百とはめ込まれていた。

 極めつけには、全身に何かから掴まれたような跡がある。


「ハハッ、な〜にが三本足だ。百本足に改名しろ 」


「たす……けてよぉぉぉぉぉ!!!! 」


 爆音にも似た叫び声とともに、黒い液体が膨れ上がる。

 それは巨大な拳となり、渦巻く豪風とともに辺りには影が落ちた。


(あ〜なるほど、あれがそのまま落ちてくると……俺、死んだな!! )


「ウギィっ!!? 」


 けれど一瞬だった。

 その巨体を、巨大な斬撃が切り裂いたのは。


「悪い、冷静じゃなかった 」


 怪異は後ろに吹き飛び、廃墟街へと頭から突っ込んだ。


「あとは任せろ 」


 俺の隣に来た真城は、さっきとはまるで別人だった。

 目は怪異(えもの)を捕らえ、手は刀を掴み、その立ち振る舞いからも、もはや人殺しのような圧を感じる。


 ジャリギリ。

 鉄を擦り合わせるような異音は、真城の鞘から発せられ、


「『遺棄爪(いきづめ)』 」


 名前とともに、それは抜かれた。

 人間の爪が刀身を覆う、刀が。


「ほい、終わったぞ 」


「えっ? 」


 なにか大技が出ると思ったが、真城は刀を収めた。

 その合間にも、血まみれの怪異は蛇のように唸り、俺たちを押し潰そうと迫る。


「あぁ、そうそう 」


 だと言うのに、真城は呑気におしゃべりを始めた。


「怪異ってのにはそれぞれ性質があるんだ。アレは吸収と擬態ってとこだろうな 」


「おい!? 」


「そしてオレのは感染と」


「オオオォォオ!!!!! 」


 巨体が、目の前に。


「増殖だ 」


「おっ 」


 突如、怪異はバチュリと弾けとんだ。

 血と臓物は地面に散らばり、引きちぎれた体と頭は、五本の巨大な刃に串刺しにされていた。


 体内から刃が現れた。

 まるで漫画のワンシーンのような、現実感のない死に方を怪異はしている。


「改めて、自己紹介をしようか 」


 呆然とする一方で、真城はまたヘラヘラと笑った。


「怪異討伐隊 副隊長。真城 宝物(さなぎ おうじ)だ。よろしくな 」


「……ハハッ、すげぇな。じゃあアレか、お前の剣を一撃でも喰らえば死ぬんだな 」


「そんな感じ。まぁ自分が傷を負ってもそうなるから、気をつけなきゃいけねぇけどな!! 」


 ケラケラ笑いながら、真城は肩を組んできた。

 だが今はこいつが恐ろしい。


(かすれば死ぬ、遠距離攻撃もできる……敵になったらクソゲー過ぎるなぁ )


 これが怪異による攻撃だとするのなら、相手側もこれと同等、いやそれ以上の能力を使ってくる可能性がある。

 勝てる見込みは無い。

 でも哀花を守りたいのなら、そいつらにも勝たなきゃいけねぇ。


(まぁ、頑張るか )


「なぁアンタら!! パンドラの生徒か!? 」


「っ!? 」


「おっ? 」


 うわずった叫び声がした。

 声の方にはちぎれ掛けた足を引きずる、工事服を着た大人がおり、まるで死にたくないと叫ぶように、泣き叫んでいる。


(アイツ敵じゃん )


 あれが嘘泣きだとすぐに気がついた。

 だってこの前聞いた断末魔とは、必死さがまるで違うから。


「止まれ! お前……名前は? 」


谷田(たにだ)!! 『谷田 あつむ』だ!!! 」


「行方不明者の名前と一致……こちら真城、これより保護を開始する 」


 真城は時計にそう呟くと、大人の方へと向かっていく。

 その隙に血が止まった手をもう一度裂き、傷を見られないようにしながら俺も進む。


「助かった……ほんと……死にかけてさ……怪異に追われて……もうダメかと…… 」


「安心しろ、もう大丈夫だ。それより傷は」


「思ったよォ!!! 」


 一瞬。

 男の足は再生し、抜かれた隠しナイフは真城の喉を向いた。


「っ!? 」


 その顔に血をかけて目を潰し、抜いた刀で首を裂く。


「ごっ!? 」


 それでも倒れなかった。

 だから刀の反対側でこめかみを叩く。


 鈍い音とともに、大人は倒れた。


「ぎっ……ざまぁ!!!! 」


 大人の背から、獣のような顎が出てきた。

 左腕を盾に。

 それは噛みちぎられるが、その断面を怪異に押し付ける。

 そしたら怪異は弾けた。


「ガッ!!! 」


 もう一度頭を殴る。

 またこめかみ。

 大人は動かない。


(まだ死んでねぇな )


 殴る。

 片腕で力が入らない。

 剣先で刺す。

 腹を。

 浅く、何度も。

 殺すために。


「あっ! ガッ!! おっ!? 」


 刀が血まみれ、脂まみれ。

 静かになった。

 足元が血まみれになってる。

 汚い。


「んっ? 」


 変な音が聞こえた。

 大人の服を裂くと、その腹には爆弾が取り付けられていた。


「だれもがすメる……楽園……へ 」


「うるさ 」


 首を裂く。

 配線を切る。

 爆弾を取り外す。

 向こうに投げる。


「真城、そこ居たらたぶん死ぬぞ 」


「えっ、はっ? 」


 真城を引っ張り、すこし距離を取った。

 瞬間、


『ピッ』


 頭が割れるほどの爆音が、辺りにひびいた。


「あ〜、そういや自己紹介がまだだったな 」


 呆然とする真城に向け、無い左腕を差し出しながら、


空無 歩(からなき あゆむ)だ。これからよろしくな 」


 めいいっぱいの笑顔を浮かべた。


 


 

 

 


 

 


 


 


 


 


 


 

 


 

皆さんお察しのとおり、歩くんは童貞です

 でも女性とお付き合いした経験は過去に一度だけあります

 

 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] ゲロ臭いのに気づかない哀花ちん!! 心に闇抱えてるの見えてクソがって内心呟く歩はかっくいいねですね。早く付き合えよw 宝物いい感じナイスガイ。何気に歩のほうが冷静なのいいっすね。 [気に…
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