File.32 Aがつくビデオ
プールの水って虫の出汁がしみてるから栄養豊富だよね
「ぎゃあああ逆○されるぅ!!! 某サイトみたいに!!!! 」
「寝起きから元気だねキミは!! 」
冗談はさておき、周りを警戒。
密室牢獄椅子拘束。
どう考えてもアニマルがつくビデオなんじゃないかと思うが、なんかロリ学長の顔がマジっぽいし大人しく話聞こうと思う。
「で何? なんの用? ここは何処で俺は何日寝てた? 」
「キミと話してるの日が暮れそうだよ……ここは私の隠れ家。あの襲撃から一日半経ってて、街中で倒れてるキミを見つけて保護した 」
(街中ってことは……アイツが運んだのか。まぁ助かったけど )
「ど〜りで膀胱が炸裂しそう訳だ 」
「……それで本題 」
なっががいため息を吐いたかと思えば、学長の腰から銃が取り出された。
その銃口は確実に俺の眉間に向いている。
「知ってることをぜんぶ話してもらうよ 」
こうなるよな普通。
何も語らない、語ったかと思えば厨二病みたく変なこと言ってどっか言ってるんだから。
仕方がないがまだだ。
ここじゃ語れない。
「落ち着けよクソ学。銃なんか無くても廊下のヤツらで充分だろ? なぁ咲、真城 」
「……… 」
「逃げる気は無い。あぁでもトイレ行かせてくれ! 普通に漏れる 」
嫌そうな顔をされながらも手錠を外され、そのままトイレに連行された。
(うへぇ〜、ギリセーフ )
下から出しながら、奥歯に仕込んでた小型爆弾を取り出す。
せいぜい押し付けた首を吹き飛ばす程度の威力。
殺傷には心もとないが、交渉になら役に立つ。
「そいや学長〜。哀花どうした? 」
「キミには関係ない 」
「学校の地下は見たか? 知ってるのなら言いたい事は分かるよな? 」
「……… 」
「なんで場所変えたか分かるか? 巻き込みたくねぇだけだ。まぁ最終的には恋仲になれたらなぁとは思ってるけどな 」
「そういう事を私に言われても困るよ 」
「だなぁ 」
拭いて直して手を洗い、さっさと扉から出る。
(窓がない……地下シェルターか。んで空洞音するから下がある。ほんと金持ちだなこの学長 )
「さて 」
リビングらしき場所に案内され、用意された椅子に座る。
向かい側には学長、その後ろにはメスを持った咲と真城が居る。
「哀花くんは居ない。だから話してくれるかな? 」
「まぁここまで譲渡されりゃなぁ。あれ使い方間違ってる? まぁいいや。じゃあ教えるよ、俺の正体 」
3人に勝てるわけねぇのは知ってる。
とあるビデオで見た。
だから机に突っ伏し、気はのらナッシングだが話を始める。
「あー……2年前、まぁ俺が15の頃か。ある天才が作った団体『赤い果実』、その設立者の1人だった。そこのモットーは『求めるものに救いを』ってヤツで、怪異を使った安楽死やらをしてた。ちなみにあの馬鹿ボス達が求めてた楽園ってのはそこで作られてる 」
「はっ? 」
「んでその半年後に全員殺した。方向性の違いってヤツで。地下室だったから入り口コンクリ詰めにして酸欠にさせたり、後ろから銃弾しこたま撃ち込んで殺した。懐かしいよ 」
「いや、少し待ち」
「そんで帰宅して一年したら家に怪異が襲ってきて、初めて自分が怪異を壊せる体質だと知りました。おしまい 」
「いや端折りすぎだろう!? もっとこう……重要な情報とかさぁ!! 」
「そうだぞ歩!! もっと拉致されて人体実験とかあっても良いだろ!! じゃなきゃその能力おかしすぎだろ!! 」
「Xメンでも見た? 」
「というか歩って17なの? 」
「あぁ、お前らより歳下だぞ 」
「「「えぇ…… 」」」
過去を語ったことよりも、年齢の方に引かれたのはちょっとショック。
まだお肌ピチピチじゅうななちゃいなのに。
「……流されるところだった。私が聞きたいのはそれじゃない、キミはどういう繋がりを持ってるの? パンドラの地下、怪異について、馬鹿ボスと呼ばれる男もそもそも国に付いても。キミは知りすぎているんだよ 」
「あ〜、じゃあ順番に整理してこう 」
体を起こし、ちゃんと椅子に座り直してから話を進める。
①
馬鹿ボスについて。
「知らん、この前が初めましてだ。でも目的は知ってる 」
「それは? 」
「何人かを楽園に送ることだ。楽園ってのはまぁ……簡単に言えば安楽装置の比喩だ。だから絶望した人間たちをそこにやって救いたいって感じかな? ただ死なすよか良いだろうからな 」
「道理であんな事を言う訳だ 」
「まだアイツは敵じゃない。そこまで気にしなくてもいい 」
②
パンドラの地下について
「詳しくは知らん、見る前にぶっ壊したし。でも想像はつく 」
「生徒を使った実験? 」
「その内容だ。たぶん怪異を兵器運用しようとしてる 」
「……そんなこと 」
「考えてみろ。どっからとも無く大量の質量を生み出し、証拠もなく人を殺せる現象。しかも銃火器の効果が薄いってんなら兵器におあつらえ向きだ。そんで実験データが集まったら、海外の適当な国に怪異を売る。世界は新たな兵器に翻弄されるだろうが、この国だけは最先端に立てる。なんなら怪異は湯水のように湧いてくる。そんなの……金になるだろ? 」
「待って、じゃあ私たちがあそこで戦ってた理由は…… 」
「国の金稼ぎ、証拠はねぇけどな。でも生徒の死体とかってあの学園が回収してし、まぁ上が怪異と死体使ってなんかの実験してたのは確定だろうな 」
③
国について
「どうしてキミはこんなにも国の情勢に詳しいんだい? 内通者でも居るのかな? 」
「いやぁソロプレイヤーだ。さっき言った団体は結構国とズブズブでな、情報を言い値で売ってたんだよ。だからある程度繋がりは知ってるし、売ってた情報も見たことあるから、だいたい何をしてるかは妄想できる 」
「それがさっき言ってた怪異を兵器化させるってものかい? 」
「他にもあるけどなぁ 」
「……なるほどね。なんとなく理解できたよ 」
眉をひそめた学長は頷き、顎に手を当てながらゆっくりと口を開いた。
「それでキミは……誰の味方だい? 」
「哀花。それは譲れねぇ 」
「どうしてそこまで哀花くんを慕うんだい? 付き合いが長いとは言えないだろう? 」
「え〜言わなきゃダメ!? 恥ずいじゃん!! 」
一回ふざけて見るが、学長たちの目はマジだった。
言わなきゃ武力行使も構わない、つーか殺す。
そんな感じの目だ。
「へーい分かった。一言で言うと、初恋の人と似てるから 」
「……はい? 」
「だーかーら初恋。髪の色も目の色も同じ、性格も信念も似てるとなりゃ、逃がす必要ねぇよなって 」
「それだけ? 」
「それだけで充分 」
一見ドン引き通報即死刑な発言だが、嘘を見抜ける学長の目には真実だと写っているハズだ。
俺にとっちゃ、それだけの理由。
次は守りたいと願っているだけだから。
「……それも事実かい。ホント君って、滅多に嘘をつかないね 」
「まぁ俺、嘘つくの下手だからな 」
「……はぁぁ 」
学長はなっっっげぇため息を吐きながら、目を指で押さえつけた。
見た目はロリなのに、中身はすっげぇおっさんっぽい。
例えで言うのなら、退職金はいつ貰えるんだと思いながら、趣味もなく辛い仕事を延々と続けてるくたびれたおっさんみたいだ。
退職金貰っても、残ったのは金と疲労とガタが来た体だけなおっさんでもある。
アレなんの話だっけ?
「二人とも、武器を下ろしていいよ。少なくとも彼はキミたちの味方だ 」
「っす 」
「良かった…… 」
「おぉ? なんだ咲、俺と戦うの嫌か? 」
「そりゃ嫌よ! あんたには……恩があるからね 」
「そか。ちなみにその顔は真城にしてやれよ、妬くぞ 」
「妬いてねぇ!! 」
「ごめん二人とも。少し、席を外してくれるかな? 」
「……? はい 」
ロリの趣味ねぇのに、急に二人きりにされた。
いやまじで趣味じゃねぇんだけどふぁっく。
だったら哀花と一緒にふぁっく出来ないと出られない部屋にでも
「歩くん 」
「あ? 」
それは冷たい声だった。
大人しく椅子に座り、しっかりと学長の目を見る。
その目は余裕が無い人間のそれだった。
「キミは何故、空無を名乗ってる? 真くんの知り合いなのかな? 」
「ノーコメント 」
「私が学園の地下で見た怪異……アレは殺意の怪異だ。アレとキミは関係してるのかい? 」
「それもノーコメ 」
「……今の敵は誰? 」
「テレリモある? 今の時間ならちょうどやってるハズなんだよな 」
そこにあったリモコンを使い、テレビをつける。
その画面には巨大な氷山がヘリによって写し出されていた。
ご丁寧に、哀花以外の俺たちの写真付きで。
『皆さん見えますか!? これが怪異の力です。私たち日常に潜む恐怖がとうとう姿を現しました。奴らは名誉あるパンドラの生徒に偽装し、顔も声もまね、人の生活に紛れ込んでいます。写真の生徒たちは怪異に乗っ取られ、今もなお終わらない苦痛に苦しんでいます 』
「これは…… 」
「地下の情報知ってる可能性あんだからそういう手を使うよな。怪異を国民は深く知らない、いつ死んでもおかしくない。そんで俺たちは、人の死体を被った怪異として、全国に指名手配されましたとさ。はいもう日本に居場所ありません終わりで〜す 」
「じゃあ私たちの敵は…… 」
「国 」
「……ッ! 待って!! じゃあ哀花くんの名が無いのは 」
「え〜察してたんじゃないの? 泡魅一族と国がズブズブだからだぞ? 怪異を海外に売り出したいです派と怪異に耐性のある機械兵器作れます派だぜ? 金にしかなんねぇし、傾いた権力もがっぽりって話だろ。お前脳みそまでロリなのか? 」
「今は黙って 」
「はい 」
少しでも情報を集めたいのか、学長は食い入るようにテレビを見ている。
だからテレビを消し、本題を持ちかける。
「学長、これは脅しだ 」
「……何を!? 」
振り向く学長。
その顔を掴み、クソふわふわなソファーに押し倒す。
もちろん手には小型爆弾を持ってある。いつでも殺せる。
「哀花を巻き込むな、絶対に。それを破ればお前を殺す、100パー、絶対に 」
小さな頬骨、プラスチックのように軋む骨を握り、恐怖と痛みを材料に脅し続ける。
そうしていると、学長は涙を流し始めた。
恐怖によるものじゃない。
どちらかと言えば……慈愛に満ちた涙を。
「どうしてキミは……他人だけを見ているの? 自分も戦いたくない、巻き込んで欲しくないって、言いなよ 」
「他人を信用できるほど強くないんだよ 」
「学長〜。彩音が起きたんで冷蔵こッ 」
ばったり。いっけな〜い遅刻遅刻な女子高生並の勢いで真城と目が合った。
それと同時、脳内連想ゲームにコインを入れられた。
(ロリ体型女子おっさんを押し倒してる→泣いてる→社会的死→死刑→哀花に嫌われる→誤解 )
「アッ、す〜……程々にな 」
「いや趣味じゃねぇ!! どちらかと言えば歳上が好きだ!!! 」
「私歳上なんだけど? 」
「黙れ死ね!! 俺は巨乳派なんだよ!!! 」
「そう、残念だね 」
「歩、一旦落ち着け。性癖暴露すんのは後々辛いぞ、あと巨乳好きは分かる 」
「生暖かい理解やめろ!!! 」
「とりあえず退いてくれないかな。膝がめり込んでて息苦しい 」
「ん? 歩さん居るんですか!? 」
ばったり、今度は盗撮してたらバッチリ目が合いましたって感じで、彩音と視線があった。
焦りと冷静、正反対の感情が入り交じる中、風を逆巻くような蹴りが目の前に迫って来ていた。
(暴力系ヒロインから殴られる主人公ってこんな感じか〜 )
「変態!!! 」
すっげぇベタベタなセリフを蹴りとともに喰らい、そして意識を失った。
「んァ? 」
目が覚めた、知らない天井だ。
そんなとある転生物みたいな事を考えながら起き上がる。
すると右手が引っ張られた。
「あっ、起きたんだ 」
「……哀花 」
隣にはいつの間にか、哀花が寝ていた。
……寝ていた!!?
(役得ってレベルじゃねぇぞオイ!! つーかラッキースケベのノベルゲーじゃねぇか!! 最高はどうなってんだよ最高イェイイェイイェイ!!! )
「……今何時? 」
「なんじだろ……時計みて 」
「0時過ぎだな。てかここ何処? 」
「ここ歩の部屋……僕が運んで、眠いから横に。寝る 」
「あぁ、おやすみ 」
「ん 」
哀花が目を閉じると、子供のようにか細い寝息が聞こえ始め、少し膨れた腹部もゆっくりと上下に動いている。
どうやら寝たようだ。
「すぅぅぅ 」
少し匂いを吸い、哀花に布団をかけて外に出る。
(あぁぁぁぁぁあのまま抱きついて二度寝決め込みてぇぇぇ )
「さて 」
頭を切り替え、たぶん出口がある右側の通路を進む。
まだ俺にはやる事がある。
「ん? 」
なんかあった部屋を除くと、そこは普通のリビングだった。
机には何も入っていない透明なファイルと鉛筆。
クレヨンと画用紙、そして子供用の椅子と電車のおもちゃがあった。
(誰の部屋? まぁいいや )
ファイルと鉛筆だけ貰い、とっとと出口を探す。
地下室は馬鹿みたいに金が居るし、地盤とかの影響でそこまで広く作れないハズだ。
つーかこういう隠れるためなら、アニメや漫画みたく広く作るメリットはねぇ。
だから複雑な構造はしてない多分。
右か左かに進んでりゃいつかは着く。
「おっ 」
さっそく見つけた、ここは出口ですよと言いたげな扉。
その隣には電子ロックがかかってるが、まぁ関係は無い。
ファイルを折って固定し、ネジを弛めて中を見る。
(確かこの線がロックに繋がってるから、ここを切ってショートさせてぇ )
ファイルを切って鋭い面を作り、そのまま配線を切ろうとする。
が、暗くてよく見えない。
「ライト持ってくりゃ良かったな 」
「んな事しなくても暗証番号で空くぞ。2057だ 」
「サンキュー……ん? 」
冷たい感覚が首に伝わる。
何かと思えば、それは爪がビッシリとくっ付いた刀だった。
「んだよ真城。それ消毒した? 」
「あぁ。つーかほっといても消毒される 」
「咲は几帳面だなぁ 」
言われた通りの番号を打ち込むと、重たい駆動音とともに扉が開く。
上へ続く階段からは冷たい風が吹き、その臭いは青っぽい。
どうやらここは森のようだ。
「止めるのが目的か? 」
「いや、ついて行く 」
刀を収めながら真城は言う。
けど俺からすれば、イカれたかコイツとしか思えない。
「何すんのか分かるのか? 」
「何人かの権力者殺すんだろ? 向こうが政治的に咲たちを追い詰められるのなら、先手を打つのが普通だ 」
「おー、理解者彼氏みたいだな 」
まぁもう一つやりたい事はあるが、ここで言っても仕方がない。
そのまま階段を駆け上がり、バキバキに固くなった体を伸ばす。
「お前、殺しのためになんでも出来るか? 」
「あぁ 」
「即答か。んじゃま、国家転覆と行きますか!! 」
首を折り曲げて伸ばし、手首をグリングリンして走り出した。
そして現在、
「なぁ……これほんとに必要か? 」
「ん〜? 真城ちゃんったらそんな顔したらめっ! ほ〜らニッコリスマイルだよ〜 」
俺件私は、恥ずかしがってる真城にスマイルをぶち込んでいた。
お察しの通り、真城くんたちは女装してます
歩くんは地雷系ツインテールな格好で、真城くんはカッコイイ系なのにスカートだけやけに短いアニメ風ファッションです(毛を隠すために二人とも黒タイ)
なんで女の子を可愛く書かないのこの作者
あと薬の副作用で眠いので寝ます
更新する時くらいに起こしてください




