File.28 ワンパターン戦法
突然、敵の車椅子女の子目線です
あと会話長めなので、おもんなかったら市民プールでクロールして来ます
それとあとがきで分かりやすく説明すんので、会話見るのダリィって方はあとがきだけ読んでね!!
「アレは……なに? 」
ライフルのスコープでかろうじて見える学園。
そこで暴れる、人を模した爪の集合体。
心臓には穴が空き、左半身はもう怪異に蝕まれている。
なのに、どうして……
「死んでないの? ってか? 」
「っ!? 」
ゴリュリとこめかみ、冷たいものが押し付けられる。
瞬時に転移を発動。
ビルの屋上の端へワープする。
……危なかった。
押し付けられたのは銃口だったから。
「……ほんと便利だな、そのテレポート。俺にもくれよ 」
「空無……歩 」
焦点があってない目でヘラヘラ笑う歩。
彼が裏切るのは分かってたけど、こんなに速いのは意外だ。
「どうしてここが? 」
「何人か連絡取れないヤツ居たろ? そいつらの髪と背中燃やして吐かせた 」
「それで? パンドラを一緒に壊す……その約束はもう良いのかな? 」
「哀花たちを巻き込むなって条件だったろ? だから俺、学長殺し引き受けたよな? 」
「哀花ちゃんは巻き込んでないよ。それに、たちなんて抽象的なことを言われても分からないさ 」
「あーハイハイ言い訳ね、クソ女 」
(さぁ、どう時間稼ぎしようかな )
車椅子のブレーキを外し、夏の日差しに炙られる頭を回す。
ライフルは向こう側。
空間移動しても撃つのは間に合わないかな?
「そんで、頼みがある 」
「……はっ? 」
思考を巡らせていたのに、歩は急に頭を地面に叩きつけた。
土下座するように。
「取引だ。俺を自由にして良い、だから哀花 真城 彩音 咲のこれからの安全を保証してくれ 」
突然すぎる提案。
頭が止まる。
いや待て待て待て、
「おかしな提案だね。それは取引になっているのかな? 」
「よく考えてみろよ。パンドラ襲撃を受けて、この国は大きく動く。そうしたらあんたら派閥の動きも、ちょいとキツくなるんじゃねぇか? 」
「っ 」
「おいおいおい! 置いてきぼりにされた視聴者みたいな顔だぜお前!!! 」
うるさい。
というかなんでそれをお前は知ってる……
「んじゃま、勝手に説明させてもらおうか! 寝不足だしな!! 」
銃のトリガーに指を掛けたまま、それを振り回しながら、歩はベラベラ喋っていく。
「まずこの前殺したヤツらさ、楽園へ楽園へってバカみたいに言ってたのに、最近殺したオカマは楽園へって言わなかったんだよ。言う暇あったハズなんだけどなぁ! 誘拐に大規模進行にうちのヒーラー誘拐!! お前ら行動方針バラバラなんだよなぁ!! 」
その場でクルクル回り、歩はガンっと鉄柵に頭突きした。
でも目はこっちを向いてる。
「んでこっから妄想! 壁の外にはいろーんな派閥があるって課程した。だから色々拷問したり、取引さよならドンッして情報集めたんだよ。そしたらビッくらポン……五つの派閥が浮かんできました〜 」
何かの薬をポリポリ食べている歩。
その目はイカれ、ガリガリ頬をかく姿は狂人そのものだ。
けれどその口だけは、真実を言ってる。
「1.楽園へ行きたいヤツら。
2.楽園を大切な人たちに提供したいヤツら。
3.今の壁の中を乗っ取って、俺たちも安全な場所で生きたいぜ〜ってヤツら。
4.人間なんてクソ。み〜んな殺してやるってヤツら。
5.国に先手を打ちたいヤツら。あぁ、お前らがそれだな。今の国の上はたぶん、壁の向こうのヤツらを利用しようとしてるからな 」
(こいつ……ここまで )
「そして6.怪異を海外に売りたいヤツら 」
「……えっ? 」
頭が空っぽになった。
だってそんなの初めて聞い……いや!
ぜんぶ辻褄が合う。
あの海岸での戦いも! 全部!!
「初耳かァ? まぁ情勢知らねぇと分かんねぇよな。今……泡魅一族は海外に怪異耐性の電子機器を輸出してる。怪異被害の少ない海外にか? そこまで知ってりゃ、証拠なくても妄想できる。怪異を兵器運用するってな。そしたら怪異耐性持ちの電子機器で金持ちは無事〜……っていう課金者無双がハイ実現〜、てな 」
「でもな。こいつらの勢力は全員怪異に頼ってる。だってそうだろ? 怪異を兵器として扱える。それを彩音や哀花たちは体現してんだもん。そして怪異を兵器として扱う戦争が起こった時、俺の存在が輝く……怪異を消せる唯一の男だぜ? 利用しない手はないだろ? 」
「……完璧な自分売りだね 」
長ったらしい話だったけど、コイツの言ってる事には筋が通ってる。
確かに怪異を消せる能力があれば動きやすいなんて話じゃない。
でも、でも。
「フフっ 」
「あっ? なんだよそのニヤケ面。美人だな 」
「いやぁね、筋は通ってる。通ってるんだよ……一つの間違いさえなければね 」
「……あっ? 」
「私たちの派閥は敵対していないよ。みんな、あの馬鹿ボスに管理されてる 」
昔本で読んだ、ハトが豆鉄砲を喰らったような顔。
それは彼のような顔を示しているんだろう。
「あ〜〜〜、じゃあアレか。お前らは敵対してないから、その気になればみんなで驚異に立ち向かいましょうができる感じ? 」
「そうだね 」
「つまり俺の気色悪い自分語りは無意味ってこと? 」
「もちろん 」
「そっかぁ……じゃあ死ね 」
銃を構えるために振り上げられた腕。
それは宙を舞い、ビルの屋上から落ちていった。
「……っ 」
「実は私、キミを一番警戒してたんだよ。何をするか分からない、何を知っているか分からないキミを。恐怖の根源は不理解だ。だからお前を殺すため……準備した 」
カチリと動く腕時計の針。
それと共に、五つの影がビルの上に浮かんだ。
その内の四つからは、銃口が顔を出した。
「うへぇ、現代兵器かよ 」
影から飛び出した一人の落下。
その同時に、四つの銃撃が歩を襲う。
「空からの! 射撃とか!! 殺意高過ぎだろ!!! 遮蔽ねぇじゃんナーフしろ!!! 」
ドチュリドチュリと、歩の体から音が鳴る。
そして銃弾の合間を縫うような影の蹴りが、歩の脇腹をえぐった。
「うぼっ!!? 」
メキャバキ。
アバラが折れ、それが臓物に刺さる音がひびく。
そして吹き飛ばされた歩は、ビルの鉄柵に飛び込んだ。
「あ〜……身体能力強化系ね。キッついわ〜、俺怪異に触れねぇといけねぇもんな 」
ドチュリドチュリ。
更なる弾丸が歩をえぐる。
なのに、なのに!!
(なんで死なない!! )
頭はえぐれてる。
内蔵にもダメージは入ってる。
致命傷。
いやどう見たって出血多量だ。
なのに死んでない?
(アイツ……ほんとに人間な)
「さぁって!! 」
「「「「「「っ!!? 」」」」」」
歩は手を上げる。
放たれた銃弾がそれをすぐに撃ち抜く。
けれどその壊れた顔面には笑顔が張り付いていた。
「俺は二日感、何を準備していたでしょう!? A.!!! 」
動かない足に駆け上がる。
嫌な予感。
その止まったみたいな一瞬の中、眼球にこびり付いたのは、
「バクダンだ 」
舌で糸を引く、歩の笑顔だった。
瞬間、いっせいに、
『ピーーー!!! 』
音。
爆音、浮遊感。
ビルが……壊れた。
「さぁぁて、長々しい話しはハイッ終わり!!! こっからは 」
私に、清々しいほど明るい殺意が向けられる。
「楽しい殺しのお時間だ!!! 」
簡単だぞ! 外の勢力まとめのコ〜ナー!!
セイヤッ∠( '∀' )/
馬鹿ボス仕切る集団があるぞ! その中に色んな派閥があり、バチバチにやり合ってるが、驚異が来れば一致団結できる!!
歩くんはその派閥同士の争いを利用しようとしたが、無意味に終わったぞ!!
6つの派閥があるが、それを大きくわけると三つに絞られるぞ!!
楽園関係組!!
壁の中の人類許さねぇ駆逐してやる組!!
怪異転売ヤー組!!
だいたいこの三つなので、細かいことは覚えなくてヨシっ!!!
ちなみにバックルームで戦った人は、楽園へ行きたい組出身
大規模進行で歩フィーバータイムで殺された人たちはみんな、楽園を提供したい組
咲さん拉致拉致監禁なうした人たちは、怪異転売ヤー組
今戦ってる人たちは、駆逐してやるよ! オラオラ組!! って感じっす
まぁ敵の戯言なんで、そこまで気にしなくていいんすけどね〜
えっ、つーか楽園ってなに?って?
続きはH○luで!!!




