表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異子葬  作者: エマ
29/44

File.27 侵食

あぁぁん! 水着タキ○ン出ないよぉぉ!!(先頭狂スレンダー美女は出た)



(ん? 今の音…… )


「彩音ちゃん、どうしたの? 」


 保健室の先生が聞いてくる。


「い、いえ。なんでも無いです 」


「そう。彩音ちゃんって紅茶は好きだっけ? 」


「まぁ……はい 」


「じゃあどうぞ 」


 スーッと鼻に抜けるような香りのお茶。

 それを綺麗な黒髪の先生が入れてくれる。


 なんだか自分まで優雅になったみたいだ。


「えへへ、ありがとうございます 」


「別に良いよ、私もお茶仲間が欲しかっただけだし。それで……相談ってなぁに? 」


「えと……そのぉ、少し汚い話なんですけど…… 」


「別に大丈夫だよ。女同士なんだし 」


 一口お茶を含み、舌に集まる苦味を飲み込んでから口を開く。


「…………生理が来ないんです 」








 一瞬、時が止まったみたいな静寂が流れた。






「あぁごめん。えっと……体調不良? それとも誰かとハメ外しちゃった? いやハメちゃったの? 」


「違うんです! ちょっと怪異化してからそういうのが来なくって…… 」


「……なるほど 」


 先生はすぐに頷くと、棚の中から小さな薬を取り出した。


「じゃあこれ、飲んで 」


「えっとぉ……なんの薬ですか? 」


「……怪異化の進行を抑えるものだよ。本格的な治療は準備が居るから、とりあえずこれ飲んで 」


「……はい 」


 大丈夫……なのかな?

 先生の顔、少し怖いし……もしかして重病だったりするのかな。

 でも飲まないのも悪いし……


「飲んだ? 」


「はい。これちょっと甘いですね 」


「うん。そういうお薬だからね 」


 先生は笑って頭を撫でてくれる。

 そのおかげかな?

 少し眠気がやって



「……ッ!!! 」


「へ? 」


 悪寒。

 次に爆音。


 落ちてくる天井を蹴りで弾き、すぐ先生を抱えて廊下に飛び出す。


「大丈夫ですか!? 」


「……うん、それより今のは? 爆弾? 」


「分かりません。でもとりあえず逃げ」


「彩音!? 」


「っ!? 」


 後ろ。

 そこには真城さんが居た。

 その背中には男の人が背負われてる。


「大丈夫か!? 」


「はい。その人は」


「腹を撃たれてる! 速く咲を呼んでくれ!! 」


「咲ならさっき忘れ物を取りに……というか誰から撃たれ」


 言葉を遮る前に、フッと、窓から影が差した。


「っ!? 」


 ガラスが割れる。

 と同時、黒服の大人が何人も廊下に乗り込んできた。


(誰!? )


 黒いガスマスクを付けた顔が向く。

 黒いものも向けられる。

 それは銃だ。


「子閉じ!! 」


 殺そうとすぐに腕を振るう。

 でも放った黒い衝撃波は、人どころか弾丸すら逸らせなかった。


(っ゛!? )


「しゃがめ!! 」


 咄嗟に伏せる。

 風が逆巻き、辺りの教室ごと大人たちの胴がずり落ちた。


「大丈夫か!? 」


「はい。腕で受けましたから。でも怪異が発動しな……あっ 」


 怪異の出力が落ちてる。

 その原因に心当たりがあった。


(救われたんだね。だからそんなに弱くなってるんだ )


『お前は独りじゃねぇ。不安だけど……生きてたらなんとかなるぜ 』


「……… 」


「痛むのか? 」


「いえ、大丈夫です。というかこの人たち、誰ですか? 」


「……ありえない 」


 そう言ったのは先生だった。

 血まみれの銃を持って、肩を震わしてる。


「これ……日本の銃だ。自衛隊で使われてた……なんで私まで 」


「先生? どうし」


 近付こうとした。

 そしたらゴンッ。

 音が鳴った。

 ……どこから? 右耳から。

 殴られた?


「おい彩音!? しっかりしろ!! 」


 声が遠い。

 いや違う、私が倒れたんだ。

 いつ攻撃喰らったっけ?

 怪異……?


 手が震える。

 内蔵がビクビク跳ねる。

 頭がグラグラ揺れてる。



 あっ……これ……まずっ…………







(息はある…… )


 安心した。

 すぐに彩音の首から手を離し、辺りを警戒する。


(つーかアイツら誰だ? 日本の銃? 敵なのは間違いねぇ。けどなんで銃器? 怪異を使わない理由があるのか? 怪異なら怪異でしか殺せねぇのに。彩音は怪異の攻撃を受けたのか? つーかなんでコイツら黒いマスクを? 分からねぇよそんなの!! )


 脳を回すが分からない。

 分からないことだらけだ。


 けどやる事は決まってる。

 彩音たちを守る。

 咲を探す。

 んで歩を見つけて保護する。


 アイツは怪異を持ってねぇから、銃で攻撃されりゃ死んじまう。


「っ!? 」


 またガラスが割れる。

 飛んできたのは、


(手榴弾か )


 すぐに爪を増殖。

 手榴弾を包み、外に蹴り出す。

 と同時。

 また黒マスクの敵がゾロゾロと飛び込んでくる。


(まぁコイツら弱ぇし)


 銃弾を躱し、弾き、


「問題はねぇ 」


 増殖させた爪の刃を飛ばす。

 それは廊下を裂き、壁を削り、人を縦に横に、人体をケーキのように切り分けた。


「先生! 俺が守るんで彩音たちお願いします!! 」


「分かった!! 」


 弾を切り、肉を切り、死体と爪でフラワーロードを作る。

 その途中、


「たす……けて 」


「っ!? 」


 攻撃を辞める。

 ボロボロな教室の入り口に、倒れているパンドラ生徒が居たから。


(あっぶねぇ……危うく殺すとこだった )


「大丈夫か? 今助け」


 手を伸ばす。

 同時。

 そいつは銃を構えた。


「はっ? 」


 撃たれる。

 そう思ってしまい、反射で顔面を突いてしまった。


「が……ばっ!? 」


(どういう事だ? )


 殺してしまったなら仕方ない。

 思考を切り替える。


(なんで生徒が俺を殺しに? 生かしとけば良かった。つーかコイツらの目的ってなんだ? )


 ドタガタと足音。

 銃を構えた大人が廊下を埋め尽くす勢いでやってくる。


(……妙だな )


 数は問題ない。

 でもコイツらは必死に、仲間が死んでもぐちゃぐちゃの死体を見ても向かってくる。

 そう、必死すぎるんだ。

 異様なほど。

 何かに背中を押されてるように。


「ごっ!? 」


 気が逸れた。

 そのせいか一人仕留め損なった。


「……はっ? 」


 割れたマスク。

 その下には、唇と舌を縫い付けられた口があった。

 開ければ舌がちぎれるように縫われた口が……異様な口が。


「どういう事っ」


 服の下。

 見えた。

 見覚えがある赤い光が。


「ん゛〜!! ん゛〜!!! 」


 しかもその光は、転がってる死体たちをいっせいに照らし始めた。


「っ!! 先生ふせっ」


『ピーーー 』









「はぁぁぁ。前もこんなことあったな 」


 爆音で軋む耳をトントン叩き、増殖させた爪をほどいて辺りを確認する。


 彩音たちは無事だ。

 だが、半壊した校舎の上に人影が見えた。


「楽しんで頂けたかな? 僕のショーを 」


 ぺこりとお辞儀する少年。

 パッと見俺よか歳下だ。

 ニタニタとした笑いも、小洒落た黒スーツも、まるでサーカス支配人のように胡散臭い。


「あぁ、クソだった。詫びはテメェの命な 」

 

「乱暴な客ですね。この世からご退場頂きましょう 」


 パンッと、胡散臭い少年は指を鳴らした。

 瞬間、


「……っ゛!!? 」


 左胸に穴が空いた。

 どっぷり……いや背中と胸をぐっぽり開けるような穴が。


 後ろからの攻撃だ。

 その奥のビル、街中の立っけぇビルの屋上に、車椅子の女が座ってるのがチラリと()()()




「……なんかデジャヴ多いな 」


「はっ? 」


「遺棄爪 」


 血を撒き散らし、地面を蹴る。

 壁を駆け、飛び上がり、屋上に居るやつとご対面。


葬爪(そうそう)


「っ!! 」


 屋上を爪山(そうざん)に。

 だが敵は飛び上がり、空中ブランコのように回転し、いつからかある黒い箱を開けた。


正体不明で(ブラック・)不思議なおもちゃ(ボックス)


 中から出てきた小さなピエロ。

 その手には見るからに分かりやすい。

 導火線付きのダイナマイトが


ピエロ爆弾(BOMB)


 左腕を前。

 爆音。

 衝撃。

 左半身が消し飛んだ。


 無い腕、足。

 体内の爪を増殖。


「お前……その姿 」


 肥大の腕。

 振り下ろす。


「っ!!!? 」





 壊れた学園がさらにぶっ壊れた。

 二つに割れた校舎の片割れに、冷や汗ダラダラな敵が乗ってる。


「怪異の侵食……なんて次元じゃないでしょうそれ。ほぼ怪異じゃないですか。なんでそれで……生きてるんですか? 」


「うるせぇな、今()、調子が良いんだよ 」


 本当だ。

 爪の義足も、義手も脳も内蔵も筋肉もぜんぶ。

 全身に回って、気持ちがいい。


「さて 」


 地面に落ち、顔を上げて、爪の口を開けて笑う。


「雑に行くか 」


「はぁぁ、めんどくさ 」


 あははと笑う。

 敵。

 その顔面向けて、踵をけって、突っ込む。


皆様のお察しの通り、彩音さんにも怪異化による侵食の前兆があります

 人間の細胞がどんどん無くなってく感じなので、子供作れなくなったり思考がどんどん凶暴化してったりしますね

 怪異化って結構デメリットあるんですねぇ、いや〜大変だ(はなほじ)


 えっ、哀花さんはバンバン怪異化してるじゃねぇかって?

 あれは例外

 むしろアレは怪異を侵食してます

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 急展開!? 学園襲われて、歩くんそういえば学長撃ってたけどどっち側なの!? なんかもうクライマックス近い感じですかぁ!? [気になる点] 彩音ちん、もうフツーのオンナノコになっちゃうんです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ