File.24 浮気デート
スマブラ楽し〜
左手折れてるからガードできないけど
「おーう……大丈夫かこれぇ? 」
説明しよう!
俺くし、通称歩ッチは爆弾を作ってるのである。
寮部屋でな!!
つーか眠いんだよクソが!!
3日寝てねぇんだけど!?
誰だよ爆弾わんさか使ったヤツあっ私ですねすみません土下座します。
なんというかね、爆弾を作る時はこう……救われてなきゃダメなんだ。
それに巻き込まれる嫌なヤツを想像しながら。
ニタニタ悪魔もドン引きするレベルで笑いながら。
さぁさぁいよいよ爆弾制作も大詰め!!
この平穏は俺のものだァ!!
「歩さん居ますか!? 居ますね!! 」
はい平穏終了!!!
後ろの扉が爆音ブッパで開きましたわよクソが!!!
誰だ俺の報われエデンタイム邪魔したヤツは!!!
「あっ? てか彩音じゃん。どした? 」
「デート行きませんか!!? 」
「パスで。爆弾作らなきゃいけねぇし、俺は哀花と一緒に行き」
「ましょうか!! 」
うん?
なぜ俺は宙に浮いてんの?
うぉ胸が目の前に……お姫様抱っこ!!?
「ちょおまっ、待て!! せめて風呂入る!! 3日入ってない!! 」
「洗いましょうか!? 」
「まだ介護必要な歳じゃねぇわ!!! 」
押しに負けた。
という訳でシャワー浴びて歯ぁ磨いて、サプリinカフェインをコーヒーで流し込んで街に来た。
「いい天気ですね歩さん!! 」
「だなァ 」
彩音の言う通り、空一つ無い良い天気だ。
あいや雲だ。
おかげで寝不足の目がズキズキして痛い。
「で、何すんだ? 」
「えっ、何しましょうか? 」
「「……… 」」
あーナルホド。
ノープラン、ノー行動って訳ね。
というか彩音の私服やばいな。
ワンピースみたいな服なのに、ボンッ、キュッ、高身長!! とかいうモデル顔負けみたいな格好してる。
あとムネェ!!
いや落ち着け。
寝不足で性欲がおかしな事になってるだけだ落ち着け。
「あー……じゃあ、昼飯でも行くか? 今……9時だな 」
「それって何ごはんになります? 」
「朝朝ごはん? 」
「それなら朝昼ごはんじゃないですか? 」
「……確かに 」
「じゃあ行きましょう!! 」
それでまぁ二人で向かった。
ゲームセンターに。
「一応聞くけどよ、なんでゲーセン来てんだ? さっき飯の話してなかったっけ? 」
「せっかくですから遊びましょうよ!! 」
「あウッス 」
ダメだこいつ。
目ェ輝かせて全力ワガママモードになってる。
「でもよぉ、ゲーセンってこの電子マネー使えたっけ? 」
「えっ、使えないんですか? 」
「基本は使えねぇな 」
一応、ゲーセンのコイン機を確認した。
が、やっぱ現金のみだった。
「えぇぇぇ……せっかく初めて来たのにぃ 」
「あー……ちょっと待ってろ 」
涙目のコーギーみたいな彩音を置いといて、ゲーム機の下に落ちてたコインを一枚拾う。
それを弄りながら、落ちそうだなぁと思うコインタワーゲームに座り、タイミングを見てコインを落とした。
ら、積み上がったコインは倒れ、数百枚くらいのコインが取り出し口に落ちてきた。
「えぇえ!!? 」
「ほい、じゃあ好きなの遊ぶか 」
「えっすごぉ……得意なんですかこのゲーム? 」
「……昔やってただけだ 」
そっから色んなゲームをした。
ゾンビシューティングやら魚釣るやつやらレースゲームやら。
何回か彩音がコントローラー壊しかけたが、その度に色々教えた。
手取り足取り。
でも段々と、彩音の顔から楽しさを感じられなくなってきた。
「飽きたか? 」
「えっ!? いや私は」
「飽きたなら他のとこ行こーぜ。ちょっと音楽がうるさくなってきたからな 」
渋る彩音の腕を引き、さっさとゲーセンから出る。
あのうるさい音が聞こえない外は、案外心地が良かった。
「じゃあ次どこ行く〜? 」
「あっ、じゃあ……本屋に行きましょう 」
なんか暗い彩音と一緒に、今度は本屋に行った。
「一応聞くけどよぉ 」
「はい 」
「それ全部買う気か? 」
買い物カゴいっぱいに漫画を詰め込んだ彩音。
しかもそれは、ゴッソリと本棚から出しただけの漫画だ。
「はい! 何か興味あるもの無いかなぁって!! 」
「ならせめてジャンル分けしろよ。ぜんぶアクション漫画なんだぞそれ 」
「そうなんですか!? 」
「……好きなジャンルとかないのか? 俺マンガにゃ詳しいから探すの手伝うぞ? 」
「好きな……ジャンル? 」
彩音の足が止まった。
つーか目がおかしい。
なんでそんな怯えるような……そうだったな。
コイツの人生、好きな物なんて選べない環境だったもんな。
「あっ、ごめんなさい。今考えてるから少しだけ」
「よし、本置け。どーせ後で店員が片付ける 」
「いや、それはダメなヤツじゃ」
「良いから、さっさと出るぞ 」
「いやあの!? 」
今度は手を掴んで、彩音を外に連れ出す。
そしてコンビニでチョコアイスを二つ買う。
もちろん俺の自腹でな。
「ほら、食え 」
「えっ、ありがとうございます? でもなんで急に 」
「いいから食えよ 」
彩音が遠慮しないよう、俺が先にアイスを食う。
しょーじき冷たいだけだ。
甘みが分からない。
でも彩音もアイスを食ってくれた。
チョコ好きとか言ってたし、心なしか顔も嬉しそうだ。
「……美味しいですね 」
「だろ? 」
んで、味のしないアイスを食べ終えた。
でも彩音は不思議そうな顔をしっぱなしだ。
「それで、えっと……なんでアイスを? 」
「……食ってる時は幸せだったか? 」
「……はい。大好物ですから 」
「ならさ、それと同じような感覚を味わったことは無いか? 街で見かけた物でもなんでもいい 」
「……えっと 」
「ゆっくりで良い。あと恥ずかしいとかあんま気にすんな。俺は笑わない 」
じっくり、彩音は顎に手を当てて考えている。
その間も焦らせないように、ぼんやり街中を眺めてるフリをする。
ぶっちゃけ内心は、哀花と彩音の胸しか考えてない。
「……あの、ゲームセンターで見たんですけど 」
「あぁ 」
「えっと……あの〜、上から商品を取る箱? 」
「クレーンゲーム? 」
「多分それです。その中にあったぬいぐるみが……その……可愛くて 」
「じゃあ行こうぜゲーセン 」
「またですか!? それにお金が」
「いや現金なら割と持ってるから気にすんな。今度なんか奢ってくれたらそれでいい 」
んでまたゲーセンに来た。
彩音はと言うと、
「はァァ!? なんですかこのクソゲー!!! 」
台パンしてる。
クレーンゲーム機に向かって。
「掴む力弱すぎません!? 筋トレとかしてないんですかこのあの掴むヤツ!!! 」
「筋肉ねぇから意味ねぇと思うぞ 」
「また落ちましたよォォォ!!! 」
うるさい。
とにかくうるさい。
ゲーセンで聞こえる謎のBGM以上にうるさい。
「あー……掴むんじゃなくて引っ掛ける意識をしてみろ。ほら、ぬいぐるみのタグとか狙ってみろ 」
「それって難しくないですか? 」
「難しくてもやんなきゃ取れねぇよ。殺し合いと一緒だ 」
「なるほど! 分かりました!! 」
アドバイスからかれこれ20回目のプレイ。
タグとアームで釣られたぬいぐるみは、やっと受け取り口に落ちてくれた。
「お〜良かったナッ!!? 」
「やりました!!! 」
おっぱい……じゃない!!
なんで抱きついてきたコイツ!?
あー腕に伝わる柔らかい山が〜〜〜アレなんか腕ミシミシいってね?
「おい一旦落ち着け!? 骨折れる!! 」
「あっ……す、すみません 」
「あー……気にすんな。そんでほら、ぬいぐるみ 」
ジンベイザメのぬいぐるみを無理やり袋に詰めて渡してやると、彩音は大事そうにそれを抱きかかえた。
その顔は恍惚と喜びが入り交じったような顔をしている。
「ほい、じゃあ次どこ行く? 」
「えっ!? まだ行くんですか!? 」
「あぁ。デートなんだろ? じゃあもうちょい付き合ってくれよ 」
そっから色んなとこに行った。
ペットショップでハムスターやウサギを見たり、映画館の前で予告映像だけを30分ほど見たり、通りがかったクレープ屋で、チョコハニーバナナアイスストロベリーとかいう、頭痛が痛くなるようなものを食べたり。
まぁ、やっぱり味はしなかったけどな。
「あ〜、疲れましたねぇ 」
「あぁ……マジ疲れた 」
慣れないことをし過ぎて、普通にキツい。
ノーコン死にゲーフル実績解除なみに疲れた。
だから哀花と行ったデパートの屋上。
そこで休んでいる。
「つーか最近暑くね? 」
「もうすぐ夏ですからねぇ 」
「あーなる 」
「…………… 」
「なに? 俺の顔になんか付いてる? 」
「いやそういう訳じゃなくてその……今日はありがとうございます 」
「いいよ別に。女と出かけられて、俺も楽しかったしな 」
「……そうですか 」
彩音はなんか、悲しそうな顔した。
……アレか? 自分じゃなくて女としてしか見られてないから、自分を見て欲しくて複雑的な?
うわ俺の考え方、超童貞じゃん。
いや童貞だけど。
つーか彩音の胸ってクッソでかいよなぁ。
あーやっべ、カフェイン効いてきたからテンションおかし
「歩さん 」
「んっ!? なに? 」
「少し相談を……良いですか? 哀花さんや咲には言えない事なんです 」
「あぁ。別にいいぞ 」
とりあえず返事をした。
そしたら急に、空気が変わった。
「あの、私の過去はお話しましたよね? 」
「あぁ 」
「それであの男…………父が、この前死んだんです。アルコール中毒? らしいです 」
別に意外じゃなかった。
だって殺したの俺だもん。
「ふーん、とりあえずおめでとう 」
「ありがとうございます 」
えっ、話終わり?
「それであの」
良かった〜、話し終わってねぇ。
「私ってこれから……どうしたら良いんでしょう? 」
あーそういうヤツね。
「アイツをずっと殺したかった。でも殺したら、私が殺人犯じゃないですか。アイツはお母さんを殺したのに、証拠がないから保護されて、のうのうと生きて、私がこの手で仇を打ちたかった。殺したかった。今まで殴られた分を、殴り返してやりたかった。でもアイツ、死んだんですよ。そしたら私、何したらいいか分かんなくて。これからどうしたらいいんですかね? ずっと怨んでた気持ちはどうしたらいいんですかね? これからマトモに生きれますかね? 」
「一旦落ち着け。ほら水 」
「…………すみません 」
水を飲み、彩音は冷めたように落ち着いてくれた。
でも心の燻りは残ったままに見える。
しょーーじきコイツの気持ちはわかる。
胸の中にある怒りや憎しみが急に消えたから、今までの過去が見えなくなり、これからの現実を直視してしまったんだ。
それが辛くて、急過ぎて、何したらいいか分からないって感じだろうな。
「しょ〜じき言うとな、それはお前の問題だ。これからどう生きたら良いかってのは、自分の中で決めるしかねぇ 」
「……そう、ですよね 」
「でもまっ、誰もお前を一人にはしねぇよ 」
急に現実を見てしまって、現実感を理解できてないんだろう。
だから彩音の手を握って、今を実感させる。
「これからの決定件はお前にある。過去の異物が消えた訳だしな。でも独りで決めることはない。仲間と相談して、喋って、悩んで、迷って、そっからゆっくり決めればいい。死ぬまでに一個くらい見つかれば上々。簡単だろ? だから焦るな。焦って独りになるな。独りは毒だ。お前には……アイツらが居るだろ? 」
「……はい 」
「お前は独りじゃねぇ。心を預けられる仲間がいるんだ。頼れ、そして頼られろ。急に変わる必要はねぇ。焦らず生きてりゃ……不安だけど、案外なんとかなるぜ 」
作り笑いを彩音に向ける。
そしたら急に、その目から涙が落ちてきた。
「うぉなに!? あっごめんな!! ちょっとテンション上がって手握っちまって。マジでこんな奴に触られたら泣くよな普通。マジですまん 」
「いやそうじゃなくて……その…………ありがとうございますね。優しい言葉を……こんなにかけてもらって 」
「……別に。今までの人生がアレだっただけだろ。生きてりゃこんな言葉、山ほど貰えるさ 」
「でも……今こう言ってくれたのは、歩さんじゃないですか 」
「……………そう、だな 」
「なんでそんな複雑そうな顔を? 」
「いやなんつ〜か〜、そう言って貰ったの初めてでな 」
あ〜〜はっず。
面と向かって言われたらすっげェはっずい。
マジここから飛び降りてやろうか。
「ん? なんの音ですか? 」
「音? 」
「あっ、私の携帯でした 」
あぁ、そういや俺の携帯壊れたんだったわ。
哀花の登録はしてるから……咲からの連絡か?
「歩さん! 咲がみんなでご飯行かないかって聞いてますけど!? 」
(あ〜やっぱかぁ )
「あぁ、行く 」
「じゃあ行きましょう!! 」
しょーーーーじき帰って寝たい。
が、女からの食事のお誘いなんて、断る理由がねェよなぁ!!!
ゆるふわ日常だ
誰が何を言おうとゆるふわ日常回なんだ……
というかコレ、ヒロイン彩音さんでは??
あの僕っ子最強さんはノーフラグだし……これはヒロイン枠交代のお時間ですかね(*´˘`*)
ちなみに歩くん、完全私怨で彩音さんのお父さん殺してます
なんでかって? ムカついたからさ!!
だから心マする時に『お前の人生始まったばっかだろ』って叫んでたんですねぇ
それと殺し方についてなんですが、色々と手の込んだ殺り方してます
1.女装して、デリヘル装って部屋に入る
2.やる事やって酒を飲ませる
3.寝付いた後にチューブ使って酒とアクエリを胃に流し込む
4.吐かないか見守ってさよなら〜
こんな感じです




