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怪異子葬  作者: エマ
24/44

File.23 プリズンブレイク

3話くらい日常系ゆったりストーリーです

 あと最近左手を折りました



「はい……はい……そういう訳です、後はよろしくお願いします 」


『あぁ、了解したよ学長さん 』


 2時間に続く長電話の末、ようやくあの問題児(あゆむ)を留置所から出す手続きが終わった。

 いや手続きというよりコネだけど。


「はァァァ、疲れた 」


 ちょっと奮発して買った椅子に寄りかかり、学長室の天井を見上げる。


 目を押さえてため息。

 少しは楽になった。

 と思ったら学長室の扉をノックされた。


「あっ、学長居ますか? 真城です 」


「真城くんか。入っていいよ 」


 扉が開いた先、そこに二人は居た。

 一人は真城くん。

 もう一人は……咲くんだ。


「お邪魔します 」


「………あ〜、とりあえず座ってよ 」


 怪異の力で椅子を動かし、二人を30万くらいした高級の椅子に座らせる。


「で、二人はどんな用かな? 私への責任の追求かな? もちろんどんな事でもやるよ。アレは私の完全なミスだからね。キミ達から恨まれようと仕方ない事をしたからね 」


「いや別に気にしてないっすよ!? なぁ咲!! 」


「はい。アレは私が悪いので 」


「いや咲くんは被害者じゃないか!? なんでそんな考えになるのさ!? 」


「私は敵について行こうとしましたから 」


「それは過去のトラウマを思い出されたからだろう? 気にしなくていい 」


 そこだけはしっかりと否定する。

 彼女は悪くない。

 誰だって過去の思い出をほじくり返されたら、間違った判断をしてしまうものだから。


「……話を遮ったね、ごめん。それで真城くん達の用事は何かな? 」


「えっと……俺たち帰ってきてから一週間経ったじゃないですか。その間、あの地下での出来事を整理してたんですけど、ちょっと気になる事が出てきまして 」


「……それは? 」


「俺が戦った奴、取引が終わって無い言ってたんです 」


「取引? いやなんでそんな重要な情報を、報告書に書かなかったの? 」


「歩が言ってたんです。最悪を考えれば、上流階級の奴らが関わってるかもしれないって 」


 ……確かにそうだ。

 上流階級のヤツらは捜査の妨害を平気で行い、怪異被害を自分たちが受けなければいいと思ってる。

 裏で何かしててもおかしくは


「ちょっと待って? 」


 スルーした。

 してたけどよくよく考えたらおかしい事があった。


「なんで歩くんの連絡とってんの? 」


「えっ、二日前に帰ってきましたよ? 」


「今日が出所予定日なんだけど…… 」


「「「……… 」」」










「一旦置いておこう。彼のことを話してたらキリがない 」

「そうっすね 」

「はい 」


「うん、じゃあその事は私が調べておく。それで咲くんは大丈夫かい? ずっと無口だけど 」


「いや……まぁ、少し考えてる事がありまして 」


「それは? 」


空無(からなき) (まこと)……って誰ですか? 」


「っ!? 」


 一瞬、頭の中で驚きが弾けた。

 なぜ……ヤツの名前を、咲くんが知ってるの?


「……学長? 」


「あぁごめん。少し驚いてね 」


 顔を押えながらため息を吐く。

 フリをしながら、机下の録音機のスイッチを切る。

 これであの監視趣味のクソジジイ共にバレる心配は無い。


「……この事は他言無用で頼むよ 」


「……? はい 」


「空無 真。彼は数年前、パンドラに所属していた生徒であり……パンドラ史上、最悪の裏切り者だ 」


「っ!? 」


「何を……したんですか? 」


 咲くんが聞いてくる。

 いや、そう聞くのは当たり前か。


「色々……かな。学園の破壊行為、生徒への暴行に加えて殺人未遂。でもなまじ強くてね、彼が持っていた『殺意の怪異』は……哀花くんにも引けを取らなかった。だから上の連中も手を焼いてた。もし彼を退学にでもしたら、報復されるんじゃないかってね 」


「それで……裏切りっていうのは? 」


「……学園の地下にはさ、怪異に関するものがたくさんあるよね? データ、怪異の種、拘束した怪異自身。それを彼は持ち出したんだ。465名の研究員、68人の生徒を殺してね 」


「……それで、どうなったんッスか? 」


「……分からない、彼は消息を絶ったからね。死んだという声もあれば、彼を見たという目撃証言もある。だから上のヤツらは表舞台に出てこない。彼が帰ってきて、報復されるんじゃないかってね 」


「でも、敵は空無 真を殺したと言ってましたよ。家族を含めて 」


「……驚いた。ホントのようだね 」


 タラり、額から汗が流れた。

 私の怪異は嘘の真偽を図る。

 いやそれが無くても、今と同じ反応をしていたと思う。


 彼の家族は、確かに殺されているから。


「……外の勢力が関係してたんだね。そりゃあ彼の生死があやふやになる訳だ 」


「じゃあ歩は……その事件の生き残りってことッスか 」


「エッ? 」


 あまりにも突然過ぎて、真城くんのしぶそうな顔を見て、素で驚いてしまった。


「なんで……歩くんが? 」

 

「えっ? むしろ関係してないんっすか? アイツの苗字、空無ッスよね? 」


「……はぁ? 歩くんの苗字は、泥樂(でいらく)だけど? 」


「「……はい? 」」


 なんでここまで話が拗れてる?

 いや……まさか、


「もしかして歩くんさ、自分のことを空無だと言ってるの? 」


「「……はい 」」


「……なんでこう、めんどくさい事ばっか抱えてるのかなぁ 」


 頭を抑え、今度は本当にため息を吐いてしまう。


「……歩くんの本名は泥樂だ。戸籍を調べてそれは確認してる。でもなんで空無なのかな? 彼と関わりがあるのかな? 」


「俺が聞いてきましょうか? 」


「いや大丈夫。あの事件は誰が関係してるか分からないからね。私が聞くよ 」


「……そうッスか 」


「もう一度言うよ。この事は他言無用で頼む。キミたちの命に関わるからね 」


「……ウッス 」


「あっ、それともう一つ良いですか? 」

 

 咲くんが聞いてくる。

 どこか、今までとは違う、重くて苦しそうな表情で。


「なにかな? 」


「怪異と会話って、できるものなんですか? 」


「……基本的にはムリだね。怪異は恐怖や思念の塊だから、人の言葉を発してもうわ言のように無意味なものばかりだよ。しかも聞き取れない言語で話すこともあるしね 」


「そう……ですか 」


「何かあったのかな? 」


「いえ! そういう訳じゃなくて……気になっただけです 」


 咲くんが隠し事をしてるのは分かってる。

 でも本人が言いたくないみたいだ。

 なら無理強いする必要も無い。


「じゃあ俺たちは失礼します。咲、もういいか? 」


「うん、ありがとうございました 」


「気をつけてね 」


「失礼しました 」


 真城くんたちは頭を下げて部屋を出る。

 そしてガチャリと扉がしまった。




「……はぁ 」


 机を開け、書類を取り出す。

 生徒情報……そこにはちゃんと、名前がある。

 

 泥樂(でいらく) (あゆむ) という名がしっかりと。


 別に本名を名乗らないのはおかしな事じゃない。

 家族関係で何かがあった子は、苗字を捨てたがるから。

 彩音くんや哀花くんもそんな感じだしね。


 でも彼だけは無視できない。

 寄りにもよって、空無と名乗るなんてね……


(いったい……キミは何者なんだい? )


 そう呟いてみる。

 でも誰が答える訳でもなく、一人の沈黙だけが続いた。









 

 

 

あれっは〜ダレダ? ダレダ? ダレダ?

 あっ、というか皆様お気付きだと思いますが、今回からお話を小分けにしていきたいと思います

 理由としては、アクセス数が増えるからです

 たくさんアクセス数が増えて、そのグラフを前にワイン飲みながらニタニタしたいのです(ほろ酔いでぶっ倒れるくらい酒に弱いですが)

 もちろんツマミはチーズで!!


 それと明日も投稿しマース

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[良い点] PVは栄養ッス!大事ッス! 脱獄に偽名・・・罪は深まるばかりなり!
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