未来の遊園地
20XX年、そのテーマパークは完成した。そのテーマパークの大きな目玉であるアトラクションは3つである。ひとつは、スペーストレインαライン号で、太陽系の惑星を巡って旅するというアトルクションである。木星から地球を振り返るときに列車で流れるホルストの"ジュピター"は印象的である。次に、世界一の観覧車である。その観覧車は海のそばにあり、高さはもとより、そこから見る夜景はすごく綺麗である。最後は、ルイスの劇場である。劇作家ルイス・ネイチャー・ワークスの作品を上演している。
ルイスは夭折した稀有な劇作家であり、数々の作品を世に送り出した。代表作は、前述したアトラクションのモチーフとなった「αライン号の旅」と、「ストロベリー広場の恋物語」等である。
ケンタ「しっかし、すごい混んでるなー」
リオ「ほんとね、でもケンタがもたもたして出発時間に遅れたからよ。」
ケンタ「俺のせいだっていうのかよー」
夏の暑い日差しの中、高校生のケンタとリオは、スペーストレインのアトラクション入り口前で順番待ちしていた。順番待ちをしている人の中にはバーチャルリアリティのゴーグルを付けている人もいた。スペーストレインは一番人気で長蛇の列をなしていた。
すると、ケンタとリオの前まで係員がやってきて「整理券をお配りするのはここまでです。ここから先のお客様はもうしばらくお待ちいただくことになります。ご了承ください」と言った。
リオ「ケンタ、どうする?」
ケンタ「俺は…仕方ないな、スペーストレインは後回しだ。観覧車にでもいかないか?近くだからな」
リオ「いいわ。でもその前に売店寄ろうよ。私アイス買ってくる、ケンタの分もね」
ケンタとリオは売店によってアイスを買うと、観覧車に向かった。観覧車は比較的に空いててすんなり乗車できた。
ー観覧車の中でー
リオは、アイスを片手に、カバンの中からガイドブックを取り出してそれを読みながら言った。「…大観覧車からは、海の向こうにシティタワーを見ることができます、だって!」「あっ、あれかなー?」
ケンタは言った。「そういえば、ルイスの作品の中でのセリフで印象的なのがあったな〜」
リオ「どんなセリフ?」
ケンタ「観覧車は遊園地の象徴にして変わり者なんだ、というセリフなんだけどね…観覧車は唯一、外の世界と接点を持っていて、他のアトラクションとは違う時間の進み方をするんだという…」
リオ「ふーん、…ケンタも変わり者だからケンタは観覧車ということか…」
ケンタ「俺は変わり者か?」
リオ「ルイスマニアの変わり者ね」
観覧車は一周して、二人は観覧車から降りた。
リオ「楽しかったね、次どこに行く?」
ケンタ「やっぱりルイスの劇場だよ、確かめたいこともあるしね。」
リオ「確かめたいことって?」
ケンタ「行けばわかるよ。」
そう言ってケンタは、リオを先導してしばらく歩くと、広場に入った。さっきまでは柵に囲まれた色とりどりの花園であったけれども、その広場では赤色一色の花で統一されていた。そして、その広場の中央には噴水があり、側面に設けられたベンチではカップルが座って話をしていた。他にもくつろいでいる人はいて、広場は皆の憩いの場となっていた。ケンタとリオはあたりを見回しゆっくり広場を通り過ぎると、劇場に入った。劇場の中は予想に反して空いていた。受付を済ませ、上演時刻まで時間があったので、受付近くの待合席に座って二人は話し始めた。
ー劇場の待合席にてー
リオ「ケンタ、このチケットのストロベリー広場の恋物語って簡単に言うとどんなお話なの?」
ケンタ「えーとっ、理屈っぽくて無駄が嫌いな
男性がいて、そいつが主人公で、広場でヒロインと出会い、惹かれ合っていくんだけども、彼女には秘密があって…まあ王道のラブストーリーだな。ルイスの代表作の一つだよ。」
リオ「秘密ねー…」
ケンタ「ネタバレになるから言わないよ。」
上演時間になったので、二人は、綺麗に装飾された螺旋階段を登り、劇場ホールに入った。そして、二人は中央の隣同士の座席に座った。
そして、舞台の幕が上がった。
ー"ストロベリー広場の恋物語"上演中ー
ー序盤のシーンー
広場のベンチで二人は手をつなぎ、手を離すと男は立ち上がって言った。
「なんて自由なんだ!君と一緒にいると理屈なんてどうでも良くなるよ!君といるとそれほど楽しいってことだよ!
」
男は歌い踊りだした。
ー中盤のシーンー
いつものベンチで二人は他愛も無いことを話していた時だった。
「…ごめん、実は私、普通の人間じゃないの…」
「どういうこと?」
「私は魔法使いなの!」
「魔女ってこと?」
「…そうよ。」
ー中盤のシーン2ー
カフェテラスにて
「君の婚約者から聞いたよ、なんで魔女だって嘘をついたんだ?」
「あなたには夢を叶えてほしいからよ!私と結婚すれば、父の会社を継ぐことになるわ!それは嫌だったの!」
ー終盤のシーンー
広場でのダンスパーティーで二人は踊った。
「僕は、君と会って変わったよ。今度は僕が君を変えなくちゃね。」
「あら、どんな風に?」
「それは…例えば、もっと気楽に生きるとかね…」
「ふふっ…そうね」
上演は終わり、ケンタとリオは、劇場から出た。
リオ「面白かったね!特にみんなグルになって魔女のふりをして主人公を騙すシーンとかね!」
ケンタ「ハハハッそうだね」
ケンタは忘れかけていた大事なこと、確かめなきゃいけないことを思い出して言った。
ケンタ「そうだった、確かめたいこと…この劇場に併設してある物販売り場に行かなくっちゃ!」
リオ「ちょっと待ってよ、ケンタ」
リオは、ケンタの後を追った。そして、二人は劇場の隣の店の前に来た。店の看板には、「エドワード・ナレッジの店」と書かれていた。
リオ「エドワード・ナレッジって?」
ケンタ「ルイスの本によく登場してくる人物だよ。物語の多くの鍵を握っていたりするんだ。」
リオ「例えば?」
ケンタ「例えば、このテーマパークのアトラクションのモチーフになった、"αライン号の旅"で主人公たちはこの店を訪れて、αライン号の存在を知るんだ。」
ケンタとリオは店の中に入っていった。
ーエドワード・ナレッジの店にてー
店にはルイスに関連したグッズがたくさん並んでいた。ハンカチやマグカップ、キーホルダーなんかもあった。ケンタとリオは数々のルイスの本が並ぶコーナーに入って行った。
ケンタ「未来戦争だ」そう言って、ケンタはその本を手に取ってリオに見せた。
リオ「未来戦争?つまらなさそうだね」
ケンタ「そんなことないよ。印象的なセリフもあるんだ」
リオ「どんな?」
ケンタ「負傷した敵のロボット兵士を看病している看護師のセリフで、「正しいか正しくないかじゃないの。あなたを助けたいの!理屈に合わないことをするのも人間なのよ」って看護師は兵士に言うんだ」
リオ「へー」
リオはもう少し奥に進んで言った。
リオ「面白そうな本を見つけたよ!この本にも印象的なセリフはあるの?」
ケンタ「"はっちゃかめっちゃか王国と少女"じゃないか!ルイスの初期の作品だよ!」
リオ「面白いの?どんな話なの?」
ケンタ「じゃあ少しだけ説明するよ。少女マイちゃんは草原で遊んでいて、誤って洞穴に落ちるんだ。落ちたところは、酔いつぶれた猫人間セルビックの屋敷で、マイちゃんは彼と仲良くなるんだ。そして、その他の仲間も加わって、危機に瀕していた勘違いだらけの王国を救うという話だ。」
リオ「ふーん、勘違いねー。で、セリフはあるの?」
ケンタ「もちろんあるよ。マイちゃんたちは王国の秘密を知るために店によるんだ。その時のエドワード・ナレッジのセリフで、「論理の天敵は勘違いである。でもその勘違い、偶然で運命は大きく変わることもあるんだよ。」と言うんだ」
リオ「ふーん…意味深だね」
そして、ケンタとリオは一番奥にある店のレジの方に向かった。レジの前でケンタは立ち止まり、ケンタはやっぱり、といった表情でレジの後ろの壁を見た。壁には鳩時計、その横にはサイドボードがあり、その中には、おしゃれな入れ物に入ったバラの香水や、人形、縁に入った写真などが飾られていた。そして、その上には、青いペンダントがぶら下がっていた。ケンタはそれに気づくと言った。
ケンタ「青いペンダントだ!」
リオ「青いペンダントがどうしたの?」
ケンタは、レジのおじさんに言った。
ケンタ「おじさん、その青いペンダントはいくらですか?」
おじさん「それは売り物じゃないよ。でもどうしてそのペンダントが欲しいんだい?」
ケンタ「劇作家ルイスに関して確かめたいことがあるんです!」
おじさん「ルイスの秘密…ルイスは、君みたいな青年が現れるのを待っていたのかもしれないね。」
ケンタ「やっぱりそのペンダントは普通のペンダントではないのですね?」
おじさんはサイドボードの上にかけてあるペンダントを持ってきて言った。
おじさん「君、名前を教えてくれるかい?」
ケンタ「ケンタです。」
おじさん「ケンタ君、ペンダントを君に貸す。いいかい、このペンダントを持って、αライン号のアトラクションの下にある地下倉庫に行きなさい。」
そう言うと、おじさんはペンダントをケンタに渡した。
ケンタ「おじさん、ありがとう」
ケンタがそう言って、立ち去ろうとしたとき、レジのおじさんは、ケンタを引き止めた。
おじさん「地下倉庫の警備員に私のサインを見せるといいだろう。地下倉庫に入れるのは限られた時間だから早く行きなさい。無事を祈ってるよ。」
そう言って、レジのおじさんはケンタにサイン入りの紙切れを渡した。
ケンタ「リオにかけてあげるよ」
リオ「え!?」
ケンタは、手に持っていたペンダントをリオの首にかけてあげると、ふたりは店から出ていった。
リオ「ケンタ、私にもわかるように説明してよ!」
ケンタの後を追うリオは言った。
ケンタ「そうだね。ルイスの本でエドワード・ナレッジの店が出てくる作品は多いんだけども、その中で青いペンダントが出てくるのは二作品しかないんだ。ひとつは、"αライン号の旅"で、もうひとつは、" 劇作家ルイス"なんだ。"劇作家ルイス"は、ルイスの晩年の作品で、あまり人気がなくて、一度しか舞台化されなかったんだ。」
ケンタは急ぎ足で進んでいく。リオは後に送れまいと着いていく。
ケンタ「えーとっ、"劇作家ルイス"について説明しなきゃいけないな〜。」
ケンタ「"劇作家ルイス"は短い作品で、エドワード・ナレッジの店の中だけで話は完結するんだ。そして問題はその話の最後なんだ。店には様々なお客さんが来るんだけども、最後のお客さんは少年で、ルイスは、少年に尋ねるんだ。
リオ「ちょっと待って!ルイスって劇作家と同じ名前じゃ…」
ケンタ「そうだよ、意図的だよね、おそらく…」
ー劇作家ルイスー
ルイス「君の夢はなんだい?」
少年「宇宙飛行士!」
ルイス「それはいい。…でも、夢は叶えたらそれで終わりじゃないんだよ。夢は具体化できない、そう、もっと大きいもんなんだよ。」
そう言うと、ルイスは少年の首に青いペンダントをかけた。
ルイス「少年よ、これを君に上げるよ。ただのペンダントじゃないよ、秘密のペンダントだ。本当は他の人にあげる予定だったんだけどね、…いや、むしろ君にあげるべきだ」
舞台は暗転した。
ケンタ「終わり方もスッキリしないし、ペンダントの秘密については一切触れていないんだ。おかしいだろ?」
リオ「だから、そのペンダントにはなにかあると…
それを確かめたかったのね?」
ケンタ「そうなんだ。」
リオは、ペンダントの表を確かめ、次に裏を見た。
リオ「なんか数字が書いてあるよ?」
ケンタ「数字?どんな?」
リオ「314159265」
リオ「その下にもFCL109って書いてあるよ」
ケンタ「何のためなのかな〜わからないや、今は急ごう!」
リオ「…うん」
柵で囲まれた花園の奥の方に大観覧車が見えてきた。
ケンタ「もうすぐで着くぞ」
ケンタとリオは、αライン号のアトラクションに着いた。αライン号はまだ人で混んでいた。
ケンタ「地下倉庫っていうのは…多分あそこだ!」
ケンタは地下に降りる階段を見つけた。ケンタとリオは階段を駆け足で降りていくと、倉庫の入り口には二人の警備員がいた。二人が近づくと警備員の一人が言った。「許可証はありますか?」
ケンタ「きょかしょうはないです。でもこれを…」
ケンタは、レジのおじさんから貰ったサイン入りの紙切れを見せた。すると、警備員は承知して倉庫の中に入れてくれた。薄暗い通路を少し進むと扉があった。
ケンタ「行き止まりだな…この扉を開けて先に進むしかないな。」
リオ「ケンタ、扉の横になんかパネルがあるよ。FCL109…」
ケンタ「ひょっとして…リオ、そのペンダントをかざしてみて」
リオ「うん、分かった」
リオは首のペンダントをかざした。すると、扉は開き、入口から奥へと照明灯が次々についていった。そして、ふたりは中の広い空間に入ると、そこには流線型をした青い近未来ジェット機が佇んでいた。
ケンタ「ほら、このジェット機にもFCL109って書いてあるぞ!
」
リオ「…うん」
ケンタ「乗ってみるしかないな」
ケンタは、ジェット機に乗り込んだ。
ケンタ「二人乗りみたいだ!リオも乗れよ」
リオ「うん」
リオもジェット機に乗り込んだ。
ケンタ「起動ボタンはどれなのかな〜だめだ、これでもないや…」
リオ「スロットルの下のところに凹みがあるよ」
ケンタ「そうか!リオ、そこにペンダントをはめ込むんだ!
リオ「はめ込んだわよ」
ジェット機は起動して機体の扉は自動で締まり、機内は明るくなった。そして、地下倉庫の奥の扉が開き、発射板がせり上がってきた。
「本機はこれより自動走行で目的地FCL109へと向かいます。」
機体はものすごいスピードで動き始めた。
ケンタ&リオ「うわ〜」
そして、二人を乗せて、地下倉庫から飛び出した。
ジェット機は海の上を真っすぐ進み加速していった。
ケンタ「時速1200キロだって、旅客機よりも速いや!」
ジェット機は華やかな街を通り過ぎて、切り立った山々の中にに入ろうとしていた。
リオ「山だわ、山の中に入っていくのかしら?」
ジェット機は山間部を縫いながら進んでいった。
機体は大きく揺れた。
「軌道修正をします。しっかりお掴まり下さい。」
ケンタ&リオ「うわ〜」
そして、ジェット機は草原の大地へとたどり着いた。ジェット機の扉が自動で開いた。
二人は中から出ると、草原を見渡した。草原には心地よい風が吹いていた。そして、向こうの方に白い四角い建物を発見した。
ケンタ「リオ、あそこにある建物に行ってみないか?」
リオ「うん」
二人は歩いて建物のそばにやってきた。建物には、"未来創造研究所"と書かれていた。
リオ「パネルだわ」
リオはペンダントをかざして、二人は中に入った。
中に入ると床をバネのおもちゃが伸び縮みしながら横切っていった。
ケンタ「なんだ、これは?」
リオ「何だろう?でも面白いわ」
研究所の中央には円状にパソコンが置かれてあり、その真ん中には塔がそびえ立っていて、頂上では放電していた。また側面の壁には様々な装置が置かれていて無人なはずなのに稼働しているようだった。そして、向こうには階段もあり奥の部屋へと続いていた。
二人は少し進んでいくと、側面の壁に研究所創設メンバーと書かれた表札を発見した。
ケンタ「…ルイスだ!ルイスは、研究所のメンバーだったんだ!」
そして二人は塔の前にやってきたら、突然空中にモニターが現れた。
AI「ようこそ、未来創造研究所へ。私はUNF・グラフ。パスワードと数字を入力してください。」
ケンタ「数字はおそらくペンダントに書いてあったものだ。でもパスワードは何なんだ?」
リオ「ルイスに関わるものじゃないの?」
ケンタ「それは分かるんだけども…」
ケンタは、パソコンの前の椅子に座り、まず数字を入力した。「314159265」
そして"K・ワシントン"と入力した。
リオ「K・ワシントンって?」
ケンタ「ルイスの本名だよ」
AI「間違っています。正しいパスワードを入力してください。」
ケンタ「だめか…」
リオ「ルイスの作品の中にヒントはないの?」
ケンタ「…そうか!おそらく…」
AI「認証されました。ファイルを検索します。」
リオ「何て入力したの?」
ケンタ「K・ジャスミン、ルイスの別れた奥さんだよ」
リオ「何で奥さんだとわかったの?」
ケンタ「"劇作家ルイス"だよ。ペンダントは分かれた奥さんにあげる予定だったんだよ。」
AI「準備ができました。ゴーグルを装着して、バーチャルリアリティの世界をお楽しみください。」
二人はパソコンの横にあったゴーグルを着けてバーチャルリアリティの世界に入っていった。
バーチャルリアリティの世界では、リオはうさぎの、ケンタは亀のキャラクターになっていた。
リオ「私はうさぎね!ケンタ、私、どう?」
ケンタ「似合ってるよ。でも何で俺は亀なんだ?…」
リオ「まあいいじゃない。さあ行くよ!」
ケンタ「…うん」
イノーセントワールド色のちょっと昔の遊園地だった。高くそびえ立つ観覧車上空を歓声と共にジェットコースターが走ってきた。通りではカラフルなバルーンを配っているピエロ。その横のベンチで仲良くアイスを食べているカップルやその周りを走り回る犬、すれ違う家族はみな楽しそうだ。先へ進んで行くと、メリーゴーランドやサーカス(様々な国旗の布がついた紐が放射線状にテントの頂点から伸びていた)等があった。まだ未完らしきその遊園地の空にははっきりとしたきれいな虹がかかっていた。
リオ「私、好きだわ、こんな遊園地。温かみがあって楽しそうで。」
リオはケンタを追い越して先に進むと言った。
リオ「椿の園の迷路だって!行ってみない?」
ケンタ「…椿…うん」
ー椿の園の迷路にてー
リオ「椿の園の中に手紙があるわ!」
ケンタ「ほんとだ」
リオは手紙の封筒の裏を見た。
リオ「K・ワシントンって書いてあるわよ!」
ケンタ「ルイスからだ!」
リオ「私読むね?」
ケンタ「うん」
リオは封筒を開けて手紙を読み上げた。
リオ「こんにちわ、ルイス・ネイチャー・ワークスです。君たちに会うのは偶然かもしれないしそうでもないかもしれない。でもいずれにせよ、嬉しいよ。君たちのどちらかは私の熱烈なファンであるからね。私の原点の世界を君たちにも見て体験してほしい。そして未来について模索してほしい。ルイスより」
ケンタ「…」
リオ「ケンタ、どうしたの?」
ケンタ「そうか、わかったぞ!」
リオ「何がわかったの?」
ケンタ「ルイスの意図だよ」
ケンタ「椿は冬の花なんだよ、でも空には夏の虹。他にも理屈に合わないことはいくつかあるんだ。」
リオ「ルイスさんが作った世界なんだからいいんじゃない?」
ケンタ「…まあ、そうなんだけどね〜」
ケンタは意味ありげに笑みを浮かべた。
リオ「何よ?」
ケンタ「何でもないよ」
リオ「言いなさいよ〜」
ケンタは、ゴーグルを脱ぎ捨てて逃げていった。
その後、ケンタとリオは、レジのおじさんにペンダントを返して、約束した。
リオ「今度こそ、αライン号に乗ろうね!」
ケンタ「そうだね、乗ろう!」
美しくも繊細な愛。それは、平和の中で育まれる正義の愛。
醜くも力強い愛。それは、生命本来の愛。
虹は正義の方向に架かり、その2つの愛を結びつけているのだ。
奇跡の力でね。
ルイス・ネイチャー・ワークス
完