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気の星/Ruin Nova
世界は面白いほどに広かった。
人間には抱えきれない程に、人間には勿体無い程に。
氷河期の到来と、ドライオプティミズムが起こる以前なら、もしかしたら違ったのかもしれない。文明の開拓は隅々まで進んでいたという話だから。
ま、過去の話だからあまり関係のない話か。
手でそっと拭った、凍っている草木が張った金属のモニュメントを朝焼けが照らし、それを証明している。
僕は今、別の大陸にいるらしい。
昔でいう海という大きな水溜りは凍っているし、一面が真っ白でわからなかった。
とにかく、隕石が落ちて生まれたとされる巨大なクレーターを目指している。
本当なら、人伝に聞きたかったところではあるが、気配すらない。そもそも、僕は人に会ったことが数回しかないからそんなもんなのかな。
ピピッ…
計量器の音がする。
異常はない。
本当にここにあるのだろうか。
全くもって正確な情報源であるコンピュータを疑うということは初めてだった。