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ましかげのりゅうせい  作者: 飯塚 喆
童話というより寓話編
17/24

断章/博士の手記

 罪を犯した。

 本当なら、懺悔室のような場所で罪を告白するべきなのだろう。

 だが、この辺境の地ではそのようなものはなく、こんなとち狂った老ぼれの話を聞いてくれるような人もいない。なぜなら、人類がもはや消えつつあるからだ。人類は空前の灯火のようだ。

 そも、私の罪は一生赦しなんて得られまい。そして、精神と肉体を蝕むドライオプティミズムによって、私は死という逃げの道に足を突っ込んでいる。

 それでも、紙切れ一枚でも独白を書き残しておかなければ、死んでも死にきれないような気がするのだ。

 私の罪は逃げたこと。さっき述べたことそのままだ。

 人類が起こしたツケを、あの娘に押しつけて生涯を終えようとしていることだ。

 これほどまでの重い罪は無い。

 あの娘と同じ名を冠した星は、世界を救う方法を提示した。それに加えて、あらかじめ準備されていたかのようなあの隠された古代神殿。原因は人間が病みすぎたこと。

 逃げられない。

 それしか方法はないのだ。

 しかし、だが、それは人間にとっては逃げではないのか?

 考えるだけで死よりも恐ろしい。

 だから、せめてもの報いとして、あるプログラムをセットしておこうと思う。

 どうか私を憎んで欲しい。

 どうか私を恨んで欲しい。

 それが私のできる唯一の出来ること。

 私がいなくなっても、自由の楽しく暮らしてほしかった。

 この計画は成功しなくてはならない。

 あの娘と同じ名の星は神殿の童話のように、あの娘を見ていてくれるだろうか。

 祈りは絶えない。

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