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月の旧河道/Fly me from the moon river④
僕らは貴重な体験をしまくった後、赤道を超えた。
ホズに、自分の場所に一旦戻るか訊かれたけど、あそこにはもう何も面白いものは無いから、断った。
果てしなく広がる山脈を横切って、隕石で滅びた遺跡群の調査に向かった。
特に進展はなかった。隕石も見つからなかった。
でも、ホズはよくあることだという。
むしろ今までそんなことばかりだったという。
都合の良いように世界はできていないといっていた。都合の良いものを見つけ出す、作り出すのが我々の仕事だとも。
そんな彼女の瞳は蒼く深く沈んだ色をしていた。
世界を救うことは、僕みたいな趣味でノコノコついてきた半端者には厳しいのかもしれないと思えた。
それほどに背負っているものは重かったことに、それでもまだ気づけていなかった。