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あやかし斎王  ~斎宮女御はお飾りの妃となって、おいしいものを食べて暮らしたい~  作者: 菱沼あゆ
第五章 あやかしビールと簡易ふわふわケーキ

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現代には簡単にあったのにっ


 ついに私は手に入れたのよ、と鷹子は言った。


「帝の威信をかけて探してもらった、うっかり、布や木々や草など覆いが被さってしまったお茶の木をっ」


「もしかして、抹茶ですか?」

と察しの良い晴明が言う。


 そう。

 その覆いのかかった状態で育った茶葉を蒸し。


 揉まずに乾燥させ、余分なものを取り除き、臼で()いてもらったのだ。


「……うっかりですか。

 ということは、偶然の産物なんですね」


 計画的に被せておいたとかではないのですね、と晴明は言う。


 その目には、

 まあ、お前のことだから、そんなもんだろう、桂木(かつらぎ)、と書いてあった。


 異世界に来ても、説教がましいな、この教師、と鷹子は思う。

 

「……それにしても。


 お茶の木なんて、おばあちゃんちの裏山には大量にあるのにっ。


 もう摘むのもめんどくさいから、放置したままになっているのに。


 お茶の木を探すのがこんなに大変だとはっ」

と鷹子は叫んだ。


 この時代、まだまだ、お茶の種は貴重で。


 寺の近くなどで少し栽培されている程度だった。


 お茶畑などもちろんない。


 しかも、その中から、程よく覆われているものなど、ほとんどないに等しかった。


「来年はちゃんと手配するわ」

と言いながら、鷹子はふと思う。


 私は、もう一年、ここにいるのだろうかな、と。


 なんにせよ。

 そうして手に入れたお抹茶といただいた水無月は美味しかった。


「美しいわ。

 濃い緑のお茶」


 前回使った、細く切ってもらった竹を茶筅(ちゃせん)っぽくしたもので()てたお茶をみんなにも少しずつ分けた。


「苦いですね」

「あら、美味しいじゃないの」

と伊予と命婦が話している。


「よし。

 抹茶はたまたま手に入ったものだけど。


 カナムグラは計画的に雌花を集めて、揚げて食べましょうっ」


 はいっ、と伊予たちは言ったが。


 晴明には、

「……作るのはビールではなかったのですか」

と突っ込まれた。




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