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あやかし斎王  ~斎宮女御はお飾りの妃となって、おいしいものを食べて暮らしたい~  作者: 菱沼あゆ
第四章 平安カプチーノと魅惑のマリトッツォ

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コーヒーの材料を集めよう

 

「今回は、すごい収穫がありましたわね」


 自分の居室に戻ったあと、そう言ってくる伊予に、ん? と鷹子は顔を上げた。


「陰陽寮に発酵中の酒粕を置いてきただけだけど。

 他になにか収穫あったかしら?」


 ああ、青龍の卵が無事に割れたか、と気がついたが。


 あれは安堵した、という感じで、収穫があったという風ではない。


 だが、命婦と伊予は口を揃えて言ってくる。


「青龍が美しい青年になったではないですか」


 ……なるほど、そこか。


 だが、あの青い髪と晴明そっくりの容姿でうろつかれたら、騒ぎになるので。


 普段は子どものままでいるようなんだが……。


「まあ、それはともかく。

 今のところ、発酵上手く行ってるから、コーヒーの材料集めを急ごうと思うんだけど。


 コーヒー豆の代わりになりそうなものと言うと、やっぱり、布知奈(ふちな)かな」


 この時代に、布知奈、または多奈(たな)と呼ばれていた植物。


 それは蒲公英(たんぽぽ)だ。


 今あるもので作るのなら、やっぱり、蒲公英コーヒーが一番かな、と思う。


 戦時中もコーヒー豆が手に入らないとき、飲まれていたようだし。


「あと、大豆コーヒーとかもあったような……」

と鷹子が呟いていると、命婦が訊いてくる。


「コーヒーとは、どのような飲み物なのですか?」


「そうねえ。

 黒くて、苦い飲み物かな」


 すると、命婦も伊予も眉をひそめて言い出した。


「何故、そんなものをわざわざ飲むのですか?」

「なにかの修行ですか?」


「……いや、そういうのが好きな人がいるのよ。

 私はあんまり好きじゃなかったけど。


 でも、砂糖とミルク……


 砂糖と牛乳をたっぷり入れたら、甘くて柔らかい味になって好きかな」


 だが、そこで命婦がまた文句を言ってくる。


「砂糖や牛の乳なんて高価なものばかり入れないと飲めないものは問題があります」


 いや、そうかもしれないんですけどね……と思いながら、


「でも、晴明は好きみたいよ、コーヒー」

と言ってみた。


 すると案の定、二人は急に乗り気になる。


「作りましょうっ」


「そうですね。

 私、材料集めて参りますっ」


 伊予は早速、他の若い女房たちと庭に下りていく。


 青龍のことと言い、すごいな、イケメンの威力、と思いながら、鷹子は眺めていた。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] ふと思ったのですが、平安時代の日本なら、砂糖より蜂蜜の方がずっと安価なはずでは?
[一言] いつの世も、どこの世界でも、イケメンの威力は絶大なのですね。 蒲公英は、手に入りやすいかもしれませんね。
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