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あやかし斎王  ~斎宮女御はお飾りの妃となって、おいしいものを食べて暮らしたい~  作者: 菱沼あゆ
第四章 平安カプチーノと魅惑のマリトッツォ

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またまた陰陽寮へ

 

 発酵しかけの酒粕も気になるが、青龍も気になるな、と思った鷹子は、陰陽寮に行ってみることにした。


 この間のような大ごとになっては困る。


「ちょっと届け物がある感じで行ってみたいんだけど」

と命婦に行ってみたが、


「何処の世界に、ちょっとお届け物しに陰陽寮に行く女御様がいらっしゃるのです」

と言われる。


「では、帝から内密にお預かりしたナニカを陰陽寮に預かってもらいに行く、ということでどうかしら?」


 えっ? 帝から内密にっ?

と酒粕が気になるのか、また来ていた吉房が振り向く。


「私がなにを陰陽寮に預けると言うのだ」


「だからなにか……、秘密のものですよ。

 陰陽寮で預かってもらわねばならないような、すごいもの」


 なにかないですか? と鷹子は吉房に訊いてみた。


 吉房は鷹子の肩に乗っていた神様の首根っこをつまみ、


「これとかか」

と持ち上げる。


「離せっ、無礼者っ。

 お前の国に祟ってやろうかっ」


 いや、お前の国も、あなたの国も同じですよ……。


「そうだ。

 これはどうですかね?」


 鷹子は隅の方に置いていた酵母菌の瓶を手で手繰り寄せた。


「……だが、それを陰陽寮に持っていったら、変な方向に変化(へんげ)していかないか?」


「そのときはそのときですよ。

 どんな条件で成功するかわかりません。


 此処の酒粕が上手く行くとも限りません。

 違う場所にも、ひとつ置いておいた方がいいかなと思うので。


 陰陽寮にひとつ、というのは悪くないかなと思うんですが」


「だが、日に何度か空気を入れて、振らねばならんのだろう」


「晴明に頼みますよ。

 自分でできないようなら、誰かに頼むでしょう」


 稀代の陰陽師に、日に何度か蓋開けて瓶振っといてね、と言うのもどうかとは思うが。


 ああ見えてパンを楽しみにしているようだから、まあ、いいだろう、と思う。


「じゃあ、明日にでも陰陽寮を訪ねてみますよ」


「そうか。

 青龍によろしく伝えておいてくれ」


 よろしく伝えろと言われたら、

「よろしくと言ってましたよ」

 じゃなくて、相手がなにを伝えたいか意図を読み取って伝えないといけないらしいが。


 なかなかの無茶振りだといつも思う。


 ……なにをどうよろしく伝えたらいいんだろうな?


 卵になっている青龍になにを?


 お元気ですか? とかかな、と思いながら、とりあえず、陰陽寮に行く手筈を整えてもらった。




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