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あやかし斎王  ~斎宮女御はお飾りの妃となって、おいしいものを食べて暮らしたい~  作者: 菱沼あゆ
第二章 姿なき中宮

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ぷるぷるしたいのですが……


「そうねえ。

 あのぷるんっとした感じは、なんだったら出せるかしら」


「ぷるんとしているのでございますか」


 なんだかわからないが今すぐ食べたいというように命婦が身を乗り出してくる。


「私は、豆腐を固めたものが近いように感じましたが」


 夢の中のプリンを思い出しながら晴明が言ってくる。


 この時代の豆腐はぐずぐずで、まだ固まってはいなかった。


 豆腐って、にがりで固まるんだっけ?


 にがりがあんまり入ってなかったのかな?


 ……にがり。


 にがりでプリンを固めてみるとか?


 いやいや、そんなのあったな、そういえば。


 そうだ。


 台湾スイーツの豆花(トウファ)だ。


 あれ、豆乳とにがりで作るんじゃなかったかな。


 一応、プリンっぽいものとして、候補に入れとくか。


 ……でも、豆花は豆花で、プリンじゃないけど。


 そういえば、豆腐プリンってあったよね。


 でも、あれってゼラチン使うものが多かったような。


 ゼラチンって、動物の骨とか皮なんだっけ?


 コラーゲンがとれるって言うんで、よく紅茶やミルクでゼリー作って食べてたな。


 ……でも、庭で動物の骨や皮なんて煮込んでたら、左大臣がすっ飛んでくるよね~。


 すごい匂いがしそうだし。


 魚の鱗や皮で作るゼラチンとかもあるけど、これも屋敷中生臭くなりそうだ。


 うーん。

 あとぷるぷるに固めるものと言えば……寒天?


 この時代、寒天はまだないみたいだけど。


 ところてんがあるからな、と鷹子は思う。


 天草(てんぐさ)を煮詰めて固めたのがところてん。


 ミネラルたっぷりで潮の香りがする。


 確か、そのところてんを凍らせて乾燥させたのが寒天。


 寒天にすると潮の香りも消えてくれる。


 でも、


 ……凍らせる。


 うーむ。

 凍らせる。


 冬ならともかく、この季節ではな、と鷹子はうららかな陽気の庭を見る。


 ところてんを氷室まで持ってって凍らせてもらうしかないのでは。


 それも手間かかりそうだし、ちょっと寒天も保留だな。


 あと、プリンにできそうなぷるぷる系というと。


 葛粉(くずこ)とか、わらび粉かな。


 でも、どっちも作るの手間暇かかるから、これまた貴重品なんだよな~。


 今ある葛粉は現代のとは違って、黒く、溶かして飲む薬みたいな感じだ。


 葛根湯(かっこんとう)の素になっているもののようだった。


 それに比べて、わらび粉は、この時代でも、ちゃんとわらび餅を作ったりしている。


 わらび粉か、葛粉かっ。


 でもそれって、プリンというより、単なるミルク入りのわらび餅とか、葛餅になるのではっ?


 鷹子の葛藤は続く。




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