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あやかし斎王  ~斎宮女御はお飾りの妃となって、おいしいものを食べて暮らしたい~  作者: 菱沼あゆ
第二章 姿なき中宮

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とりあえず作りましょう


「まあ、とりあえず、プリンを作ってみましょうか」


 重々しく言う晴明の声を聞きながら、


 いつの間にか主導権を握られてしまった……と鷹子は思っていた。


 すごく理性的な顔で語っているが、もしかして、子どものように、夢で見たプリン・ア・ラ・モードが食べたくて仕方がないだけだとか?

と晴明の顔を窺ってみたが、相変わらずの無表情だった。


「斎宮女御」


 晴明がそう呼びかけながら、こちらを見る。


「なにか良いアイディ……案はないですか」


 いや、あなた今、アイディアって言おうとしましたよね?


 やはり、現代の人?


 もしや、これ、壮大なドッキリではっ?


 鷹子は腰を浮かし、あまり役に立っていない気がする御簾や几帳や、美しい庭を見回した。


 晴明は今の失言のフォローをすることもなく、沈黙している。


 ……この人、やっぱり、私と同じ世界から来た人で。


 プリン・ア・ラ・モードのせいで記憶が蘇ろうとしているのかも、と鷹子は疑う。


 ならば、プリン・ア・ラ・モードを完成させたら、完全に記憶が戻るのでは。


 幼い頃から過ごしていたはずなのに、現世の記憶が蘇ったあとは、豪華絢爛すぎて作り物のように感じてしまう世界で、ようやく話が合う人が現れたかも、と気持ちがはやる。


 なんとしても、まず、プリンを作らねば、と思った鷹子は言った。


「そうですね。

 プリンミックスがあれば卵とかいらないんですけどね」


 プリンを固めているのは卵だ。


 卵がないと、なにか別にプリンを固めるものが必要となる。


「プリンミックスとはなんですか?」


 そう命婦に訊かれ、


「水や牛乳を混ぜるだけでプリンになる粉です」

と鷹子は答えた。


「まあ、そのようなものがあるのですか。

 混ぜるだけで不思議な料理ができるとは」


 怪しい幻術のようですね、と命婦は感心する。


「では、そのプリンミックスを作ればよいのではないですか?」


 そう命婦に言われ、


「そうですね。

 でも、業者じゃないんで……」

と鷹子は答える。


 確かに卵なしのプリンミックスとかあるが。


 この世界でそれを一から作るくらいなら、普通に卵なしのプリンを作るのにチャレンジした方がいいように思われた。




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