第1章「新学期⑤」
先生を見送った後、自分も帰宅しようとした。
人生でここまで緊張?したことが無かったから喉が渇いた。
とりあえず食堂横の自販機でジュースでも飲んで考えるとするか。
生徒指導室の隣の階段を下りて1階にある食堂へ向かい、財布から千円札を取り出した時、一緒に紙が付いてきて地面に落ちてしまった。
落ちた紙を拾うと、昨日引いたおみくじだった。
ふと、おみくじの内容が目に入り寒気がした。
「え?何で“凶”のおみくじがあるの
凶のおみくじは昨日神社で全部結んだはず。
なのに、ここには今日のおみくじがある。
「まぁ、昨日結ぶおみくじを間違えたのかな」
楽観的ではあるが、昨日の記憶が蘇る。
「昨日の女の子、可愛かったな」
ぼそっと呟いてしまった。
邪な心ではあったが、昨日の女の子はまたいるだろうかと頭をよぎる。
凶のおみくじを結ぶ程で、帰りに神社に寄ってみよう。
自分なりにはすごく妙案だと思った。
そうと決まればそそくさと行動だと、千円札を財布に仕舞い込み早歩きで駐輪場へ向かう。
昨日行った神社の場所は、家の方向に向かい右側に側に森が見えるのでその森の近くに神社があることは覚えていた。
気分は凶を結びにいくとは思えない程、ルンルン気分だった。
もう、可愛い女の子を見に行くのが目標みたいになっていた。
一本の巨大なくすのきが見えてきた。
もうすぐ着来そうになると、自ずと自転車を漕ぐスピードも速くなってきた。
「もうちょっと……」
息も上がってきた。
くすのきに隠れて遠くから見えない、朱色の鳥居が突然現れて神社に到着した。
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