第1章「魔法使いの少女⑤」
「君を殺すなんてそんな非道な事、神様は絶対に許してくれないだろう。
だが、日芽香だけは俺が守ってやらないといけないんだ」
やっぱり、甚太郎さんは日芽香の為にこうして話をしているのだろう。
ただ、娘さんを守る一心で。
「ですよね、日芽香さん、可愛いですもんね。守らないといけないですよね」
甚太郎さんに同情したくなってきた。
「そうか!お前もそうだよな。日芽香は可愛いんだ。」
パッと甚太郎の顔が明るくなり、少し顔の表情が緩んだ。ここで、太一は気づいた。日芽香の話題は嬉しい=生きる活路になるかも知れないと。
「日芽香さん、昨日お店番?やられてましたか?」
「あぁ、昨日はちょうど授与所番だったな」
「昨日、初めて此処の神社にきて、おみくじ引く所に居た女の子に一目ぼれのようなものをして今日も来てみたんです」
とっさに太一の口から出た言葉は3割本心、7割嘘であったが溺愛する娘のことであるとわかると表情が変わった。
「何?一目ぼれだ?」
「ごめんなさい、嘘です、本当でしたが嘘です、信じないでください」
甚太郎の口調がやばい人になっているが顎に指を当てて考え始めた。
パッと顔にひまわりが咲いたような顔をしたと思ったら口を開いた。
「太一君、死にたくないんだよな?」
「はい、流石に少し死ぬには早いかと思いまして」
「わかった。たまたま居合わせただけの太一君を殺めるのは俺としても心苦しい。2択にしてやる」
①日芽香と結婚する
②死ぬ
「え……」
甚太郎は回答を待っているが、②の選択肢選ぶ人ってこの世に存在するの?
というか、心苦しさの譲歩が難題すぎやしませんか。
自分の世界感ではいないよな。
母親に父親、高校2年生で結婚相手が出来てどういう反応するか。賢介とかになんて言われるだろ。
答えは決まっていた。




