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第1章「魔法使いの少女③」

仰け反った体を戻しながら、瞬間的に視界から消えた。床に突っ伏して畳を殴っている。

「イギィィデダアァァァアァァ!」


彼女はどうゆう状況なのだろう……? と不思議だったが、女の子は鼻水を啜る音も聞こるくらい大泣きしているし、状況が全く飲み込めない。

大泣きしている女の子は今の状況を知っていると思うけど、とりあえず泣き止んで貰うしかない。

泣き止んで貰いたいのだが全然状況が理解できないので、話しかける言葉が思い浮かばず、自分があたふたしてしまっている。


視線をあちこちに移していると、明らかに隠れる気のなさそうにふすまに両手を添えて顔半分が覗いているおっさんと目があった。

おっさんも何故か泣いている。え?何で?理解できないし、この後どうなったら話しを聞ける状態になるのか不安しか無くなった。

そして、その不安が現実になるとも思えない。

「あ、の……?」


見つかってしまった!みたいな顔をしているが、全然隠れる気がないかくれんぼは怠慢でしかないないと思うのですが。

見つかったら仕方ないといわんばかりの表情になり、咳払いをしておっさんが部屋に入ってきたが、体格は自分より少し大きく175cmと言ったところだろうか、肉付きも良く如何にも運動して健康的な体格をしている。パッとしない顔つきではあったが、目つきは鋭く髪は白髪交じりのオールバックだった。


「少年、自分の名前はわかるかい?」


状況を聞く前に身体が問題ないか確認しているのだろう、記憶については問題ないと思う。

まだ女の子はまだ床にはいつくばっているが、おっさんは女の子の親ではないのか?

「はい、佐久良太一です」

「たいち君か」


おっさんは安堵の表情をして、ちらっと右下に視線を移した。

「あの、この子は……?」

「ごめんなさい!つい、嬉しくて」

女の子に視線を移すと、ドスドス鳴らしていたのは女の子だった。

嬉しくって床殴るの?大丈夫、素直にちょっと怖いよこの子?


「あ!すみません、本当にごめんなさい。 まさか、あんなところに人が来ると思っていなくて。」

女の子は謝り始めたが、なぜ謝られているかはあまりピンと来ていない。ふっーとは息を吐き、決心した表情をするとおっさんが口を開いた。

「何が起こったか覚えているかい?」


ちょっと思考を巡らせてみて、記憶が途切れるまでのことを思い出した。

「確か、おみくじを結んで脇道を通って裏庭?みたいな所に行ったことは覚えていますそのあとは何が起こったかは覚えていません」

記憶的にはそこまでで途切れていた。

夢を見ていたが、たぶんあれは夢だと確信があった。


「俺もさっき日芽香から聞いた状況はそこまでだと思う。どうだい日芽香、あっていそうか?」

おっさんは女の子に顔を向け、状況を確認しているみたいだった。

女の子は日芽香というのか。

「はい、私も多分そうだと思っています」


女の子は口を開き、状況を話し始めてくれそうだった。

正面から見ると泣いていたからか目元は少し赤くはれているが目はパッチリと二重で、目は昨日神社で見た子と同じようだったが、目が輝いていなかった。


髪は肩甲骨ほどまでに伸びたブラウン色の髪をおさげに結んでおり、自分は凄くタイプの女の子だ。だが、まとっている雰囲気で可愛さが4割減(当社比)してしまっている。


「私が、さっきまで裏山の見晴らし丘で魔法の練習をしていたんですが、

その時たまたまエアボールがすっぽ抜けて明後日の方向に飛んで行ってしまって、当たってしまったんだと思います」


今の話から行くとこの子は魔法使いで僕は魔法で倒されたってことか。

なんて話だ、昨日魔法使いなんて遠い世界の話だと思っていたらすぐに出会ってしまったじゃないか。どれだけ世間は狭いんだ。


「はぁ……なるほど、魔法――だったのですね」


相槌しか打てない、相手は魔法使いってことは結構まずい気がしてきた。

もしかして、このまま家に帰れなくなっちゃうのかな。殺されちゃうのかな……早かったな、人生。


「そう、日芽香は魔法使いなんだよ」


深刻な顔でおっさんは本題を切り出そうとし始めた。

まずい、これは本当にやばい気配がする。

太一の全身の関節が悲鳴を上げていたが、今は全然感じなくなっていた。

それよりも心臓の音が1回、また1回と鼓動しているのが鼓膜にまで伝わってくる。

握りしめた掛布団には汗が染み渡る感覚すらあった。


「……あの……、自分はどうなるのでしょうか?」


結局上手な命乞いもできず、なにも考えられなかった。


「太一君、魔法使いがこの世界でどういう扱いを受けているか知っているかい?」


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