第1章「魔法使いの少女①」
須藤日芽香は、魔法使いであった。
家の手伝いを終えて、日課の魔法の制御の鍛錬を行っていた。
まあ、魔法については独学で大体失敗するから、裏山の少し開けたところで練習する。
風を操る魔法は制御が難しいが、掃き掃除を簡単にするべく是非習得したい。
息を整え、切り株の上に置いたリンゴに狙いをつける。
「風の君に恋い焦がれし我に、力を貸したまえ!」
裏山は頂上から吹き下ろす風が自分を取り巻き、手のひらに風を集め、球を作りオリジナル決め台詞を言った。
「エアボールッ!」
当てたいところに投げる動作は野球ボールの投げ方だがエアボールの大きさはバスケットボール大あり、すっぽ抜けて明後日の方向に飛んで行った。
「あ。」
明後日の方向に飛んで行ったエアボールは、バサッ!!と何かが大きな物が倒れる音とともに消滅した。
「たぬきに当たったかな」
何かが倒れた方向に視線を向けると、タヌキよりも大きい何かが倒れていた。
「何だろ」
気になって近寄っていくと、革製の鞄が視界に入った。
「え?何でこんなところに人間??」
え……まって、当たったの?まさかぁ……
だんだん近寄るに連れて、忍足になっていく。
「あのぉ……生きてますか……?」
「あのぉ……えくすきゅーずみー?」
恐る恐る声をかけてみるが、返事がない、ただのシカバネのようだ。
ヤバイと本能が語りかけてくる。
「ヤバイ。」
「ちょっとお父さん呼んできます!」
「そのまま待っててください!」
返事も生きて居るかもわからない人間に話しかけて、慌てて家に向かって走っていく。
言い訳を考えながら走る、何であんなところにいちゃうの!
おかしいじゃん!でも当たっちゃったし、どうしよもなくって。
家についてリビングまで走って行き、横になっている甚太郎がいた。
「お父さん!魔法、人に当たっちゃった!どうしよう。助けて。」
よくわからない感情でぐちゃぐちゃになり、半泣きになっていた。
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