プロローグ①「謎のおみくじ」
「明日から学校どうしよう……」
新学年を迎え新たな気持ちでスタートを切るはずだったが、気持ちが乗らない。
僕、佐久良太一は部活に顔を出せなくなり3ヵ月、春休みに入り顧問の目もなくなり気持ちが楽になっていたころだというのに。
春休みが終わらない魔法でもかけてくれって思うよ。
まあ、そんなことは魔法でもできないんだけど。
「まあ、考えても明日は来るし現実逃避しよ。」
最近これといった話題はないが、自転車での散策が日課となっていた。
いつも通り気が赴くままに自転車を漕ぎ進めると、ふと微かだが自分を呼んでいる気がした。
「気のせいなか?」
呼ばれた気のする方向を見てみると、数キロ先だろうかやたらとでかい木が見えた。
あれほど巨大な木をみるのは初めてかも知れない。
「すげえ、ちょっと行ってみるか」
みるみる内に吸い寄せられていき、10分ほど自転車を走らせた先に正体が見えてきた。
巨大な木はクスノキだった。
この地を何百年と見守り続けてもうご老人と言った所だろうか。いや、ご老人ではないか……若々しさがあふれ出ている。
春の訪れを祝福するかのように野鳥が謳い、そよ風に吹かれ新緑をなびかせてる。
根本に視線を落とすと、テニスコート4面分ほどのこじんまりとした神社になっていた。
櫛六神社と石碑に刻まれている。
クスノキに隠れており見えていなかったが、本殿の屋根より裏山が頭をのぞかせている。
「くし……ろく神社?」
普段は余り神社には行かないが、自転車を降り神社の鳥居をくぐっていた。
鳥居の正面には本殿があり、左手に手水舎があった。
手口をお清めし、本殿に視線を移すと本殿よりも目立つように看板が掲げられている。
「なんだ、あれ」
発光色でデカデカと「絶対に当たる、おみくじ!!(1回100円)」書かれており「あたるよ~」と言いながら、謎のうさぎが餅をついているキャラクターまでいる。
ここ神社だよね?あんなの書いて大丈夫なの?と次々と疑念が湧いてきた、絶対に当たるとは信じられない。
「ええ……すごい胡散臭さだな」
興味はあるし、とりあえずはお参りをしてから引いてみるか。
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