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九十九は男の絶滅を祈る  作者: 英知 圭
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番外編〜山下は鈴木の絶滅をい×××〜

またまた番外編!

と、いうか小話?



解せない!!


山下はそう強く心の中で叫ぶ。

九十九が怒りだしたことについては自分が悪いのだろう。彼女が鈴木のパウンドケーキを楽しみにしていたのは隣にいた山下が1番知っていた。

いや、だから逆に彼女に食べて欲しくなかったのだが。

しかし、いま山下を悩ませているのはそんなことではない。いや、もちろん彼女の機嫌をなおすのが最重要課題なのだが。

それよりも気になって仕方がないあの言葉。



『鈴木さま』



以前も昼休みに鈴木の話をしている際、九十九が「鈴木さまがねー。」と言っていたことがあった。

ナニそのいいまちがえ!ちょーかわいいんだけど!と1人悶えたことがあったが、言い間違えではないことが今日、判明した。


4回ほど連続で聞いた。聞き間違えのはずがない。いっそ聞き間違えであってほしいと願ってみたがダメだった。


えーっと……つまりどうゆうこと?


あまりの衝撃で頭が回らない。

必死に謝ってみたが、九十九は無の世界に突入したきり反応をしめさない。


恋人期間はあと2日しかないのに、ケンカなんてしている場合ではないのに。そんな風に焦燥感だけが沸きおこってくる。

しかたなく、最終兵器として鈴木からお菓子をもらっておいた。

そして、ずっと謝り続けるものの反応しない九十九に別れ際それを渡す。

思いの外ケロリとした反応で「あれ。もらってくれたの?ありがとう。」とこちらの世界に戻って来てくれた。


さっきまでの無の世界旅行が嘘のように九十九は普段どおりな様子で「バイト頑張ってね。」と帰って行った。

そのことにホッとしつつも内心、鈴木のお菓子に、いや、鈴木の存在にイラッとしていた。



『ねぇ?女の子が男の子を“さま”付けで呼ぶのはどういう意味?』



そう姉にメールしてみた。

程なくして返事が返ってくる。



『好きなんじゃん?』


はぁ?違うし!

と、つい思ってしまう。そんな答えが欲しかったわけではない。もっと安心材料が欲しかったのだ。


『2人はそんな関係じゃーないし!相手もそんな感じのやつじゃないし!』

『あぁ。あんたのことじゃーないのね。ふーん。じゃー冗談か皮肉で言ってるのかな?そんなこと言う子?』

『………違う。』

『じゃーやっぱり好きなんじゃん?』


………く。

ダメだ。さらに不安がつのった。

山下はバイトに行き、客足が少し落ち着いた時間帯になったので目の前にいる律子に聞いてみた。

と、いってもオサムや良一もいたのだが。


「ねぇ?女の子が男の子を“さま”付けで呼ぶのはどういう意味?」


律子は少し考えた素振りをしたあと「好きなんじゃないの?」と言ってきた。


「違うし!2人はそんな関係じゃーないし!相手もそんな感じのやつじゃないし!」


先程と同じ応答にもういっそ涙が出そうだ。


「あー。ユウヤくんのことじゃないのね。」


山下の必死の反応から、それが誰のことについて言っているのか、その場にいる全員がなんとなく察した。


「あ、あれかな?友達同士の冗談じゃない?」


律子は必死で山下の気持ちをくんだ答えを探し出してみた。まぁあの『ツクモ』さんはそんな冗談言うタイプには見えないけど、とも思ったが。


「それだ!うん。そうだよね。友達に対する…冗談……。」


言いながら声が小さくなっていくところ、本人もそうではないと感じているのだろう。


「ちなみに、それはどんな状況?」

「……鈴木が作ったお菓子を九十九が嬉しそうに食べようとしてたから隙をみて奪って食べたら『鈴木さまのパウンドケーキ何で食べたの?!』と怒られた。」



おぅふ!



律子とオサムと良一は得体の知れない衝撃をうける。


「俺がもらったお菓子をかわりに全部あげるって言ったら『もしかして鈴木さまを馬鹿にしたの?他の子が作ったもので代用できるって言ったの?』とキレ顔で言われた。そしてそのまま無言。」


山下が次第に感情のない人形じみた顔になっていく。



おぅふ!!



衝撃がすごい。


「ってかユウヤくんをそんな扱いなの?」


律子にとって山下は大人っぽくて誰もが憧れるような存在だ。誰もが彼の内側に入りたくて、すり寄っていくのに、彼はそれを飄々とかわしていき、誰にでも同じ笑顔で牽制する。そんなイメージを持っていた。

そんな彼が彼女に対しヤキモチをやいた行動をしたのだ。女の子からしたら「嬉しい!」とか「可愛い!」などの反応をしめすところではないのか。

なのに、そんな彼に対する彼女の対応が塩すぎる。


「そんな扱いってどんな?俺どんな扱いされてんの?……え?嫌われてるってこと?」


真顔で律子との距離を縮めてくる。

心底、怖いのでやめてほしい。


そして後ろでは「ぶふー!!」っと、こらえきれなかったオサムが腹をかかえて笑っている。


「九十九ちゃん!!最高だ!」

「はぁ?なめてんの?」


大笑いするオサムと地を這うような声を出す山下との間にバトルを起こさせないよう良一は慌てて言葉を続ける。


「そ、それで?その後はどうしたの?ケンカしたまま?」


すると、山下は鬼のような表情から急に捨てられた子猫のような顔になった。


「………帰りに謝りながら鈴木のパウンドケーキを渡したら、ケロリと普通に戻った……。」


「「「………………………………。」」」


しばらく沈黙が続いた。


「さって!第2陣の準備でもするか!リョウ!倉庫からワイン補充しといてくれ。」

「あ、はい。えーと。シャトーでいいですか?」

「私はテーブルセッティングの再確認行ってきます。」


オサムの声で良一と律子が迷うことなく、ササッと働き出した。


「………………………………。」


そんな3人を恨めしそうに見つめる山下だが、誰もそれに目を合わそうとしない。



……で、結局どういうこと?


山下は全く心が晴れていない、いやいっそ不安がさらにつのっただけの現状に舌打ちする。


大体、鈴木は何であんな簡単に九十九に信頼されてんの?俺があんなに必死になって話しかけてやっともらえた「おはよう」も鈴木には簡単に言ってたし。


…え?どういうこと?

…はぁ?そういうこと?

………いやいやまさか…………………。

鈴木なんか…鈴木なんか…………。



そうして、山下は鈴木の絶滅をい(以下、自主規制)





読んでいただきありがとうございます。


聞いてしまった例の言葉に悩む彼。w

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