表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
九十九は男の絶滅を祈る  作者: 英知 圭
2/167

HRが始まらない。


今日、HR前に行われるのはゲームの順位発表だ。


ゲーム内容はくだらない。

先生にばれずにイタズラが成功した、とか。

クラスでどれだけ笑いを集めたか、とか。

小さい賭け事をどれだけ当てられたか、とか。


(しょうもない。)


でも、彼らは、そのゲームをする事で、自分達はクラスの中心にいるかの様に勘違いをしている。


(厨二病を患わっていらっしゃる。)


だからだろうか、土間は大声を出してクラスの注目を集める。


「よ〜し!じゃーゲームの順位を発表するぞ!」


呆れてる人もいれば、便乗して騒いでる人もいる。そんな中、九十九は半目がちにその様子を黙って見ていた。

普段なら、こんな馬鹿らしい事には一切、関わらない。それ以前に人と関わらないように日々、努力をしている。

家族以外と1言も喋らなかった日は『頑張ったで賞』としてケーキをご褒美として買って帰るほどである…という話は余談だ。


それでも、このゲームの行く末を見守らなければいけない理由が九十九にはあった。


このゲームの優勝者は2位以下の者から学食、又は遊び先での支払いを奢ってもらえる権利が与えられる。多分、金額の上限は決まっているとは思うが、参加者以外は深くは知らない。


そして、最下位者は罰ゲームがある。

罰ゲーム内容は

『九十九と1ヶ月付き合うこと』だ。


次第に九十九の目が据わる。

そんな、様子を見たクラスの女子が囁く。


「ってかさ、九十九さんも嫌ならこんなゲーム断ればいいじゃんね。」

「案外、本人、楽しんでるんじゃない?」

あははは!と甲高い嘲笑が、さらに九十九の癇に触る。


(誰か好きこのんでこんな馬鹿達の相手をしたがるんだよ‼︎)


悔しくて奥歯をギリリと食いしばる。




このゲームの罰ゲームの対象になったのは1年の半ばだった。

「じゃーこれからゲームしようぜ。負けた奴は九十九に告白な!」

突然クラスで名前を出されたことに唖然としてしまい、展開について行けず、何も対応できなかった。

ゲームが進んで行く中、罰ゲームの内容が『告白』から『付き合う』に変わっていった時は、さすがに九十九も「困る!」と、訴えに行ったが土間の前に立つと足が震えた。

「何だよ。」そう言いながらニヤニヤと嘲るような表情を見た瞬間、あの日のあの事件がフラッシュバックした。


息が出来ない。

殴られてもいない頬に痛みを感じる。

震えが止まらない。


九十九は首を横に振り、そのまま何も言わず従った。そうすることしか出来なかった。



そんな始まり方をし、3ヶ月に1度のペースで九十九は罰ゲームの対象として恋人ができる。


(男は絶滅しろ。)


そう祈ることしかできない。




「まずは1位!安東!!」

「よっしゃー!!」

「続いて、2位、河野ー!!」

「げーっ!2位かよ。え?何ポイント差?」


(いや。知らねーよ。お前のポイントはどうでもいいんだよ。)


「3位は2人いて、金子と俺ー!」

「はあ?ズルしてねえ?」

「してねーよ!」


まだ呼ばれてない杉田が口を挟む。


「あ、5位、杉田ー!」

「よっしゃー!!マジセーフ!マジセーフ!」


(よっしゃー!マジセーフ!!)


同じ気持ちになり、同じセリフを心で叫ぶ。

これまでした罰ゲームの中で九十九は杉田との1カ月が1番辛かった。

彼じゃなければ、あとはどれも一緒。

そう思うほどだ。


「つーことで、最下位は〜」


少し、教室がシンとなる。土間の声が響いた。


「山下 勇也!」

「はい!」


………………………。


教室がさらにシンと静まる。

起こった事象を理解するまでにゆうに10秒以上かかった。


「「はあ!?」」


窓ガラスがクラスほぼ全員の声量でビリっと軋んだ。



読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ