左小脳橋角くも膜のう胞
人の頭の中をはっきり見られたら。他人の頭の中を少しでも理解できるなら。
ここが少しだけ皆と違いますよ、でもそれは病気だから仕方ないんですよ、貴方の所為じゃないんですよって言って欲しいし言ってあげられたら。
病気や障害も個性だと捉えて、相性の良い先生を探したりお薬で改善できるなら少しでも良い方向に進めるよう努力できたら良いなぁって心から思うんです。
人の頭を断面図で描くと、外側から頭蓋骨、硬膜と言う比較的丈夫な膜、くも膜と言う薄く半透明な膜が脳を包んでいます。
このくも膜と脳との隙間はくも膜下腔と呼ばれ、そこに風船のように膨れて出来た袋状の病変が、のう胞と呼ばれるものです。
頭の中の液体を髄液と呼ぶそうですが、のう胞の中にはこの無色透明な髄液が溜まっている状態です。
くも膜のう胞は良性の先天性疾患で、脳腫瘍では無く、沢山の正常な人の頭の中にあるものです。
お母さんのお腹の中にいる時に出来た先天的なもので、何らかの症状がある事も少ないので、多くの場合は気付かないまま一生を過ごすか、たまたまCTやMRIを撮影したら見つかったと言う場合でも、経過観察の後、治療の必要は無い事が多いようです。
発生頻度は0.1~0.3%程度と言われていて、また75%は小児期に発見されるようで、くも膜のう胞自体による発達障害は基本的に有り得ない事だそうです。
私は幼い頃から病弱で偏頭痛が多く、頻繁に体調をくずしていました。
吐き気と頭痛で起き上がれなくなり嘔吐の症状も治まらず、救急車のお世話になる事もあるような少女だったのですが、左小脳橋角くも膜のう胞と言う病気が発覚したのは私が高校生の時でした。
睡眠不足な日々が続き、目の下の隈が目立つ状態で授業を受けていたのですが、頭が少し痛いなぁまた偏頭痛かなぁどうしようと思っていたところ、目の前が霞み出し座っていられない程の眩暈を感じ始め、右手に持っていた筈のペンを落としてしまいました。
何だかおかしいと思った時には右手が激しく痙攣していました。
頭痛が酷くなり目の奥はズキズキと痛み始めぼんやりと霞む視界の中、体調が悪いので保健室に行きますと先生に声を掛け、廊下の壁に凭れながらゆっくりとした足取りでなんとか保健室に辿り着いた私を保険医の先生が迎え入れてくれましたが、焦った顔をした先生は、
「どうしたの?顔色が真っ青だよ!直ぐに病院に行こう!」
と声を掛けてくれました。
「特に何もしていないんですけど、目と頭が凄く痛くて右手が震えるんです」
と泣きそうになりながら必死に訴えました。
「直ぐに病院に行こう!」
そう話す先生に体を支えられながら、先生の車で近くの病院に連れて行って貰いました。
病院で調べて貰ったのですが原因は解らず、脳神経外科で有名な病院の紹介状を貰いそちらで詳しく検査をした結果、持病が判明したのでした。




