父と母が築いた心地良い家庭を私も持ちたい
レナとミナの2人に話を聞いて貰った後は、とても晴れやかな気分になっていました。
友達から愚痴を聞いたり相談を受けたりと言った聞き役に回る事は多々あったのですが、私個人はあまり他人に自分の事を相談しない性質なので、今回は思い切って相談して良かったなぁとしみじみ思っていました。
私自身に関わる事をほとんど話さない理由は他人を信用していないと言う訳では無く、何かに迷ったり悩んだりしていたとしてその内容を誰かに聞いて貰っても、決断したり行動を起こすのは最終的に自分自身の意思決定でしか無いと考えていたので、話す行為自体にそれ程意味を見出していませんでした。
更に、悩みを話す事によって友達や周りの人を無駄に心配させたくも無いし、一緒に居るなら出来る限り楽しい時間だけを共有したいと思っていたからでした。
誰かに悩みを打ち明けられて、話を聞くだけしか出来なくてもそうする事によってその人の気持ちが少しでも軽くなれば良いなぁと感じる事は出来ても、その人が私に話したように同じく誰かに話す事によって私自身が心を軽くしたりする事は何故か許容し難い事でした。
こんな面倒な性格を知っている周りの人達からはよく、秘密主義でプライドが高いからだとか、はたまた他人の気持ちを優先して優しいとも言われる事はありましたが、自分自身は前者だろうなぁと考えています。
一筋縄では行かない気質の私ですが、社会性は高い方で親しい友人も多く母と兄とも仲が良く、休日には頻繁に母と一緒にスーパーやショッピングモールへ買い物に出掛けたり、兄とお休みが重なる日には職場での人間関係の悩みを聞いたり兄と2人きりでカラオケに行ったりする程で、周りからは驚かれるくらいに家族仲は良好そのものでした。
私が25歳の時に肝臓癌で亡くなった父が存命時も、父と2人でご飯を食べに出掛けたりする事すら珍しい事ではありませんでした。
父と兄の関係は悪くは無かったのですが飛び切り仲が良いとも言えないものでしたが、私が声を掛けると家族4人で外食をしたり買い物に出掛ける事も度々あり、誰かの誕生日には家族が揃ってお祝いをする状況も毎年恒例でした。
私は、父と母の間や母と兄の間、父と兄との間に入って円滑に話を進めたり家族間のやり取りを仲介したりする橋渡し的な役割も積極的に担っていました。
レナからは過去に一度、家族に対して気を遣い過ぎだと言われた事もありましたが、私自身はそう感じる事も無くまた煩わしさ等を一切感じる事も無く家族と接してきました。
あたたかな家庭環境で育ち、家族関係は良好で家族皆がお互いを気遣い合う事も日常的なものだと認識していた私にとって、コウイチさんが語るコウイチさん自身の家族のお話は少し殺伐としたものに感じてしまいました。