女三人寄れば姦しい
3月がもうあと数日で終わる頃、親友とも呼べる2人の友達と会う約束をしていた日を迎えました。
コウイチさんと過ごす休日が増えると同時に、友達と会う時間がかなり減っていたのですが、その日はどうしても2人に会いたかったので、会えなくて残念だ凄く寂しいと言うコウイチさんの声を振り切り、短大時代からもう十年以上の付き合いになる友達に会いに行きました。
信頼できるレナとミナに、どうしても相談したい事があったのです。
妊娠中のレナは、既に3児の母親で今年の秋には旦那さんの地元である愛媛県に引越して暮らす事が決まっていて、引越し当日に向けて徐々に準備を進め忙しく過ごす日々の中、予定を合わせてくれました。
そしてもう一人のミナはバリバリのキャリアウーマン。休日はアクティブにライブやイベントと言った遊びをしっかり楽しむ多趣味な性格で、空いている休日がなかなか合わないタイプなのですが、私が相談したい事があると伝えると直ぐに予定を空けて駆け付けてくれました。
2人に相談したい事とは勿論、コウイチさんについてでした。
「あ~、愛媛に移り住むの嫌だなぁ、友達も居てないしさぁ。エイミとミナを連れて行きたいよ~!ねぇ、一緒に行こうよ~?私の家の隣の土地、まだ売れてないよ?愛媛県良い所だよ~、温泉もあるし長閑で良い所だよ~?」
とレナが含み笑いしながら言うと、
「そんな事言いながら、マイホームの完成を楽しみにしてるんでしょー?夢のマイホームは夏には完成予定だったよね?家ができたら遊びに行くから私とエイミ専用の部屋をちゃんと用意しておいてよー。」
とミナが話し、からから笑っていました。
「そう!だってマイホームぐらいしか楽しみが無いんだよ?部屋はちゃんと用意してるから任せて!絶対遊びに来てよ~!」
と今度はレナがからからと笑いながら話していました。
この日2人に会う以前から、プロポーズされた事などの経緯はメールや電話で話していたのでその件については2人共とても喜んでくれたのですが、出会って間もない間柄なので相手の事を信用できるのか、優しい性格なのか、と根掘り葉掘り尋ねられていました。
相性はどう?2人でやっていけそう?脳の病気の事を話して解って貰えたの?と親身になってずっと気に掛けてくれていました。
そんな2人に、つい最近起こった出来事を聞いて貰おうと考えていたのです。
「レナとミナは、車の運転が荒い男の人をどう思う?デートの時はコウイチさんが運転をしてくれるんだけど、急な割り込みをしたり先を急ぐような運転をしたりするのが凄く怖くて不安で仕方なくって。男の人って多少はそういうところもあるのが普通なのかなぁ?」
と訊くと、
「それ凄く解る!私の旦那さんも、運転が荒くて怖く感じる時あるもん!旦那さんからしたら、私の運転の方が怖いらしいけどね。やっぱり運転の癖とかも人それぞれだから、怖く感じたりするのも結構お互い様なんじゃないかな。」
とレナが答え、
「私のお兄ちゃんも、出来るだけ運転して欲しくないくらいに運転が荒いよー。急いでない時でも必要以上にスピードを出したりするからね。」
とミナが答えてくれました。
「そっかぁ、それぐらい誰にでもある事で私が神経質と言うか気にし過ぎてるだけなのかなぁ?でもね、この前コウイチさんと遠出した時に死ぬんじゃないかと思った事件があったんだけど。」
「何々??」
「実は……高速道路でバックしようとしたの。」
「えー!!!!」
驚愕した2人の声が綺麗に揃って、辺りに響き渡りました。