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積み重ねた違和感を気付かないふり

出会ってまだ一ヶ月も経っていないコウイチさんと、結婚に向けてのお付き合いが始まりました。


どんな家庭を築いていきたいか、どんな風な将来設計を考えているのか、どんな事が許せないのか、考え方や価値観を確かめ合うように様々な事を話し合いました。


これまで携わってきたお仕事の話やお互いの家族の話、最近起こった他愛無い出来事とその時に感じた思いなど多岐にわたり、私もコウイチさんも飽きる事なく語り合う日々を重ねていきました。


フリーランスでお仕事をしているコウイチさんは自分の就業時間を自分好みに調整出来るので、私の休日に合わせてコウイチさんもお休みを取る様になり、可能な限り一緒に居られる時間を作ってくれたので、ショッピングモールでの買い物デートと言う予定がベンチに腰掛けたまま2人とも夢中になって5時間程話し込んでしまうような日もありました。



そうやって2人きりで過ごす親密な時間が増える内に、コウイチさんは緊張している時や焦っている時は初対面の時のように一心不乱に話し続けるか、緊張のあまりまるで言葉が出てこなくなるかの二択になるんだなぁと気付くようになりました。


言葉に詰まる時は、


「落ち着いてね、ゆっくりで良いんだよ。」


と伝え、上手な表現方法が出てこなくて顔を顰めている時は、


「考えがまとまったらで良いから、今度また教えてね。」


と出来るだけ優しげに微笑んで声を掛ける事もありました。




コウイチさんは海外旅行が趣味な上に、お仕事では英語の読解が必要不可欠なので日常会話などの英語を難なく熟せます。


その所為か、言葉がなかなか出てこない時などは頻りに、


「英語だったらもっと上手く話せるのに。」


とか


「エイミさんが英語での会話を理解するようになってくれたら、僕も英語で話せて表現し易いしもっと伝わり易くなるのに。」


と、責めるような言い方をされる場面も出てきました。



「それじゃあ、私が英語を話せるようになるまでコウイチさんが英語を教えてくれる?ゆっくりなペースでも良いなら、覚えられるように努力していくから教えて貰えたら嬉しいなぁ。」


と訊いてみると、普段はあまり表情の変わらないコウイチさんも笑顔を浮かべてとても喜んで頷いてくれました。



日本語より英語の方が話し易いなんて、何故だろう。お仕事がシステムエンジニアで英語が身近だから?英語だったら直接的な表現が出来るから?確かに日本語は回りくどかったり曖昧な表現が多いような気もするけど、生粋の日本人でも英語を話せるようになったらそう感じるものなのかなぁ?

言葉に詰まったり言葉が出てこなかったりするのも、数学やパソコンに強い理数系の人は頭でしっかり考えてから話す分タイムラグがあるからかなぁ。


コウイチさんの独特な話し方や考え方を不思議に思い首を傾げる事もありましたが、勉強やお仕事が出来る賢い人は着眼点や脳を使う所が他人と違うのだろうと考えていました。





出会って二ヶ月後には、お互いの両親にご挨拶に行こうかと言う会話をするようになりました。


でもその前に2人で色々な場所に行きたいねと話し、その言葉通りに京都旅行や横浜旅行を計画し繁華街を回ったりもしましたが、観光地でのコウイチさんの振る舞いに違和感を覚える事が何度かありました。


店先に並んでいる大勢の人の行列に気付かず、間に割り込んでそのままお店に入ろうとしてそれを注意してもあまり気にした風でもなかったり、注文を取りに来てくれた店員さんに対して、落ち着きの無い様子で吃ったり視線を彷徨わせたりする態度を見ていると、対人恐怖症若しくは重度では無いコミュニケーション障害を持っているのかなと感じるようになりました。


一方的に話す感じだとか強引なところだとか、第一印象からコミュニケーション能力が高くはなさそうだと薄々感じてはいたので、それならばと、一緒に居る時は出来るだけ私が他の人との応対をするようにしたら良いだけの事だと思いました。


積極的にそうする事で、コウイチさんの心の負担が減れば良いなと思いながら。



列に気付かずに割り込んだりする注意力散漫なところも、偶々だったのかなと意識的に気にしないようにして、私だっておっちょこちょいなところがあるからお互い様だよね、と深く考えないようにしていました。


折角2人で居るんだから、足りない所や短所はお互いの長所や得意な所を活かして補い合いながら生活していけたら良いんだと、前向きに捉えようとこの時は考えていたのでした。


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