第22話 「これってラブコメだよね?」
「えっとコインを投げると」
ファンと音ともに俺は裏世界に来た。
どうやらこの能力もラノベまんまらしい。
因みに能力というのはコインを投げ地面に落下するまで自分だけ裏世界に行く事ができ自分以外は止まっている。
そして表世界では俺の姿は見えない。
「相手の後ろまで行って、サーベルを刺して抜く。そして地面に投げつければ」
ファン
「ギュアァァァァ」
目の前でターゲットが倒れた。
これも原作通りか。
表世界には裏世界の事が裏世界崩壊と共に反映される。
「手の中にコインが戻ってきてる」
ここまで原作通りなのか。
そしてこの能力の最大の特徴は、コインにある。
コインは持ち主以外には見えず触れることもできない。
コインは地面(持ち主が踏んでいる部分が地面扱い)に触れることで消滅し持ち主の手に戻ってくる。
「この能力は普通に強いよな」
こうして、クエストを難なく達成した俺であったさ
「ここがギルドか」
あまりの大きさに思わず声が出てしまった。
幸い周りは騒がしいため誰にも聞こえてないようだ。
でもギルドってこんなに想像通りなんだ。
「おい、あんたぼさっとしてないで進んでくれ」
「あっすみません」
なんか強そうな冒険者に怒られる反射的に避けてしまった。
というか普通に怖い。
てか俺この世界でやってけるかな。
取り敢えずギルドの酒場っぽい場所の端の席に座ることにした。
「そうださっきの封筒を読もう。ふむふむ」
封筒の中の紙に書いてあることを整理する限りこれは俺の好きなラノベ主人公と同じ能力な気がする。
違うことと言ったら武器ぐらいだ。
「ただ色々分かったけどどうしよう。何したらいいかが分からん…」
俺がなぜ異世界転生されたかは分からない。
早く元の世界に帰りたいな。
天水に会いたい。
「ちょっとダーリン何してるのこんなところで?」
「どちら様ですか」
肩を叩かれる急に話しかけてきたのは狐のお面を付けフードを深く被った人だった。
声とダーリンと呼ぶ事からして女性だろう。
てか今ダーリンって言った!?
「あの今ダーリンって」
「ちょっと何寝ぼけてるの?それにいつもの仮面はどうしたの?」
さっきからクエスチョンマークが頭の上でピョンピョン跳ねている。
この俺をダーリンと呼ぶ女性は誰だ?
それにこの声もどこかで聞いた事がある気がする。
「私だよ、あなたのフィアンセのアリスだよ」
「って言われても分からないんだが」
「もしかして冒険中頭でも打った?」
「どうだろう」
「もう本当どうしたの?心配だから今日はもう帰るよ」
「え、ちょまだ来たばっか」
俺は腕を引かれるがままギルドから連れ出された。
てか力普通に強!
周りからは『ヒューヒュー』などと茶化す声が聞こえてくるがそれどころではない。
そして…
気がつくと知らない家にいた。
………
「それであなたが俺のフィアンセのアリスさんと」
「そうだけど、そんなかしこまった言い方しなくてもいいのに「?
気がつくと目の前に俺を連れてきたであろう女性がいた。
ただ、その時とんでもないことに気づいた。
角が生えていたがそれよりもアリスの顔に驚いた。
(天水そっくりだ)
この世界に来て初めて運命というのを感じた。
これもサガか何かなのかな。
「本当にどうしたのダーリンぼうっとして?今日はダーリンの好きなスープ作ってあげるから元気出してね」
「う、うんありがとう」
そう言ってキッチンらしき方に行ってしまったアリス。
そういえば腹も減ってきたな。
窓の外も暗いし、今日はここに泊めてもらうか。
いやまてよラノベ通りならここは俺の家だから…
なんだか複雑な気持ちだ。
「もう今日は考えるのはやめよ」
「何か言った?」
「なんでもないです」
それからアリスの特製スープを食べ寝ることにした。
てかこの部屋ベットが1個しかない。
「俺は床で寝るからアリスさ…アリスはベットで寝なよ」
「何言ってるの?いつも一緒に寝てるじゃん」
「ふへ?そ、そうなの」
俺嫁がいるのに他の人と寝るのか…
ごめん、天水今日だけは許してくれ。
………
今日は再びギルドに来て依頼を受けた。
言葉はなぜか日本語だったので助かったが異世界感ゼロだなと感じた。
「えっと怖い森にいる、不良ゴブリンを退治か」
何というネーミングセンス。
不良ゴブリンってなんだよ、この世界のゴブリンって見方なの?それとも他のやつよりグレ具合が違うからそんな名前がついたの?
考えれば考えるほどツッコミが思い浮かんでくる。
よし退治に行こう。
第22話読んでいただきありがとうございます。
次回も読んでいただけると嬉しいです!
以上イヴでした。