第11話 夏の戦争
天水の父に頼まれたお墓参りに行く事になった伊武島龍夜と雨音天水
偶然にも龍夜の家のお墓も同じ場所にあったと知る。
2人はお墓参りも済ませ帰ろうとした時辺りが霧に包まれ2人はバラバラに
そんな状況で現れたのは…
遡る事3日前…
私はりょうくん(龍夜)くんとお墓参りに来ていた。
どうやらあの時お父さんと話していたのはこの事らしい。
不安もあり自分の墓参りというのも不思議な感じではあったが行く事にした。
数時間後、無事にお墓まで着いた。
そして何事もなく終わった。
心配して損したと思いながら私たちは帰ろうとした。
しかし、ここからが最悪の始まりだった。
周りは霧に包まれりょうくんの姿も見えない。
そして私の足もなくなっていた。
「りょうくん?りょうくん?」
呼んでも返事がない。多分離れ離れになったのだろう。
りょうくんを探さなきゃ
そんな思いで探そうとした時どこからか声がした。
「天水や、元気じゃったか?」
聞き覚えのある声だった。
「ひいお爺ちゃん?」
それは曽祖父だった。
そして他にも高祖父、高祖母、そして小さな女の子他にも沢山いた。
「その子は誰?」と私は小さな女の子を指差すと
「私は高祖母の母だよ」と言われた。
いやいや小さすぎるでしょ?何歳で産んだの?
そんなツッコミを入れそうになったが流石にご先祖様に失礼だと思い抑えた。
「それでどうしたんですか?みんな揃って」
すると高祖母の母が言った。
「貴方を迎えに来たんだよ」
一瞬何がなんだか理解できなかった。この人?は何を言っているんだと
「ちょっと迎えに来たってどういう…」
「言葉通りだよ」
そして次の瞬間辺りの空気が変わった。
みんな顔の表情が変わり悪霊のようなオーラを放ち始めた。
「ずっと待ってたんだよ可愛い可愛いマゴガグルノヲ」
そこにはさっきまでも優しさの面影など全くなくただ連れて行こうとする思いだけが伝わるような言葉だった。
私は全力で逃げた。
出口もわからない、りょうくんの居場所だってわからないけどひたすらに逃げた。
本当にお墓かというくらい広く感じる道も幅があった。
逃げていると目の前に何か落ちていた。
「ボール?」
次の瞬間ボールが転がりだした。
ここまで来るとこんな怪奇現象も平気だった。
ただひとつだけ感じたのはボールがついて来いと言っているみたいだった。
そのボールについて行くと…何かにぶつかった。
「すいませんぶつかっててりょうくん?やっと会えた。どこに行ってたの?」
「天水こそどこに…」
「ごめんりょうくん今はすぐに逃げないと、私今追われてるの」
「誰に?」
「それは後で説明する」
「わかっただがどっちへ逃げればいいかわからないんだ」
するとりょうくんは私の手を掴んで走りだした。
握られた手の温もりを感じまだこっちの世界にいる事を実感した。
それからは、藍子という少女に導かれ脱出することができた。
なぜかその子に懐かしさを感じだがほとんど思い出せなかった。
ただ1つだけ思い出せたのは昔あの場所で泣いていた子にそっくりだということだ。
深く考えることはやめりょうくんと家に帰ることにした。
それから数日…
「見てみてりょうくん」
私は新しい力手に入れた。
「どうした天水?」
「見ててよ」
そして私は半透明になってみせた。
「そ、天水!?」
びっくりしているりょうくんを後目に壁をすり抜けた。
ただ調子に乗ったと後悔したのはその後だった。
「天水ちょっといいか?これと」
とりょうくんが差し出したのは今日私が着ていたスカートだ。
「なんで、持ってるの?」
とうとうそう趣味に目覚めたのかと思ったが自分の体を見た瞬間恥ずかしさのあまり死にたくなった(もう死んでるけど)
全裸だった。
そしてドア越しではあるが少し見られた。
どうやらこの力のデメリットを理解していなかった。
体は透明でも着ていたものまではならないらしい。
今の格好で部屋に戻ることが出来ず、「こっち見ないでね」と言って後ろを向いてもらった。
これからは気をつけよう。
………
祖先に追い回され大変だったお盆も終わり夏休みも終わりを迎えようとしていた。
俺は特に何も出来ず無駄にしてしまった夏休みをどうにか取り戻そうと考え1つの結論にたどり着いた。
「そうだ海に行こう」
近くにいた天水が不思議そうに首を傾げている。
「これまた突然だね、どうしたの?」
「いやいろいろ忙しくかっただろだからみんな誘って海行かないか?」
「いいよ」
あっさりOKしてくれた。
「でも今から?」
「いや、明日だ」
「それはそれで急だね」
とりあえず、鶴華、順、あと美狐と聖熊を誘うことにした。決してやましい思いはない。
誘ってみたところあっさりみんなOKしてくれた。ちょうど暇だったらしい。
そして海へ行く当日、快晴だった。
海まではすぐだった。(電車で1時間弱)
到着してすぐに向かったが思ったより人はいなかった。
「よし着替えるぞ」
そう言ってそれぞれ更衣室に向かった。
俺と順と聖熊が着替え終わって外に出るとすでに鶴華がカメラを持って待っていた。
鶴華は清楚なコーラルピンクの水着にラッシュガードを着ていた。
「遅いよ〜」
「すまんすまん、それより美狐ちゃんと天水は?」
「2人ともまだ着替えてるよ、それより早く本拠地立てよ」
「本拠地?」
最初はなんのことかわからなかっがなにかを悟った順が動きだした。
どうやらシートとパラソル立てろということだったらしい。
本拠地?を立てると順は鞄からPCを取り出した。
「おいおいここでそれやるかよ」
「いやこれは写真の保存をしてすぐに送るためだ」
なにやら企んでいるらしい。
「いいか鶴華、わいは写真を保存してそっちへ送る。最高の写真頼んだぞ」
「任せな」
なんか2人ともキャラ変わってね。
ふとやけに大人しい聖熊を見ると何か寂しそうだった。
喧嘩もするけどやっぱり好きなんだな。
少しして美狐が来た。聖熊の顔が一気に明るくなった。
そしてその後ろから何者かが美狐を撮っていた。(誰かはあえて言わないでおこう)
「おーい」
天水の声がした。
これまた清楚で白いビキニ。つい見とれてしまったがまたなにやら後ろで動いている。
鶴華だ。いろんなアングルから「いいね」「それ最高」などと何というか殺○んせーみたいな感じで撮影していた。
それから撮影会は昼まで続いた。
お昼ご飯を食べた後本格的に海で遊ぼうと思ったが順と鶴華はパラソルの陰から出ず、美狐と聖熊は砂の城を作っていた。
小学生2人が1番満喫している気がした。
結局海に入って遊んだのは俺と天水だけだった。
遊んでいる途中改めて天水の胸部の大きさを実感した。めっちゃ揺れていてちょっと目のやり場に困った。
それをみる鶴華の目も痛かった。
ただ、楽しかったのでしよとしよう。
楽しい時間はあっという間にに過ぎ今は帰りの電車、すでに日も傾き夕日が車窓から差し込んでいた。
俺以外はみんな寝てた。1番動いていなかった順でさえ寝ていた。
天水も俺の方に頭を乗っけて寝ていた。
「また来年も来れたらいいな」
………
忙しくも楽しかった夏休みも残り3日になった。
そして、ここから戦争の始まりだ。
課題が1つも終わってないという戦場に俺は落ちた。
今までは割と余裕で進められていたが今年の夏は例年とは比較的にならないくらい忙しかった。
そのせいで手がつけられなかった。
みんな呼んでいざ出陣と言いたいところだったが、今回は鶴華も順も断られてしまった。
後2人とも課題が終わっていると知った時はなんとも言えない気持ちになった。
天水すでに終わっていて真面目に終わっていないのは俺1人だけだった。
「なあ、気分転換にどっか行かないか?」
「課題終わったらね〜」
天水は少し意地悪な感じで言ってきた。
「やりますよ…」
同日、三宅宅にて、
「何でこんなになるまでためたねみこちゃん?」
「うるさいな、仕方ないでしょめんどくさかったもん」
「僕はもう終わったからテレビゲームしてるね」
「いいな私も遊びたい!」
「終わるまで駄目ですからね」
「はい、ママ」
かくして忙しく、楽しくだった夏休みは終わった。
どうもイヴです。第11話読んでいただきありがとうございました。今回初の水着回挑戦ということで思ったより難しく感じたのですがどうですかね。なんかあまり話すこともありませんがとりあえず1つだけ
宿題や課題はこまめにやりましょうね。次は再来週になります。お楽しみに〜
イヴでした。