9/25
走れよメロス 2
放課後、職員室。
メロスは耐えかねるように、憤懣やる方ないと歯を食い縛り目付きを鋭くする。
「……まーた退部届がない!!先生!」
「例によってないぞー」
「メロスー、気持ちはわかるが職員室では静かになー」
かったるそうに答える男性教員。加えて他の教員から注意も受ける。
メロスはわなわなとストレスを感じさせる形相だ。妹の退部届さえ出せていないのだから仕方がないかもしれないが。
「もう普通の紙に書いて出しますよ!?」
「退部届の用紙じゃないと受理せんぞ?」
「仮にも陸上部顧問としてっ、一応の教え子の要望に応える気はないんですか!?」
「次には用意しとくー」
「お役所仕事かクソガッ!!」
納得いかないメロスは地団駄を踏んだ。いつもだいたいのことはどうでもいいと横に流すメロスをここまで怒らせられるのはこの顧問くらいだろう。まあ周りもメロスもなんだかんだ真面目だからかもしれないが。
「次ほんとに用意していなかったら、教育委員会的なやつに訴えますからね!」
曖昧すぎて迫力がない上、そんな細かいことで取り上げるか疑問の残る脅し文句を言い捨て、メロスは職員室から退室した。今すぐに用意させればいいというのはメロス的に不可能なことなので、そっとしておいてあげて欲しい。




