シスコンメロス 4
そんなこんなで翌日の昼。結婚式はもう開幕している。義弟は常々早い方がいいと言っていたが、早すぎないだろうか。
夜は準備にこき使われ、結婚式が始まるとほぼ徹夜明けにも関わらず、領主の挨拶をBGMに朝っぱらから義弟の酌をさせられているメロス。
最愛の妹の晴れ舞台にスピーチも許されず、されど緊張するのでわりと喜んでいるという威厳のへったくれもないメロス。ちなみに領主の腹いせである。
そんな彼はおおいに困惑していた。なにせ
「義兄殿。貴方のおかげで、私は最愛の人と添い遂げることができる。ありがとう。」
なんて言葉をいつも説教をたれてくる義弟からかけられたのだから。
これに対しメロスが抱いた感想は「こわっ。」である。上機嫌で酒の入った義弟は気づいていなかったが、メロスは数秒間信じられないものを見る目で固まった。
義弟としては機会がなかっただけで、メロスに対して一定の感謝と敬意の念は持ち合わせている。主に最愛の人を庇護し健康に育てた功績についてだが。
やはり他人の思考なんてきちんと言葉にされなければわからないのだ。鈍感系は知らん。
「…こちらこそ~!」
義弟の意図が掴めなかったメロスは当たり障りのない言葉を返した。
通じあってない感じがひどいものだった。
この後メロスはご機嫌とりにどんどん酒を注ぎ義弟を酔い潰し、妹の機嫌を損ねてしまった。
あちらを立てればこちらが立たず。




