走れよメロス 7
メロスの妹が再入部した美術部前。
そこをメロスが不審者然としてウロチョロしている。妹の部活めっちゃ気になるッ!というところだろう。
まあ心配する気持ちもわからないものではない。美術部からの奇声は噂になっている。あと部長が男嫌いとか。
だがそこは漢メロス、覚悟を決めようとしている。来る前にやっとけとは無理な話、妹のことを考えていたが故に、妹に
『部活わざわざ見に来るなんてキモイ!!』
なんて言われないか不安になってきたのだ。真性のシスコンである。
だがメロスの心理的準備が終わる前に、無情にもドアは開かれる。ちなみに引き戸だ。
ずっとウロチョロしていた上うなり声を出していたため当然だが。美術部の噂に磨きがかかってしまう……。
そしてメロスと、出てきた女生徒は数秒間見つめ合い────女生徒が早々に口を開く。
「私たちのモデルになってくれないかなっ!?」
「は、はいぃっ……!?」
いきなりな物言いに、さしものメロスも面食らって返答がどっちつかずだ。
それを運の尽きと言うか、自業自得と言うかは各々の見解に任せよう。
なお、メロスの中でこの女生徒は『スカウトの人』になった。
「よっしゃ言質とった!つれこめー!」
彼女は色好い返事と解釈したようで、メロスは複数の美術部員にひきずられる。
少しして「ぎゃああああ!!」なんて男の悲痛な断末魔が、校舎に轟いたとかなかったとか。そんな響く訳ねぇだろということで、後者を推すところである。
ちなみに『スカウトの人』は部長らしく、本人の口から男嫌いは嘘っぱちだと語られた。曰く、男を作品の題材としてしか見ておらず、かなり冷たい態度に思えるらしいと。言い方からして自覚はない。




