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シスコンメロス 2
メロスは前金を受け取った足で服飾店にかけ込み、かねてより仕立てを依頼していた花嫁衣装を受け取り、家路を十時間競歩で消化した。
ドアが古く歪んでいて開きづらいため勢いよく開け放ち、
「資金が工面できた!これでお前は結婚できるぞ!」
と武将が名乗りをあげるがごとく、やや興奮ぎみに叫んだ。
妹はそれをきくと顔をほころばせて喜んだ。感謝の言葉はない。流石の十六歳乙女、兄の苦労とか全く眼中にないようだ。
常日頃の扱いに比べれば比較的いいというのも涙を誘う。それでも尽くすあたりメロスはやはりシスコンの鑑だった。
まああまりもたもたもしていられない。主役が知らなければ話にならないのだからとメロスは踵を返し、お次は領主の家、つまりは婿のところへ向かった。




