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走れよメロス 3
校門近く。
「メロス!練習に参加しろ!」
メロスはうっとうしそうに舌を打って向き直る。マンガに出てきそうな熱血漢にエンカウントしてしまったからだ。遭えばダメージは必至なのでせめてとすげない態度をとる。
「会っていきなりそれですか?」
「お前はすぐ逃げるから早々に用件を済ませないとな!お前すごく早いじゃないか!なんでやめるんだここで!気持ちの問題だ!陸上部のやつらもったいないって言ってたぞ!!お前ならできるできるできる(ry」
現代の今中々ない、暑苦しい言葉をかけられているメロスは眉根をよせた。そこそこ恥ずかしい上に内容もそこそこ薄い。照れとかじゃなく、共感による黒歴史的な恥だ。
これが遭えば毎日行われるのである。一言一句同じ内容で。ある意味すごいが、避けたくなるのは仕方ないと思うのだ。しかもこの熱血漢、陸上部ではなくテニス部部長である。内容の薄さも専門ではないからが百理ある。
「───陸上部をやめるなら是非我がテニス部に!」
話が勧誘にシフトするまでがセットである。ちょっとデリカシーが死滅しすぎじゃなかろうか。メロスがセンチメンタリズムを身に付けていたらラリアットの刑だった。
「お断りです…」
メロスは疲れた声で断りきびすを返した。




