表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ビエナと小魚亭

作者: しまリリス

暖かい陽射しが柔らかく降り注ぐ町サンライト。


ゆっくりと穏やかな時間が今日も流れている。



「こんにちはビエナさん。お帰りですね。」


出迎えてくれたのは狐人(フォックスマン)の青年。


私はこの小魚亭に泊まっている。


ここはこの町サンライトの下門から徒歩で10分の所に位置する宿泊施設。


「えぇ、素敵な本を見つける事が出来ましたので、今日はゆっくりと過ごそうかと思いました。」


出迎えてくれると言っても、カウンターから顔を覗かせて私の姿を確認しただけ。


「それは良いことですね。どんな本を見つけたのでしょうか?」


話題に興味を持ってもらえたらしい。


「ピンクローズの植生録です。もう、一冊しか無くて我慢が出来なくなってしまいました。」


「それは素晴らしいですね。どうぞごゆるりとお過ごし下さい。」


時間外のためか食堂には人はいず、空いている席の一つに座り、それからゆっくりと本を開いた。


穏やかな時間が流れていく。


外から子供たちの笑い声が聞こえる。


そっと柔らかい風が本を読む私の頬を撫でる。


そうして、また時間は流れていく。



ひょこ



本の向こうに白い三角の耳が立っている。


女の子だ。


狼人(ウルフマン)の子がじっと私の読む本を見ていた。


その様子がなんだか可笑しくてつい話しかけてしまう。


「あなたピンクローズに興味があるの?」


女の子は私を見つめると、首を傾げるような仕草をしてしまう。


その姿がもっと可笑しくて笑みが溢れてしまう。


「私はねこの町にピンクローズの生態について調べに来たただの、、、そうねお花好きかしら。」


女の子は返事を返してくれないけれど、私は構わずお話を続ける。


「世界のあちこちにある、そこにしか無いお花を私は知りたいの。」


「あちこちをこの足で歩いて、この目で見て、ちゃんとお話しを聴いて、お花がどうやって、どうして咲いているのか、それを知りたいの。」


「だから、こういう本を見掛けちゃうとどうしても気になってしまうの。」


私と女の子はお互いの目を見ていた。



「ごめんなさい、ビエナさん、その子言葉を話せないんです。」



そう言って両脇を抱えて女の子を持ち上げるルピさん。


狐人(フォックスマン)の青年と狼人(ウルフマン)の女の子。


一見するとまるで兄妹のようにも見える。


「いえ、此方こそ、そうとも知らずに話し掛けてしまいましたね。」


「いえいえ、此方の落ち度ですよ。しっかりと面倒を見てやれて無いのがいけないんです。」


そういうと女の子を抱えて連れて行ってしまう。


私はその後ろ姿を見ていた。



夕刻も近くなってきたので、一旦借りている自分の部屋に戻って身仕度をする事にした。



陽が空から見えなくなると町は静かに、けれども食事処を中心として賑やかな声が聞こえていた。


私は夕食を食べる為に、宿一階に隣接された食堂へと足を運ぶ。


ここも人で賑わっていて食べ物の良い匂いがする。


食堂ではウェイトレスさんが注文を聞いて回っている。


そのうちに私にも注文を聞きに来た。


「何を食べますかー?今のおすすめはタアンとモールの肉サラダ、ヘーペロンの卵焼き、ガージャスの焼き肉ですね。」


「じゃあ、タアンとモールの肉サラダと、もうひとつは卵焼きで。」


食事を運んできてくれたのはお昼の女の子だった。


料理を並べると一度だけお辞儀をして戻って行ってしまった。



夜。


賑やかな声も落ち着いてきて、もう外からも中からも音は聞こえない。


小窓から月をゆったりと眺めて、お昼のことや明日からの事を考えていた。


あの子にお礼を言わないと。


話しを真剣に聞いてくれた。


分かってないかもしれないけれど。


明日はジョンさんのお屋敷へ行かないと。


ピンクローズの育て方や種子の入手方法や育てるための環境について。


私はそっと眠った。

食材名は適当です。

ピンクローズも適当です。


2019/06/24 pv100超えました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ