暗闇。
前が見えない。
周りが見えない。
たしかに近くにあるはずなのに…
そう言った僕は、ようやく触れたヒーターの電源をいれる。
「はぁー…あったかい」
しかし、まだ明かりが無い。
「うーん…スイッチどこだ…」
あてもなく探っていくと、一つの物体が手に当たった。
「なんだろ、これ」
部屋の電気を付ければ良いのだが、そこまで体が動かない。
手で触りながら必死になって考える。
「あれれ…ボールじゃないし、ビー玉でもないし…」
「こんなのもってたっけ?」
そう独り言をブツブツ言いながら、真剣に考えた。
「なんだろうこの球みたいな形は…」
手に意識を集中させながら触る。
ここで完全な球体ではない事に気づいた。
しかし、今触ってるような形の物は持ってない気がする。なかなか分からず、でも諦めて電気を付ける気にもならず、暗闇の中で、謎の物体をずっと撫でている自分がいた。
そのとき。
ちょっとだけ形が変わった。
しかし結局わからないまま。でも諦めない。
気づけば、外が明るくなるまで考えていた。
その瞬間睡魔に襲われた僕は、それから昼まで寝ていた。
ヒーターの熱が直に当たっている腕が燃えそうになった時に目が覚めた。
手をついて起き上がろうとしたとき、明らかにいままでとは感触が違う何かを持っていたことに気付いた。
手のひらを見た。
そこには白くて小さい不規則な形の何かがあった。