【書き下ろし】ハム摩呂、三度あることは四度ある
――陽だまり亭
ハム摩呂「四度目の正直やー!」
ヤシロ「三度目だ、それを言うなら」
ハム摩呂「仏の顔も四度までやー!」
ヤシロ「一回分欲張るな!」
ハム摩呂「のど仏四個セットやー!」
ヤシロ「いらんわ、四個も!」
エステラ「また今日も賑やかだね、ヤシロ」
ヤシロ「俺じゃなくてハム摩呂が、だろうが」
ジネット「また似顔絵を描くんですね、ハム摩呂さん」
ハム摩呂「ふぁるまろ?」
ロレッタ「それ、本物の方です! ――なんの話かはよく分からないですけど!」
マグダ「……ついに言っちゃった」
ジネット「え、えっと、今回はどなたを描くんですか?」
ハム摩呂「おねーちゃーん!」
ロレッタ「あたしですか! やったです!」
ハム摩呂「――以外、全員ー!」
ロレッタ「あたしも描いてです! そういうのイクナイって何度も言ってるですよ!」
モーマット「なんだなんだ、ハム摩呂が似顔絵を描いてくれるのか?」
ウッセ「本当に描けるのか、こんなガキが?」
パーシー「カッコよく描けし、マジで」
アッスント「んふふ。少々照れますね」
ウーマロ「……あんまり期待しない方がいいッスよ」
ハム摩呂「…………しゅん」
ベッコ「やややっ!? 急に元気がなくなったでござるぞ、ハム摩呂氏!?」
ハム摩呂「…………原動力の、神隠しやー……」
ヤシロ「こら、男ども! 今すぐ帰れ。ハム摩呂がやる気なくしちまったじゃねぇか」
モーマット「なんでだよ!?」
ヤシロ「考えたら分かるだろ? 書籍といえど、イラストには限りがあり、ページのサイズも決まってるんだ」
マグダ「……余計なものを描くスペースは、ない」
ウッセ「誰が余計なものだ、こら!?」
ロレッタ「男性キャラはお呼びじゃないというのが、運営からのお達しです」
パーシー「誰だし、運営って!?」
エステラ「そういうわけだから、君たちは帰ってくれるかな?」
アッスント「……見えざる力を感じますね」
ベッコ「しかしながら、ウーマロ氏とオメロ氏は、男の身でありながらイラストになったと、――どこの世界の話かはさておき――小耳に挟んだでござるぞ!」
ヤシロ「あぁ……それはな……」
ハム摩呂「ウーマロとオメロは男じゃなく、ヘタレやー!」
男ども「「「「あぁー、なるほど」」」」
ウーマロ「なんで納得するッスか!? 納得いかないッス! あと、呼び捨てにするなッス、ハム摩呂!」
ハム摩呂「はむまろ?」
ウーマロ「お前ッス!」
ロレッタ「このシリーズでは珍しく、正しい『はむまろ?』の使い方をしたですっ!?」
エステラ「……そんなところに驚くあたり、君も随分毒されているようだね」
マグダ「……そんなわけで、部外者には帰ってもらった」
ジネット「そうなると、今回似顔絵を描いてもらうのは誰になるのでしょうか?」
デリア「なぁ、ハム摩呂見なかったか?」
ロレッタ「あ、デリアさん。ハム摩呂ならここにいるですよ」
デリア「おぉ、いたか。なんだよ、あたいに用って?」
ハム摩呂「似顔絵描くー!」
デリア「あたいのか?」
ハム摩呂「副ギルド長に土下座されたー!」
エステラ「……自分だけイラストになって、デリアのイラストがなしってことになれば……」
ヤシロ「確実に洗われる……いや、洗われ続けるだろうな」
マグダ「……命がけの土下座だったに違いない」
ロレッタ「オメロさん……漢です」
ジネット「あの、みなさん……それはさすがに大袈裟なのでは?」
デリア「んじゃあ、さっさと描いてくれよ」
ハム摩呂「うんー! さらさら~。できたー!」
ヤシロ「相変わらず早ぇなぁ」
――デリアの似顔絵。どう見ても、リボンをつけたオメロ。
デリア「…………」
エステラ「…………」
ロレッタ「おろおろ……」
マグダ「…………南無」
デリア「………………洗ってくる」(ダッシュで出て行く)
ヤシロ「オメロ、逃げろー! 外門を出て、後ろを振り向かずに三日三晩走り続けろぉー!」
ジネット「……大丈夫です……よね?」
エステラ「ごめん、ジネットちゃん。『精霊の審判』に引っかかるような無責任な発言は、ボク、出来ないんだ……」
ナタリア「(突然『にょきっ!』っと現れて)『エステラ様はぺったんこー!』」
エステラ「どこから湧いて出た!?」
ナタリア「私も、『精霊の審判』に引っかかるような無責任な発言は出来ません! 断じて!」
エステラ「よぉし、そのケンカ買わせてもらおうかっ!」
ジネット「あ、あの、どうか穏便に」
ヤシロ「ナタリアもハム摩呂に呼ばれたのか?」
ナタリア「はむまろ?」
ロレッタ「別の人バージョン、初めて見たです!?」
マグダ「……その発想はなかった…………さすがナタリア。侮れない」
ハム摩呂「メイド長さん描くー! …………ん?」(突然動きが止まる)
ロレッタ「どうしたです、ハム摩呂?」
ハム摩呂「…………給仕長さん?」
ロレッタ「WEB版ではいつの間にか給仕長に変更→統一されているですけど、書籍版ではメイド長で押し通したってことは公然の秘密なんですよ!? ……どこの世界の話かはまったく一切分からないですけどもっ!」
ナタリア「ややこしいので、『ミス四十二区』とお呼びください」
ハム摩呂「こころえたー!」
エステラ「さらっと捏造するのやめてくれるかな!?」
ヤシロ「『精霊の審判』に引っかかる発言は出来ないと言ったそばから……」
マグダ「……ナタリアは、四十二区で一番舌の根が乾くのが早い女」
ジネット「凄いです。そんな特技をお持ちだったんですね」
エステラ「いや、ジネットちゃん……褒めなくていいから」
レジーナ「(突然『にょきっ!』と)なんや、誰のナニが濡れ……」
ヤシロ「退場ー!」
マグダ「……あいあいさー」
ロレッタ「つまみ出すです」
ジネット「あ、あの……今のはレジー……」
エステラ「大丈夫だよ、ジネットちゃん。なんでもないから。見なかったことにしよう」
ジネット「は、はぁ……」
ナタリア「それで、私はなぜ呼ばれたのでしょうか?」
ハム摩呂「似顔絵描くー!」
ナタリア「分かりました。芸術のためですね。(脱ぎっ)」
ヤシロ「こいつも退場ー!」
エステラ「待って! こんな半脱ぎでウチの給仕長を表に放り出さないで!」
ジネット「あわわっ、ヤシロさん、目を閉じてください! 見ちゃダメです!」
ロレッタ「あたしが塞ぐです!」
マグダ「……目を開けたら……つぶすっ」
ヤシロ「くっそぅ! ならばハム摩呂! 出来るだけ詳しく描いておけ!」
ハム摩呂「うんー! さらさら~、出来たー!」
ヤシロ「早ぇよ! もっとじっくりとだな……!」
ナタリア「着替えました」
ヤシロ「そっちも早ぇ!?」
ジネット「ヤ、ヤシロさんに見せる前に確認させていただきます!」
エステラ「そうだね! ハム摩呂、まずはボクたちに見せるんだ!」
ハム摩呂「うんー!」
エステラ「こ、これは……」
ナタリア「モロ出しですね」
ロレッタ「確かに、です。ちょっと危険な感じです!」
マグダ「……触れると怪我をする」
ジネット「でも、艶があってキレイですね」
ヤシロ「ちょっと、お前ら! 俺にも見せろっ!」
エステラ「……はい。好きなだけどーぞ」
――ナタリアの似顔絵。抜き身のナイフ。
ヤシロ「ナイフじゃねぇか!」
マグダ「……抜き身」
ロレッタ「裸です! 触ると危険です!」
ヤシロ「肌色成分が全然足りてねぇんだよ!」
ジネット「ヤシロさん。懺悔してください」
ヤシロ「だから、なんで俺なんだよ!?」
ハム摩呂「おにーちゃんの要望により、おっぱいつけたー!」
――ナイフにおっぱい「ぽぃ~ん」
ヤシロ「そうじゃないだろハム摩呂!? なんだ、この奇妙な生き物は!?」
エステラ「そもそも、生き物なのかなコレ?」
ジネット「もう、ヤシロさん。懺悔してくださいっ」
ヤシロ「だから、なんで俺なんだよって!?」
ロレッタ「お兄ちゃん。ウチの弟に変なこと教えないでです」
マグダ「……ヤシロだからしょうがない」
ヤシロ「俺、何もしてねぇだろうが!」
エステラ「口を開けば『おっぱいおっぱい』言っているからだろう?」
ナタリア「それはお嬢様も同じなのでは?」
エステラ「黙って、ナタリア!」
ヤシロ「俺は別におっぱいだけが好きなわけじゃないぞ」
エステラ「どの口が言うんだい!?」
ヤシロ「本当だって。割合でいえば、九分九厘くらいだ」
エステラ「もうほとんど全部じゃないか! 誤差だよ、そんなもんは!」
ハム摩呂「最後に、おにーちゃんのリクエスト聞くー!」
ヤシロ「おぉ、そうか! じゃあとりあえずおっぱいを『ぼーん!』と!」
エステラ「今さっきの自分の発言をもう忘れたのかい!?」
ロレッタ「ここにもいたです、『舌の根の乾かないうちに』人族……」
マグダ「……ヤシロは、四十二区で一番舌の根が乾くのが早い男」
ジネット「もう、ヤシロさん。懺悔してくださいっ!」




