【書き下ろし】ハム摩呂、恒例のアレを披露する
――陽だまり亭
ハム摩呂「二度あることは三度あるやー!」
ヤシロ「なんだ、また似顔絵を描いてきたのか?」
ハム摩呂「はむまろ?」
ヤシロ「いや、言ってねぇよ! 俺、今『ハム摩呂』って言ってなかったよな!?」
ハム摩呂「おにーちゃん……ついに……」
ヤシロ「なんで俺の記憶の方を疑うんだよ!? ついにじゃねぇわ!」
エステラ「それで、今回は誰を描くんだい?」
ハム摩呂「あ~、一反なんとかさんやー!」
エステラ「一反なんとかさんじゃないよ!?」
ヤシロ「『もめん』だ」
エステラ「違うって!」
マグダ「……名前は正確に覚えるべき」
エステラ「君ら、『一反もめん』って覚えさせようとしてるよね!? やめてね!」
ジネット「えっと、確か……前回、『ロレッタさんはまた次回~』のような流れになっていたような気がするんですが」
ロレッタ「ついに、あたしの番が回ってきたですね! 待ち侘びたです! さぁ、存分に描くといいですよ!」
ハム摩呂「うん。それ、むりー!」
ロレッタ「なんでです!?」
ハム摩呂「運営の方針?」
ロレッタ「誰です、その運営って!? 前々からちょいちょいあんたを操作してる影が見え隠れしてるですけども!」
ハム摩呂「はむまろ?」
ロレッタ「言ってないですよ!? 『あんた』としか言ってないです、あたしは!」
ジネット「では一体誰を描くんですか、ハム摩呂さん」
ハム摩呂「薬屋さんー!」
ロレッタ「そここそ、『はむまろ?』って小首を傾げつつ聞き返すところですよ!?」
ハム摩呂「はむまろ?」
ロレッタ「あたしにじゃないですっ!」
ハム摩呂「こくび?」
ロレッタ「そこは知っておいてほしいです! 小首の説明を求められても、上手に出来る自信がないです!」
マグダ「……ロレッタがいつも以上に頑張っている」
ロレッタ「そりゃあ頑張るですよ! なんとなく、今が旬的な波を感じるですからねっ!」
ハム摩呂「最近覚えた言葉ー! 差し替えー! 大幅改稿ー! 白紙に戻すー!」
ロレッタ「不吉な言葉だらけじゃないですか!? なんだか知らない世界の話っぽいですけど、あたし出ますからね! 何にかは、自分でもよく分かんないですけど!」
レジーナ「相変わらず賑やかやなぁ、陽だまり亭は」
ジネット「あ、レジーナさん。いらっしゃいませ」
レジーナ「おぉっと、店長はん。そこまでや。ちょっとそこで止まってんか」
ジネット「え? なぜですか?」
レジーナ「ウチ、知らん人は一人、顔見知りは三人、よぅ知ってる人でも五人以上おると気分が滅入ってくるねん」
ヤシロ「お前の気分は金のエンゼルの類か」
エステラ「それじゃあ、陽だまり亭に来るだけで確実に滅入るじゃないか……常に誰かしらはいるんだし」
マグダ「……レジーナは、基本アンニュイ」
ロレッタ「四十二区屈指の変わり者です」
レジーナ「せやねん。ウチ、個性的やねんなぁ……チラ」
ロレッタ「なんで今チラッてあたしを見たですか!? 羨ましくないですよ、そんな個性は!」
ジネット「レジーナさんを呼んだのは、ハム摩呂さんなんですか?」
ハム摩呂「うんー!」
レジーナ「なんや、ハムスターの小っさい子が、似乳絵描くんやってな?」
ロレッタ「顔ですよ!? 似顔絵です!」
レジーナ「せやかて、見せてもろた絵は乳やったで、ほら」(おっぱいの絵をチラリ)
ジネット「ほにょ!? これ、前々回のわたしの似顔絵じゃないですか!?」
エステラ「……顔じゃ、ないけどね」
ヤシロ「この重量感と弾力性…………間違いなくジネットのおっぱいだ!」
ジネット「見極めないでください、こんな絵で!」
レジーナ「ちなみに、こっちの似乳絵は誰のんや思う?」(次々に似乳絵を見せていく)
ヤシロ「デリア、ノーマ、ネフェリー、パウラ、ウクリネス」
レジーナ「全問正解や」
マグダ「……利き乳」
ロレッタ「凄いですけど、一切尊敬出来ない特技です!」
エステラ「……ウクリネスまで…………」
ハム摩呂「ちなみに、最新作ー!」(似乳絵をチラリ)
ヤシロ「む…………これは…………エス、テラ?」
ハム摩呂「ぶー! おにーちゃーん!」
ヤシロ「惜しいっ!」
エステラ「惜しくないっ!」(似乳絵「びりー! ぐっしゃぐっしゃ、ぽいー!」)
レジーナ「ほんで、『おっぱいの不思議展』はいつ開催なんや?」
エステラ「しないよ、そんなイベント!? させてなるものか!」
ロレッタ「乳じゃなくて、顔を描かせてほしいです」
レジーナ「え……ウチ、お風呂覗かれたら真っ先に顔を隠すタイプの人やのに?」
ロレッタ「もっと他にいろいろ隠すとこあるはずです!」
マグダ「……店長は…………隠しきれない」
ジネット「そんなことないですよ!?」
マグダ「……エステラは………………そんなことより、早く似顔絵を描くべき」
エステラ「その気遣えてない感じの気遣いはワザとだよね!?」
ロレッタ「ハム摩呂! なんとなく、早く描いた方がいい空気です! 早く描くです!」
ハム摩呂「誰に口利いとんのやー」
ロレッタ「あんたです! あたしの弟に言ってるですよ!」
ハム摩呂「はむまろ?」
ロレッタ「あんた、今日はことごとくタイミングがズレてるですよ!」
ハム摩呂「領主様も、たまにズレてるー!」
エステラ「なっ!? ボクのパットのポジショニングは完璧だ!」
マグダ「……エステラ。怒るポイントがズレている」
ロレッタ「早く描くです!」
ハム摩呂「うんー! さらさら~出来たー!」
ロレッタ「相変わらず早いですね!?」
レジーナ「どれ、見せてぇ~な」
ハム摩呂「うんー!」
――レジーナの似顔絵。後頭部。
ヤシロ「後頭部だな……」
エステラ「似顔絵までもが人見知りしてるね……」
レジーナ「よぅ特徴捉えとるなぁ」
ハム摩呂「それほどー!」
ロレッタ「『でもない』までちゃんと言うですよ! そろそろ謙遜という言葉を覚える頃合いです!」
妹たち「「「「おにーちゃーん! おねーちゃーん!」」」」
ヤシロ「お、妹たちがわらわらと」
ロレッタ「あんたたちも呼ばれたですか?」
妹たち「「「「はむまろ?」」」」
ロレッタ「あんたたちには言わないですよ!?」
ハム摩呂「妹たち、描くー!」
妹「「「「わーい! お前の方が年下だけどなー!」」」」
ヤシロ「姉じゃねぇか、じゃあ!?」
ハム摩呂「はむまろ?」
ヤシロ「何が!? 何がそう聞こえた!?」
エステラ「けど、これだけ数がいると……」
ジネット「そうですね。描くのがちょっと大変そうですね」
ハム摩呂「平気ー! ぺったん、ぺったんー」
ヤシロ「ハンコだっ!?」
ジネット「でも、そっくりですよ」
エステラ「なんて技術の高い手抜きなんだ!?」
ハム摩呂「ぺったん、ぺった……あ…………(黙々とハンコを捺す)」
エステラ「一体、何に気遣ったのかな、今!?」
ヤシロ「エステラ。ハム摩呂の邪魔してやんなよ」
エステラ「してないよね!?」
ハム摩呂「もくもく……」
ロレッタ「っていうか、どんだけ捺すですか!?」
マグダ「……妹たちが紙いっぱいにびっしりと……」
ロレッタ「捺し過ぎですよ!? 後ろの方、顔とか分かんなくなってるじゃないですか!」
ハム摩呂「妹たち、出来たー!」
妹「「「「わーい! お前の方が年下だけどなー!」」」」
ヤシロ「だから、姉だろ、お前から見たら! なんで頑なに『妹』って言うんだよ!?」
ハム摩呂「はむまろ?」
ヤシロ「言ってない!」
妹「「「「しゃちほこ?」」」」
ヤシロ「何と聞き間違えた!? 俺、こっちに来て一回も口にしてねぇよ、その言葉!」
ロレッタ「さぁ、ハム摩呂! いっぱい描いてもう気が済んだですね! じゃあ、あとはお姉ちゃんを描くです! あたしを書けばきっと完璧です!」
ハム摩呂「はむまろ?」
ロレッタ「ここ一番で聞き逃さないでです! あたしを描くです!」
ハム摩呂「身内を描くのは、ちょっと……」
ロレッタ「こんだけ、散々描いたですよ、今さっき!? ほら、紙がびっしり妹たちで埋め尽くされてるです! 後ろの方真っ黒で顔分かんないくらいにっ!」
ハム摩呂「じゃあ、この後ろのが、おねーちゃんー!」
ロレッタ「そんな雑なあしらい方納得出来ないですっ!」
ハム摩呂「おねーちゃんは、描けないー!」
ロレッタ「なんでです!?」
ハム摩呂「上からの命令?」
ロレッタ「だから、誰があんたを裏で操ってるですか!?」
レジーナ「まぁ、無理や言うとんねんから、無理強いはやめたりぃや」
ロレッタ「レジーナさんは可愛く描いてもらったからいいですよねっ!」
ヤシロ「……後頭部、だけどな」
レジーナ「ほれ。ほならこの『領主はんの似乳絵』やるさかい。機嫌直しぃや」
エステラ「それはヤシロの似乳絵なんだ! ボクのとは似ても似つかない絵だよ!」
ハム摩呂「疲れたー! もう帰るー!」
妹「「「「激しく同意ー!」」」」
ロレッタ「ちょっ!? あんたたち、やりたいことやって、勝手に帰るんじゃないですよ!」
ハム摩呂・妹「「「「「はむまろ?」」」」」
ロレッタ「だから言ってないですってばっ!」




