【66話後感想返し】エステラ流『半分こ』
ヤシロ「ふははは! 出来だぜ! ナニワが生んだ日本の味! たこ焼きだっ!」
エステラ「なんだい、この丸いのは? うわっ、凄くいい香りがするね」
ヤシロ「そうだろうそうだろう」
エステラ「お好み焼きみたいな香りだね」
ヤシロ「同じ地域で生まれた食べ物だ。お好み焼きもいいが、こいつはまた別格だぞ」
エステラ「へぇ、食べてみたいな」
ヤシロ「じゃあ、半分こするか?」
エステラ「えっ!? こ、これを…………半分こ?」
ヤシロ「あぁ。俺の国では、みんな普通にシェアしてたぞ」
エステラ「そ、そうなの……? なんだか、凄いね……」
ヤシロ「普通だろ、これくらい」
エステラ「そっか…………普通なんだ」
ヤシロ「じゃあ試しに一個食ってみろよ」
エステラ「え!? う……うん。この小さい棒で刺して食べるんだね」
ヤシロ「滅茶苦茶熱いから気を付けろよ」
エステラ「ふぇ!? 熱いの!?」
ヤシロ「一口で食べて、口の中ではふはふして食べるのが作法だ」
エステラ「一口で全部食べちゃうのかい!?」
ヤシロ「下手に噛み千切ろうとすると唇を火傷しちまうんだよ。思い切って一口で食ってみろって」
エステラ「…………う、うん…………じゃあ…………熱っ!? はふはふはふはふっ!」
ヤシロ「おぉ、そうそう。上手いじゃないか」
エステラ「はふはふっ! は、ほ、美味しい、ほ、ほ、はふはふ」
ヤシロ「んじゃあ、俺もそろそろ食おうかな」
エステラ「――っ!?」
ヤシロ「どうした? 顔真っ赤だぞ?」
エステラ「ちょ、ちょっと…………待ってね…………心の準備が…………」
ヤシロ「準備?」
エステラ「半分こ……だよね……」
ヤシロ「ん? あぁ」
エステラ「ちゃんと、半分か分からないけど…………ん~……」
ヤシロ「ちょっ!? 待て待て待てっ! お前、何しようとしてんだよ!?」
エステラ「だ、だって……半分こなのに、一口で全部口に入れろって言うから…………く、口移しで渡すしか……出しちゃうと、汚いし……」
ヤシロ「一個を半分こすんじゃねぇよ! 八個入りだから四個ずつ!」
エステラ「んなっ!? ………………さ、先に言ってよぉ、も~ぅっ!」
ヤシロ「分かるだろう、普通!?」
エステラ「分からないよっ!」
ヤシロ「こらっ! 口に物を入れて叫ぶな! いいから飲み込め!」
エステラ「もぐもぐごっくん!」
ヤシロ「そんな全力で飲み込まなくても……」
エステラ「…………や、……ヤシロが悪いんだからねっ!」
ヤシロ「俺のせいかぁ?」
エステラ「そうだよ! もう! バカ! やけ食いしてやる!」
ヤシロ「あ、こら! そんなことしたら……っ!」
エステラ「熱ーーーーーーーーーーーーーーーーいっっ!」
ヤシロ「……学習能力、ないのか、お前は?」
エステラ「……くすん…………ヤシロのせいだもん…………ばかぁ……っ」




