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異世界詐欺師のなんちゃって経営術【SS置き場】  作者: 宮地拓海


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【書き下ろし】マグダ&エステラ&ルシアで、ジネットを真似る

――陽だまり亭、マグダの部屋


マグダ「今日集まってもらったのは他だったりする」

エステラ「『他でもない』じゃないのかい!?」

ルシア「ふむ。招きに応じて来てみたのだが……この人選には何か意味があるのか?」

マグダ「このメンバーには、とある共通点がある」

エステラ「う……みなまで言わなくていいよ」

ルシア「まぁ、そうだな。言わなくても分かることではあるな」

マグダ「……三人とも、領主っ」

エステラ「君はいつから領主になったのかな!?」

マグダ「……じゃあ。三人とも、権力者っ」

エステラ「確かに……君はそこはかとない権力を持ってはいるけれども」

ルシア「なんだ。触角大好きっ子の集まりではないのか?」

エステラ「それはルシアさんだけですよ!?」

マグダ「……『っ子』とは、また図々しい」

エステラ「このメンバーの共通点と言えば、ほら……アレでしょ? その…………胸が、いささか、控えめな……」

マグダ・ルシア「「一緒にしないでもらいたい」」

エステラ「よぉし、上等だ! これは引くことの出来ない聖戦だ! 受けて立つよ!?」

マグダ「……まぁまぁ。そんなに、無い胸を揺らさないで」

エステラ「揺れないんだよ、どんなに激しく動いてもね! 悪かったね!」

マグダ「……では、まぁ、エステラが強引に推してくる案を仕方なく採用するとして……」

ルシア「そうだな。そこまで強く言うのであれば、今回だけ乗っかってやるとしよう」

エステラ「君たちは卑怯だ! 卑怯な大人だ!」

マグダ「……マグダは子供だからセーフ」

ルシア「私も大人げないからセーフだ!」

エステラ「それはアウトですよ、ルシアさん!? なんかもう、いろいろと!」

ルシア「それで、わざわざ呼び立てて、なんの用なのだ? 用がないなら耳とか尻尾とかもふもふさせてもらうぞ」

マグダ「……用件はある。耳も尻尾も触らせない。代わりに、エステラをぺたぺたするといい」

エステラ「させないよ!?」

ルシア「そんなもの触っても一切楽しくないではないか!」

エステラ「うるさいですよ!? 同じようなもんでしょう!?」

ルシア「だからこそ楽しくないと言っているのだ!」

マグダ「……貧乳の背比べ」

エステラ・ルシア「「黙れ同類っ!」」

マグダ「……実は今回は、胸を大きくするための方策を考えてきた」

エステラ・ルシア「「詳しく聞かせてもらおうかっ!?」」

マグダ「……実は、店長は」

エステラ「ジネットちゃんがどうかしたのかい?」

マグダ「……ヤシロに出会ってから2センチ大きくなった」

エステラ「2センチも!?」

ルシア「まだ成長を続けているのか、『アレ』は!?」

マグダ「……なお、本人は気付いていない模様」

エステラ「誤差の範囲なのかい、2センチが!?」

ルシア「こっちは、コンマ数ミリで一喜一憂しているというのに!?」

マグダ「……だから、店長のマネをすればきっと大きくなるはず」

エステラ「ふむ。生活習慣っていうのは、肉体的成長に大きく影響するからね。一理あるかもしれないな」

マグダ「……というわけで、今日は一日店長のマネっこをすることにする」

エステラ・ルシア「「異議なしっ!」」

マグダ「……いざ、食堂へっ」


――てってりーぷっぷーと食堂へ


ジネット「ヤシロさん。お茶いかがですか?(にこっ)」

ヤシロ「あぁ、じゃあもらおうかな」

ジネット「はいっ!(嬉しそうに駆けていく『ぱたぱた~』)」

マグダ「……ヤシロ」

ヤシロ「おぉ、マグダ。どうした?」

マグダ「……お茶、いる?(にやぁ……)」

ヤシロ「……なに、企んでんだ? また何か仕出かす気だろ?」

マグダ「……肯定っ(嬉しそうに駆けていく『もにょにょにょにょ~ん』)」

ヤシロ「おい、ちょっと待てマグダ!? マグダー!?」


――厨房


マグダ「……このような感じで」

エステラ「今の、絶対失敗してるよね!?」

ルシア「よし、分かった。私も茶を勧めてきてやろう!」


――フロアから声だけが聞こえてくる


ルシア「施しをくれてやるぞ、愚民! いや、愚カタクチイワシッ!」

ヤシロ「帰れ!」


――ルシア、自身の胸を押さえて戻ってくる


ルシア「……ふむ、心なしか大きくなった気が……」

エステラ「絶対気のせいですよ!?」

ジネット「あのぉ……一体、何をされているんですか?」

エステラ「あぁ、ジネットちゃん。実は……」

マグダ・ルシア「「――エステラ・ペタペタ――」」

エステラ「かくかくしかじかだよ、二人とも!」

マグダ「……エステラは細かいことを気にする傾向がある」

エステラ「全然細かくないよ!? 面と向かって行われた名誉棄損だったよ!?」

ジネット「えっと、つまり……胸を大きくするために、わたしのマネを?」

ルシア「エステラがどうしてもと言うのでな」

エステラ「ルシアさん、ホントいつか決着付けますからね!?」

ジネット「ですが、あの……そんなことをしても、効果はないのではないかと……あ、いえ、わたしも、そんなに大きくなったわけではありませんし……」

エステラ・ルシア「「2センチが誤差だと言うのか!?」」

ジネット「なんでそんなに詳しく知ってるんですかっ!?」

マグダ「……今日一日、マグダたちは店長のマネっこをする所存」

ジネット「それはもう、決定なんでしょうか?(おろおろ)」

マグダ「……決定事項(おろおろ)」

ジネット「あの、なんだか恥ずかしですね(てれてれ)」

マグダ「……エステラの無い乳ほど恥ずかしくはないはず(てれてれ)」

エステラ「なに照れながら勝手なこと言ってくれてんのさ!?」

ジネット「では、みなさん一緒に、ヤシロさんへお茶を持っていきましょう」


――一同、再び食堂へ


ジネット「ヤシロさん、お茶です(にこっ)」

ヤシロ「おぉ、ありがと」

マグダ「……ヤシロ、お茶(さんこっ)」

ヤシロ「マグダ、数が増えてる。そうじゃないだろう」

エステラ「ヤシロ、お茶だよ(よんこっ)」

ヤシロ「違うって言ったヤツに乗っかるなよ!? で、これ三個目だからややこしいんだよ!」

ルシア「カタクチイワシよ、白湯だ!(ドヤァ!)」

ヤシロ「お前は良くも悪くも自由だな!?」

マグダ・エステラ・ルシア「「「……大きくなった気がする」」」

ヤシロ「なんの話かは知らんが、……ねぇよ」

マグダ「……実は、店長のマネをすれば胸が大きくなるのではないかと、エステラが……」

エステラ「君発信だよね、マグダ!?」

ルシア「どうしても試してみたいと、エステラが……」

エステラ「ノリノリでドヤ顔してたのはどこの領主かなぁ!?」

ヤシロ「……ったく、またくだらないことを。よし分かった。俺が協力してやろう」

エステラ「本当かいっ!? 男に二言はないね!?」

マグダ「……物凄い食い付き」

ルシア「必死さが痛いな……」

エステラ「ヤシロが動けば、なんとなく効果がありそうな気がするんだよ! 期待大だよ!」

ヤシロ「胸を育てるには適度な刺激を与えるのがいい。というわけで、ジネット。『けんけんっぱ』をしてみろ」

ジネット「え? あ、はい。えっと……けん、けん、っぱ!(たゆん、たゆん、ぽぃ~ん!)」

ヤシロ「さぁ、やってみろ!」

マグダ・エステラ・ルシア「「「……いや、それは無理」」」


――ぽぃ~んへの道は、長く険しい






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