【後日譚48話あとがき】ヤシロ、ダルさを訴えレジーナのもとへ
――レジーナの店
ヤシロ「ちぃ~っす……」
レジーナ「なんや、今日は一段とダルそうやなぁ? どないしたんや?」
ヤシロ「それがさぁ、なんだか熱っぽくて関節が痛いんだよな」
レジーナ「ケツっぽくて股関節が見たい? 重症やな」
ヤシロ「下腹部から意識を離してくれるか? そして重症なのはお前だ」
レジーナ「診察したろか?」
ヤシロ「あぁ……頼むわ」
レジーナ「ほなら上半身裸になって、適当な切り傷付けて、『俺が守ってやるって言ったろ?』って言うてみて」
ヤシロ「しんどい時に無意味なことさせんじゃねぇよ……」
レジーナ「ほなら口あけて『あっは~ん』ってしてみ」
ヤシロ「『あ~ん』でよくね!?」
レジーナ「ほ~ほ~、なるほどなぁ……分かったで、自分の病気が」
ヤシロ「なんだ?」
レジーナ「『むっつりスケベ』や!」
ヤシロ「誰が病気レベルのむっつりだ!?」
レジーナ「せやな。自分ほどオープンなスケベもおらへんわなぁ」
ヤシロ「そういうことじゃなくて…………あぁ、もういいや、それで」
レジーナ「あらら。ホンマにつらそうやね。ちゃんと診たろ」
ヤシロ「最初からそうしててくれよ……」
レジーナ「ん~……扁桃腺は腫れてないみたいやねぇ」
ヤシロ「あぁ。鼻詰まりもないし、咳もくしゃみも出ないんだ。ただ、倦怠感と骨がきしむような感覚があってな」
レジーナ「まるで、何かに寄生されて養分を吸われとるみたいやなぁ」
ヤシロ「怖ぇこと言うんじゃねぇよ。ヤダぞ、冬虫夏草になるのは」
レジーナ「自分、ようそんなマイナーなもん知っとるなぁ。ホンマ、薬剤師にスカウトしたいくらいやわ」
ヤシロ「たまたま漢方がメジャーだっただけだよ、俺の故郷で」
レジーナ「まぁ、ちょっと疲れが溜まっとるだけやろう。栄養あるものをもりもり食べて、エロいおっぱい見てムラムラして、夜ぐっすり寝たら元気になるわ」
ヤシロ「ムラムラのせいでぐっすり眠れそうにないんだが?」
レジーナ「これはウチやのぅて、店長はんの領分かもなぁ。栄養あるものもエロいおっぱいも」
ヤシロ「お前のもなかなかエロいだろうが」
レジーナ「自分、熱に浮かされておかしなツッコミしとるで? 自覚あるか?」
ヤシロ「ん~……本当に疲れてるだけなのかなぁ? なんか、すげぇダルいんだよなぁ」
レジーナ「ほなら、諸症状が出てへんだけで、やっぱり風邪なんかもしれへんねぇ。せやから、全裸で大通りを練り歩くんはほどほどにしぃやって言うたのに……」
ヤシロ「ほどほどでもアウトだよ! ちょっとでもやったら即逮捕だよ!」
レジーナ「自分……捕まったのにこんなとこにいてえぇんか?」
ヤシロ「捕まってねぇんだ、俺!? いい加減拗らせてぶっ倒れるぞ!」
レジーナ「ホンマに具合悪そうやね。ちょっと横になるか?」
ヤシロ「ん……いいのか?」
レジーナ「かまへんよ。まぁ、ちょっと床、硬いけど」
ヤシロ「ここで横になるのかよ!?」
レジーナ「ウチの私室には入れられへんねん! ……恥ずかしいやんか」
ヤシロ「お前に羞恥心が残ってたことにビックリだよ」
レジーナ「責任取ってくれるんやったら、私室に入れたってもえぇで?」
ヤシロ「どんなトラップだよ、それ。ウツボカズラもビックリだな」
レジーナ「綺麗に掃除した後やったら、入ってもえぇで」
ヤシロ「じゃあ、一生入れそうもないな。お前は薬品周り以外掃除しないからな」
レジーナ「あちらこちらに、親友の埃ちゃんがおるからなぁ」
ヤシロ「たぶんだけど、お前の方が重篤だと思うぞ……」
レジーナ「まぁ、部屋には入れられへんけど……ほら、この椅子座りぃ(ヤシロに丸椅子を勧める)」
ヤシロ「背もたれもない丸椅子かよ……」
――ヤシロが丸椅子に座ると、レジーナはヤシロの後ろに背もたれのついた椅子を置きそこに座る。ヤシロとレジーナが縦に並んで、同じ方向を向いて座る
ヤシロ「なんだこれ? 何ごっこだよ?」
レジーナ「ふふ。こうやってからな……こうするんや」
ヤシロ「ぅおっ!?」
――レジーナ、ヤシロの肩をぐっと引いて、自分の胸にヤシロをもたれさせる
レジーナ「どや? 結構気持ちえぇやろ? 楽にしてえぇで」
ヤシロ「お前がつらくないか、この体勢?」
レジーナ「そんなことあらへんよ。背もたれあるし。それにウチ、寝る時はお人形さん抱いて寝るタイプやさかい、抱っこは慣れてんねん」
ヤシロ「誰がお人形さんだ……」
レジーナ「売れる思うでぇ、自分そっくりなお人形さん作ったら」
ヤシロ「はは……誰が買うんだよ、そんなもん」
レジーナ「ヤンボルド」
ヤシロ「……やめて。割とマジで」
――ヤシロ、レジーナの体に背中を預けて脱力する
――レジーナ、ヤシロを背後から抱きしめ、体重をしっかりと受け止める
ヤシロ「あぁ……確かに気持ちいいわ」
レジーナ「またおっぱいの話かぃな?」
ヤシロ「込み込みでな」
レジーナ「ブレへんなぁ…………ゆっくり、休みぃ」
ヤシロ「ん…………じゃあ、ちょっとだけ」
――ヤシロ、ゆっくり瞼を閉じる。と、そのまま寝息を立て始める
レジーナ「ホンマ、無理し過ぎやで、自分。…………心配くらい、いくらでもしたるさかい、いつでも頼ってな」
ヤシロ「……むにゃ」
レジーナ「ふふ……言質取ったったわ。ふふふ……」
――三十分ほど、眠るヤシロ。その間、レジーナの店には静かな時間が流れていた。




