表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界詐欺師のなんちゃって経営術【SS置き場】  作者: 宮地拓海


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

488/535

【後日譚39話あとがき】イメルダとメドラ、甘えん坊を窮める

――陽だまり亭・庭


メドラ「ダ~リン! 遊びに来たげたよ~」

イメルダ「おあいにく様ですわ。本日は休業ですわ」

メドラ「あんたは確か、ハビエルんとこの? 休業ってのはどういう意味だい?」

イメルダ「正確には、『現在は三十五区で営業中』ですわ」

メドラ「ダーリンたち、三十五区に行っちまってるのかい? なんだい、折角来たってのに…………で、あんたはここで何してるんだい?」

イメルダ「休業と知りつつも、陽だまり亭恋しさに帰りをずっと待っていたアピールですわ。こうしておくと、帰ってきた時、ヤシ……みなさんが少し優しくしてくださるのですわ」

メドラ「なんて浅ましい女だい!? 相手の良心に付け込もうだなんて…………隣いいかい?」

イメルダ「あなたも大概ですわね」

メドラ「別にアタシは、ダーリンに『ずっと待っててくれたのか?』って抱きしめてほしいなんて………………いいなっ、それっ!?」

イメルダ「そして、『何やってんだよ。指先がこんなに冷えちまってるじゃねぇか』と手を握られ……」

メドラ「そしてそしてっ、『こっち来いよ……俺が、温めてやるぜ』ってっ!」

イメルダ「その作戦、乗りましたわっ!」

メドラ「おっと、残念ながらこの作戦は一人乗りだよ! あんたは降りとくれ」

イメルダ「立案者はワタクシですわ。降りるなら、そちらがどうぞ」

メドラ「譲らない気かい?」

イメルダ「ワタクシ……こと、他人に甘えることに関しましては他の追随を許さない自負がありますの」

メドラ「くっ……天性の甘えん坊かいっ……最近甘えることを覚えたアタシじゃ太刀打ち出来ないかもしれないね……」

イメルダ「お分かりになりましたのなら、どうぞ本日はお引き取りを」

メドラ「いいやっ、まだだ! アタシはまだ諦めない! 確かにあんたはこれまでたくさんの人間に甘えてきたのかもしれない……だがっ、アタシの甘えん坊はダーリン専用なんだよっ! 他の誰にも許していない、まっさらな甘えん坊なのさっ! 未熟者には未熟者なりの戦い方ってもんがあるんだよ!」

イメルダ「ふふ……甘えん坊で、ワタクシに挑戦するとおっしゃるんですのね? よろしいですわ、その挑戦、受けて立ちますわっ!」

メドラ「もしアタシが勝ったら、ダーリンの添い寝はアタシがもらう!」

イメルダ「では、ワタクシは膝の上で『あ~ん』をいただきますわっ!」

メドラ「いいなそれっ!? それも欲しい!」

イメルダ「一度にいくつも要求すれば、それは甘えん坊ではなくただのわがままですわ。あなた、嫌われてしまいますわよ……?」

メドラ「それは困るっ! 分かったよ。『甘えん坊は一人一つまで』、だね?」

イメルダ「よい心がけですわ。ですが……『甘えん坊は一日一つまで』が、正解ですわ」

メドラ「翌日には違う甘えん坊が認められるのかい!? それは耳寄りな情報だね! いいことを教えてもらったよ。感謝する!」

イメルダ「ちなみに、朝一に甘えん坊をしておけば、夜にもう一回くらい使える時がありますわ」

メドラ「一日に二回!? なんだいその裏技!? 詳しく聞かせておくれよ!」

イメルダ「まず、朝は目覚めてすぐ。特に、ヤシ……相手の方が目覚めた直後が望ましいですわ」

メドラ「ダーリンが目覚めた直後…………ってことは、その……起こしに、部屋に入っても、い、いいん、だよね?」

イメルダ「そうですわね。甘えん坊のためになら、致し方の無いことですわ」

メドラ「よしっ! それじゃあ今度勝手に忍び込むとするよっ、甘えん坊のために!」

イメルダ「そして、夜寝る前……こちらは自分が寝る直前が好ましいですわ」

メドラ「そ、そそ、それじゃあ……自分の寝室にダーリンを連れ込んでも、い、いいのかい!?」

イメルダ「そうですわね。甘えん坊のためになら、致し方の無いことですわ」

メドラ「よっしゃぁ! 簀巻きにしてでも連れ去って寝室に閉じ込めるよっ!」

イメルダ「そして、そんな甘えん坊を毎日のように繰り返せば……」

メドラ「く、繰り返せば?」

イメルダ「いつの日かヤシ……その方も、『こいつは俺がいないとダメなんだな』と認識するようになるのですわっ!」

メドラ「そ、それはもしやっ、『お前は俺のそばにいろ。俺が、守ってやるから』へのフラグかい!?」

イメルダ「そういうこともあり得ますわね、きっと!」

メドラ「そのために、たとえどんなに待たされようとも、ダーリンたちが帰ってくるまでここで待ち続ける……そういうことだね!?」

イメルダ「その通りですわ! 甘えん坊の道は、忍耐から始まるのですわ!」

メドラ「よぉし、ハビエルの娘! いや、イメルダ。あんたをライバルと認めてやる。……絶対負けやしないからね!」

イメルダ「望むところですわ! ヤシ……陽だまり亭のみなさんに甘やかされつくすのはこの、甘えん坊クイーンのワタクシであると、思い知らせて差し上げますわ!」

メドラ「んじゃあ、いざ、尋常に!」

イメルダ「勝負っ、ですわ!」


――イメルダとメドラ、並んで陽だまり亭の庭に座り、ぼーっと空を見上げる


メドラ「早く帰ってこないかねぇ~」

イメルダ「待ち遠しいですわねぇ~」

偶然通りかかったウーマロ「なんか濃い人が仲良く座って空を見上げてるッス!?」

メドラ「ダーリン…………うふふ……『寒かったろう? もっとこっち来いよ……』…………うふふふふふ」

イメルダ「ヤシ…………こほん。ふふ……『あんまり無茶して、俺を心配させんなよ?』…………ふふふふ」

メドラ・イメルダ「「早く帰ってこないかなぁ~」」

全身鳥肌のウーマロ「ヤシロさん、逃げてッスー! 出来るだけ遠ぉーくへ逃げてッスー!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ