【後日譚18話あとがき】マーシャの海の生き物講座
――陽だまり亭
マーシャ「は~い、ヤシロ君~☆ これな~んだ?」
ヤシロ「おぉ、ハマグリか!? 美味そうだな」
マーシャ「正解~! じゃあ、エステラ。これ分かる?」
エステラ「え? ボク? えっと……なんだっけ? 前に見たことがある気が……」
ヤシロ「サザエだよ。つぼ焼きにすると美味いぞ」
マーシャ「正解正解~☆ じゃあ、これとこれとこれは?」
ヤシロ「アサリにシジミにトコブシか」
マーシャ「すご~い☆ 大正~解~☆」
エステラ「ヤシロ、なんでそんなに詳しいんだい?」
マーシャ「ヤシロ君は、貝博士だねぇ~」
ヤシロ「たまたま知ってただけだよ」
マーシャ「猛暑期の前に、ヤシロ君が『ハマグリ食べた~い』って言ってたじゃない? だから、持ってきたんだよぉ~☆」
ヤシロ「あぁ。七輪を作ろうとか言ってた時な。よく覚えてたな」
マーシャ「覚えてたよ~。遅くなっちゃったけどね」
ヤシロ「じゃあ、折角だから七輪で焼いて食うか。ジネット~」
ジネット「はぁ~い! 準備しますね」
エステラ「あはっ。なんか、ボク、いい時に来たみたいだね」
マーシャ「名前を覚えたヤツだけ、食べていいよ~☆」
エステラ「えぇっ!?」
マーシャ「じゃあ、これな~んだ?」
エステラ「え、えぇぇっと…………いぶし銀!」
ヤシロ「トコブシだ。頑張って覚えろ。美味いぞ、あれは」
エステラ「トコブシトコブシトコブシ……トシコ!」
ヤシロ「誰だよ!? 人名になってるぞ!?」
ジネット「ヤシロさん。ハマグリって、以前酒蒸しにすると美味しいと言ってたものですよね?」
ヤシロ「あぁ。そうだ。よく覚えてたな」
ジネット「一度食べてみたいなぁ~って思ってましたので」
マーシャ「じゃ~、これ、酒蒸しにしてくれる~?」
ジネット「はい! 作ってきます!」
――七輪を置いて、ジネットはハマグリと共に厨房へ駆けていく
エステラ「嬉しそうだねぇ」
ヤシロ「結構食いしん坊なんだよな、育ての母親に似て」
エステラ「あはは、あの人に似たんならしょうがないよね」
マーシャ「親に似るって言ったら、イワシ人族の子供が親にそっくりでね~☆ いっつも親の真似してるんだよ~。可愛いんだ、これがぁ☆」
ヤシロ「イワシ人族なんかいるのかよ……メッチャ美味そうだな」
マーシャ「食べちゃダメだよぉ~。気の弱い子が多い種族だからぁ~☆」
ヤシロ「もしかして、ハマグリ人族とかいるのか?」
マーシャ「うんうん。いるよぉ☆ 添い遂げる相手と以外は一切触れ合わない、高潔な一族なんだよねぇ☆」
ヤシロ「ハマグリっぽいな、なんか」
マーシャ「あと、イカ人族の女の子はハンサム好きでね、『あの彼、輝いてる~』ってすぐ付いていっちゃうの~☆」
エステラ「それは……なんとも軽い種族だね」
マーシャ「あと、ナマコ人族の前で怖い話とかしちゃダメだよ。生命の危険を感じると、口からなんか変な物吐き出すから」
ヤシロ「そっちの方が怖ぇわ!」
マーシャ「まぁ、海に住んでるから、ヤシロ君たちは滅多に出会わないと思うよ~」
ヤシロ「そう願いたいね」
ジネット「お待たせしました~」
――ジネット、ハマグリの酒蒸しを持ってやって来る
ヤシロ「こっちもそろそろ焼けてきたな」
エステラ「じゃあ、食べようか!」
マーシャ「エステラ~。これの名前は?」
エステラ「……ト、トシコ!」
ヤシロ「だから、誰なんだよ!? 今七輪で焼かれてるトシコって!?」
エステラ「じゃあ、ハマグリ食べる! ハマグリは覚えてるしね」
マーシャ「ハマグリかぁ……子供の頃はお世話になったなぁ~」
ヤシロ「お世話? よく食ったのか?」
マーシャ「う~うん。ほら、子供の頃は、ここまで育ってなかったからさぁ~」
ヤシロ「まさかっ、ホタテの前はハマグリだったのか!?」
マーシャ「そうそう。ハマグリくらいで隠せちゃったんだよねぇ~、あの頃は」
エステラ「割と小さかったんだねっ!」
ヤシロ「今でもハマグリでいけそうなヤツが、なにを嬉しそうに」
エステラ「そんなことないよっ!?」
マーシャ「そうだよぉ~。エステラには、こ・れ☆ はい、アサリ」
エステラ「もっと小さくなってるじゃないか!?」
ヤシロ「シジミもあるぞ」
エステラ「怒るよ!?」
ジネット「あの、みなさん……食べ物で、そういったお話は……やめませんか?」
ヤシロ「じゃあ、ジネットも試しにこのシジミを……」
ジネット「懺悔してくださいっ!」




