【後日譚16話あとがき】デリアとレジーナ、結婚生活をシミュレーションする
――レジーナの店
デリア「レジーナー。カナヅチが治る薬くれー」
レジーナ「そんなけったいな薬、あらへんがな」
デリア「じゃあ、溺死寸前のヤツを一瞬で元気にする薬は?」
レジーナ「自分、副ギルド長はんにどんな無茶させとんねんな……」
デリア「男なら、八時間溺れ続けたくらいで音を上げてちゃダメだと思うんだよな、あたいは!」
レジーナ「いや、むしろ死なへんかっただけ大したもんやと思うで、ウチは」
デリア「そうか?」
レジーナ「そうやで」
デリア「なんか、レジーナってさぁ。結婚したら、旦那をすげぇ甘やかしそうだよなぁ」
レジーナ「え? そんな風に見えるかいな?」
デリア「魚の小骨とか取ってやりそうだもん」
レジーナ「そんなメンドイことせぇへんがな。自分はどないなん?」
デリア「小骨か? 噛み砕く!」
レジーナ「違うがな……結婚したら、やんか。にしても、相変わらずダイナミックな食べ方してんねんな……」
デリア「あたいが結婚? …………出来んのか?」
レジーナ「知らんがな。せやけど、する気はあるんやろ?」
デリア「つっても相手がなぁ……………………っ!?(突然顔が赤く染まる)」
レジーナ「おやおやぁ? 今、一瞬、誰かの顔が頭に浮かんだんとちゃうか~? 結婚出来たらえぇ~なぁ~思てる『誰かさん』が」
デリア「ななな、ないないないない! そんな、ねぇよ、あたいとなんか……」
レジーナ「そんなん分からへんやん。可能性はゼロやないで?」
デリア「そ、そう…………かな?」
レジーナ「ほなら、ちょっとシミュレーションしてみよか。もし、その『誰かさん』……ややこしいさかい、ウチら共通の知り合いで、仮に『オオバヤシロ』っちゅう名前にしとこか」
デリア「仮に、だよな!? 仮に!」
レジーナ「そうや、仮にやで(にやにや)。で、仮にその『オオバヤシロ』が自分のことを嫁に選んだとしたら……どんな新婚生活送りたい?」
デリア「嬉しくて死ぬっ!」
レジーナ「新婚生活送ろか!? 楽しぃことぎょ~さんやるんや」
デリア「な、な、何、したらいいかな?」
レジーナ「とりあえず、朝はおはようのチューやな」
デリア「いいのかっ!? 捕まらないか!?」
レジーナ「結婚しとったら大丈夫や!」
デリア「…………凄いな、結婚」
レジーナ「その感想はどないなんやろうなぁ……ほんで、おはようのチューしたら、次は朝食やな」
デリア「その前に、捕ってきた鮭を置きに行きてぇな」
レジーナ「なんですでに一仕事終えてんねんな!? 朝やで!?」
デリア「漁は早朝にするんだよ。けど、ほら…………ヤシロって、朝弱いだろ? だからさ、起こさないように行って、帰ってきたら起こして、で、鮭を置きに行って……」
レジーナ「鮭置いてから起こしぃな、ほなら……」
デリア「は、早く起きて構ってほしいだろ!? ヤシロ、寝起き悪いし、しばらくボーッとして動かないし!」
レジーナ「『オオバヤシロ』は、仮の結婚相手やけどな」
デリア「わっ、分かってるよ! 仮にだよ、仮に!」
レジーナ「ほんで、漁が終わって、朝ご飯食べるのは何時や?」
デリア「15時くらいかな?」
レジーナ「昼、過ぎとるがなっ!?」
デリア「いや、その日の漁は入れ食いでさ! 川漁ギルド総出で捕りまくったんだよ!」
レジーナ「シミュレーションの中で願望が出まくっとるな……ほんで、そんな昼過ぎまでずっと寝とったんかいな、『オオバヤシロ』は?」
デリア「あぁ。あたいがしっかり稼ぐからな! ヤシロは家でゴロゴロしててくれたらいいんだ」
レジーナ「ヒモやがな!?」
デリア「違ぇよぉ! ヤシロには、疲れたあたいを癒すっていう大切な役割があるし」
レジーナ「やっぱりヒモやないか!?」
デリア「じゃあ、鮭をさばいてもらう!」
レジーナ「主夫やね!? それも、負担の限りなく軽い主夫! つまりヒモや!」
デリア「じゃ、じゃあ……仕事場まで、毎日送り迎え……してもらうっ!」
レジーナ「可愛らしく照れてるとこ悪いんやけど……自分、男をダメにするタイプやわ」
デリア「じゃあ、レジーナはどんな結婚生活したいんだよ?」
レジーナ「旦那にしっかり稼いでもろぅて、ついでに家事もしてもろぅて、ウチにも優しくしてもろぅて…………そして、ウチは布団からすら出ぇへん生活を送りたいっ!」
デリア「介護じゃねぇか、それ!?」
レジーナ「そうとも言うな!」
デリア「お前は、結婚したら、お前がダメになるタイプだな」
レジーナ「ちょぅ待ちや……ほなら、あれか? ウチらが結婚したらベストカップルっちゅうわけか!?」
デリア「いや……あたい、お前は嫌だ」




