【57話あとがき】マグダ、もったいぶる
マグダ「……ヤシロ、制服が破れた」
ヤシロ「おいおい、どうしたんだよ? 胸元がザックリ切れてんじゃねぇか?」
マグダ「……実は、さっきエステラが……………………続く」
ヤシロ「いや、今言えよ!」
マグダ「……そこは、明示されたヒントから推測し、推理を楽しむところ」
ヤシロ「そんなこと言われても、『エステラが』なんて言われたら、『ボクより大きくなってないだろうね、確認させてもらうよ』ナイフで服『ザクー』マグダ『あーれー!』くらいしか想像出来ねぇよ」
エステラ「ボクがそんなことするわけないだろう?」
ヤシロ「お、おぉぅ……いたのかエステラ」
エステラ「いたよ、ずっとね……」
ヤシロ「いるならいるで、陽気に踊りながら『私はこっこ~にい~る~よ』って歌っててくれないと、分かんねぇじゃねぇか」
エステラ「いまだかつてやったことないよ、そんなの!」
ヤシロ「とりあえず、この俺の首筋にぴったりくっついてるナイフ、しまってくれる?」
マグダ「……ヤシロ。口は禍の元」
ヤシロ「そもそも、お前がもったいぶった言い方するからだろうが。結局、何があったんだよ?」
エステラ「実はさっき、表で魔獣に襲われてね」
ヤシロ「魔獣? って、外壁の向こうにいたヤツか?」
エステラ「そこまで凶暴なヤツではなかったけど、すばしっこいヤツでね」
マグダ「……魔獣は、たまに壁を越えて街に侵入してくる」
ヤシロ「マジでか!? 怖っ!?」
マグダ「……それを退治するのも、狩猟ギルドの仕事の一つ」
ヤシロ「で、大丈夫だったのか?」
エステラ「不意を突かれて、危なかったけどね。マグダが身を挺して助けてくれたんだ」
ヤシロ「それで服が破れたのか。マグダ、怪我はないか?」
マグダ「……平気。服と下着と偽乳が損傷しただけ」
ヤシロ「何使ってんだよ……」
エステラ「あ、やっぱりアレ偽物なんだよね!? …………よかったぁ」
ヤシロ「どこに安堵してんだよ……」
エステラ「魔獣はボクが仕留めておいたから、もう心配はないと思うけど、マグダの服がこんな風になっちゃったことには責任を感じてね」
マグダ「……これも、マグダの仕事の一つ。狩猟ギルドの一員だから」
エステラ「だとしても、責任は感じるよ。ヤシロ、お金はボクが出すからさ……」
マグダ「……新しい偽乳を」
エステラ「だったら2セットで!」
ヤシロ「偽乳は作らん。死んでも作らんからなっ!」
エステラ「君はっ、乙女の悩みを軽視し過ぎじゃないかい!?」
ヤシロ「話ズレてるぞ!」
エステラ「ズレるのは偽乳だけで十分だ!」
ヤシロ「だったら話を元に戻せ! 服の話だろう!」
エステラ「はっ!? そうだった。……まったく、ヤシロと話をしているとすぐ脱線してしまう」
ヤシロ「今のは俺のせいじゃねぇだろ!」
マグダ「……ヤシロ。服…………破っちゃって……ごめん」
ヤシロ「いいよ、服くらい。よく頑張ったな、マグダ」
マグダ「…………ふふ、もふもふするといい」
ヤシロ「じゃあ、すぐに新しいの作るか。修理するよりそっちの方が早いだろうし、その服は捨てちまおう」
マグダ「……じゃすとあもーめんとぷりぃず」
ヤシロ「……どういうつもりだよ『強制翻訳魔法』? 何を思ってそう訳した?」
マグダ「……この破れた服は…………」
ヤシロ「なんだよ?」
エステラ「ヤシロ。君は本当に女心が分かっていないんだね」
ヤシロ「何がだよ?」
エステラ「あれは、ヤシロにもらったものだから、思い入れがあるんだよ」
ヤシロ「そんなもんか?」
エステラ「ボクも女だからね。その気持ちはよく分かるよ」
ヤシロ「へぇ……」
マグダ「……ヤシロ、この破れた服…………」
ヤシロ「とっておきたいのか?」
マグダ「……破れ具合がセクシーだから、需要あるかも?」
ヤシロ「エステラ。違ったみたいだぞ」
エステラ「あれぇ……?」
ヤシロ「とにかく、破れた制服は脱いどけ。すぐに作るから」
マグダ「……分かった。全裸待機する」
ヤシロ「そんなもんは求めてねぇよ!」
エステラ「ヤシロ…………君は……」
ヤシロ「求めてねぇっつってんだろ!?」
マグダ「……全裸といえば、マグダ、この前…………………………続く」
ヤシロ「だから続くなってのに!」




