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異世界詐欺師のなんちゃって経営術【SS置き場】  作者: 宮地拓海


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【55話後感想返し】ロレッタ、ちょっと成長しました

ロレッタ「お兄ちゃ~ん……ちょっとお願いがあるです」

ヤシロ「なんだ? 金ならないぞ?」

ロレッタ「お兄ちゃんから借りたりしないですよ!? 店長さんからきちんとお給料もらってるですから!」

ヤシロ「じゃあなんだ? また弟妹が増えるのか?」

ロレッタ「それは…………否定出来ないですけど……でも違うです!」

ヤシロ「じゃあなんだ?」

ロレッタ「制服を少し大きくしてほしいです」

ヤシロ「どうした? サイズはピッタリ作ったはずだが?」

ロレッタ「最初はピッタリだったです。……でも最近ちょっと……」

ヤシロ「どうした、太ったのか?」

ロレッタ「なっ!? ち、違うです! その……胸が、ちょっときつくなってきて……」

エステラ「太ったんだよ、きっと」

ロレッタ「エステラさん!? 突然出てきて、失礼極まりないですよ!?」

エステラ「胸がきついのはアンダーが増したせいだね。少し運動量を増やすといいよ」

ロレッタ「アンダーは増えてないです! 純粋に胸が大きくなったです!」

エステラ「ロレッタ。いいかい? …………胸が育つなんていうのは、都市伝説なんだよ?」

ヤシロ「いや、それは違うぞ、エステラ」

ロレッタ「ちゃんと食べて、ちゃんと寝て、適度にお仕事していれば自然と育つです」

エステラ「ボクはここ最近ずっと働き詰めだけど1ミリも育ってないよ!?」

ロレッタ「そ、それは、遺伝とか、体質とかあるですから……!」

エステラ「どうせボクは、父も母もぺったんこさっ!」

ヤシロ「いや、父がぺったんこなのは当然だろ。むしろそうでなきゃ困るだろうが」

ロレッタ「あたしは、これまでちゃんとご飯食べてなかったですから、ここで働くようになって、栄養ある物食べるようになってから急に大きくなり始めたです」

エステラ「じゃあボクも、三日食事を抜いて、それから栄養のある物を食べるよ!」

ロレッタ「そういうことじゃないですよ!? これまでが悪過ぎて成長が遅れていたという話ですから!」

エステラ「そうだ! 遅れているだけなんだよね、成長が! まだまだこれからさっ!」

ロレッタ「お兄ちゃんっ! エステラさんが、『都合のいい言葉しか聞こえないモード』になっているです!?」

ヤシロ「あぁ、もうエステラのことはいいから、お前は仕事をして来い。制服は今晩にでも直してやるから」

ロレッタ「はいです! ありがとうです!」

客A「すいませ~ん!」

ロレッタ「はいはい! 今行くで~す!」


――タッタッタッタッ


ロレッタ「陽だまり亭へようこそです」

客A「この『鮭定食』ってどんなの?」

ロレッタ「お客さん! いいところに目を付けたですねっ! この鮭定食は陽だまり亭の看板メニューですよ!」

客A「へぇ、そうなのか」

ロレッタ「川魚なのに、身が赤いんです! ですが忌避するなかれです! 一度食べたら病みつき、お墨付きです! 焼いた鮭の身はほっこりしていて、箸で軽く押すと『ほろっ』とちょうどいい大きさに切れて、その境目から『ふわぁ~』っと微かに湯気が立ち上って、それに釣られるように鮭の身に振りかけられた塩の香りが鼻の奥をくすぐるです。お箸で持つと『じゅわわぁ~』っと脂が染み出してきて、それをそのまま口に放り込むもよし、一度炊き立てのご飯の上にバウンドさせるもよしです! 口に入れた鮭の身がどうなるのか…………もうここまで聞いたお客さんたちなら想像するのは容易だと思うですが、軽いのにしっかりと詰まった鮭の身からは、塩の香りとジューシーな脂と、そして濃厚なうまみが留まることなく次から次へと押し寄せてくるです。名残惜しみつつも飲み込んだ鮭の身は、確実な存在感をもって食道を通り胃へとしっかりたまり、食後数時間は満足感を与え続けてくれるです。さて、一口飲み込んだところで、続けざまに二口目に行きたいところですが、ここで少し待ってもらって、一度汁物に目を向けてほしいです! 定食に付いてくる汁物は、お味噌汁という大豆由来の味噌と呼ばれる原料から作られた飽きの来ない優しい味なのですが、ここに使われている『出汁』がまたすごいんです! なんと、煮干しを使っているです! 一体この定食だけでどれだけ魚のうまみを味わえるというのですか!? 思わずそう聞きたくなるのも納得の、贅沢な逸品です。どこから手を付けても口とお腹が幸福感に満たされること請け合いです!」

客A「俺、これにする!」

客B「くそぅ! 鮭の二口目の感想が聞きたかったが……それは自分で確かめることにするぜ!」

客C「ねぇねぇ。じゃあさ、この『ミートソースパスタ』ってのはどんなの?」

ロレッタ「お客さん! それに目を付けるとは、さてはお客さん、お客さんですね!?」

客C「あ、あぁ……まぁ、客……だけど」

ロレッタ「これは、ウチの参謀が開発した最新メニューで、とても不思議でユニークな食べ物なんです!」

客C「へぇ! どんなふうに?」

ロレッタ「えっと……なんか…………細長いです!」

客C「へ?」

ロレッタ「あと、赤いです!」

客C「…………へぇ」

ロレッタ「あ、でもでも、パスタは主食なんで割と普通です!」

客C「………………俺も鮭定食にしよっと」

ロレッタ「かしこまりました! 鮭定食三つ入りま~す!」

ヤシロ「ちょっと来い、ロレッタ!」

ロレッタ「なんです? お兄ちゃん」

ヤシロ「お前、なんだよ、さっきのパスタの説明は!?」

ロレッタ「だって…………パスタ、普通ですし……」

ヤシロ「それを美味しそうに説明するのがお前の仕事だろうが! マグダを見てみろ! 俺の言いつけを守ってパスタの売り込みをしているぞ!」

マグダ「…………パスタは、細くて、赤くて……割と普通」

客D「……じゃあ、鮭定食で」

マグダ「……了解した。鮭定食一つ」

ヤシロ「マグダァー!?」

エステラ「なんでもかんでも上手く行くというわけではないという好例だね」

ヤシロ「そうだな……栄養あるものを食べても育たないものもあるしな」

エステラ「ジネットちゃん、ボクにも鮭定食! 栄養てんこ盛りで!」

ジネット「は~い! 鮭定食、都合五人前で~す!」

ヤシロ「……くそ、絶対パスタを成功させてやる……!」

エステラ「……絶対、大きくなってやる……!」

ロレッタ「二人とも、ほどほどにするですよ?」

ヤシロ・エステラ「「やるならとことんだっ!」」

ロレッタ「息ピッタリですねっ!?」







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