【52話あとがき】マグダはまだ、十二歳(未成年)だから
※ジネットたちがいる世界では、十五歳になると成人として扱われます。
マグダ「……ということで、マグダには甘える権利がある」
ヤシロ「俺には甘やかしてやる義務がないのだが?」
マグダ「……甘やかすといい」
ヤシロ「いつも、割と甘やかしてるだろうが」(耳もふもふ)
マグダ「……むふー」
ジネット「マグダさんは、本当に撫でられるのが好きですね」
エステラ「『ヤシロに』撫でられるのが、好きみたいだけどね」
ロレッタ「何か違うですか?」
マグダ「……撫でられれば分かる」
ジネット・エステラ「――っ!?」
ロレッタ「じゃあ、お兄ちゃん。あたしも撫でてです!」
ヤシロ「成人は有料になります」
ロレッタ「えぇ~! 店長さん! お兄ちゃんが意地悪です!」
ジネット「よしよし。残念でしたね」
ロレッタ「店長さんは撫でてくれるですのに……お兄ちゃん、出し惜しみはダメですよ!」
ヤシロ「ダメも何も……なんで俺が撫でてやらなきゃなんねぇんだよ」
ロレッタ「みんなが撫でられたいって言ってるです!」
ヤシロ「お前だけだ、言ってんのは」
ロレッタ「みなさん、ここは一つ、あたしに話を合わせてください」
ジネット「え、えっ!? な、撫でられたいと言えばいいんですか?」
ロレッタ「はい。多数決で押し切ります!」
エステラ「しょ、しょうがないなぁ~、ロレッタがそこまで言うのなら、きょ、協力、してあげないわけには、いかないんじゃないかな、ジネットちゃん?」
ジネット「え!? そ、そう…………です、ね」
ロレッタ「というわけで、お兄ちゃん! 多数決をとるです!」
ヤシロ「丸聞こえだったんで拒否します」
ロレッタ「撫でてほしい人~! はいっ!」
エステラ「はい!」
ジネット「は、…………はい」
ヤシロ「………………エステラのスケベ」
エステラ「な、なんでボクだけ!? ボクは、協力を申し込まれたから、それで、仕方なく!」
ヤシロ「じゃあ別に、お前が、『ど~しても』俺に撫でてもらいたくて、『撫でられたら好きになっちゃうかもっ、きゃっ!』ってわけじゃないんだな?」
エステラ「あ、当たり前じゃないか! 誰が、そ、そんなこと……」
ヤシロ「はい、一票減った」
ロレッタ「これは……お兄ちゃんが個別に突き崩していく気です…………店長さん、気を付けてください!」
ジネット「え? 気を付けるって……」
ヤシロ「ジネット」
ジネット「は、はいっ」
ヤシロ「お前は、『ど~しても』『何がなんでも』『是が非にでも』俺に撫でられたいか?」
ジネット「はい!」
ヤシロ「……………………ん?」
ジネット「えっと………………マグダさんを見ていて、たまにですけど……『いいなぁ』って…………」
ヤシロ「……………………あ、そう」
ジネット「あの……ダメ、でしょうか?」
ヤシロ「………………」
ジネット「………………」
ヤシロ「…………今日だけだからな」
ジネット「はいっ!」
ロレッタ「はいです!」
エステラ「うん!」
レジーナ「ほいなっ!」
ヤシロ「なんでさり気にエステラまで入ってきて…………って、お前はどこから湧いて出た、レジーナ!?」
レジーナ「失敬やな、人を美少女型寄生虫みたいに!」
ヤシロ「寄生虫に美少女も何もねぇわ!」
レジーナ「あたちぃ、まだぁ、じゅうななちゃいやからぁ」
ヤシロ「成人してんじゃねぇか」
レジーナ「精神年齢はまだ四歳や!」
ヤシロ「それ自慢出来ることじゃねぇだろ!?」
レジーナ「嫌や嫌や! 撫でてくれへんかったらもう薬作らへんもん!」
ヤシロ「わぁーったから大人しくしろ!」
レジーナ「大人しくする!」
エステラ「……ボク、ほんのちょっとだけ、彼女を見習おうかな」




