【挿話2話後感想返し】エステラが男装のボクっ娘になった理由
エステラ「貴族の世界は舐められるとおしまいなんだよ」
ヤシロ「じゃあ、ベロチュー禁止か?」
エステラ「本当に舐められたら即刻統括裁判所に訴えてるよ!」
ヤシロ「同年代の連中に舐められないように、男として育てられたのか」
エステラ「というか、ほとんど自分の意志でそうしてきたんだけどね」
ナタリア「ですが、最近は美しさに磨きもかかってまいりましたので、男装などせずとも十分威厳を保てると思うのですが」
エステラ「そ、そんなことないよ…………まだ……」
ナタリア「ですが……」
エステラ「ナタリア! ……ヤシロの前でそういうこと言わないで。身内褒めみたいで、恥ずかしい……」
ナタリア「……そうですか?」
エステラ「そうなの! ヤシロにだって呆れられちゃうよ」
ヤシロ「いや、別にそんなことは……」
ナタリア「ヤシロ様。コレは、さる有名な鍛冶師が『我が人生において二度と打てぬであろう傑作だ』と言った最高級のナイフです」
ヤシロ「そりゃスゲェな――なんか、笑えないほど切れちゃいそうだな……」
ナタリア「えぇ、すっぱり切れるでしょうね……ヤシロ様の首くらいなら」
ヤシロ「…………ゴクリ」(汗、たら~り)
ナタリア「そこで質問なのですが、お嬢様は美しいですよね?」
ヤシロ「お前、それは脅迫だからな!?」
エステラ「もう! ナタリア、変なことしないで!」
ナタリア「だ、そうですので、ヤシロ様、変な顔をおやめください」
ヤシロ「大きなお世話だ、コノヤロウ」
エステラ「も~……ナタリアは……」
ヤシロ「まるで母娘だな、お前らは」
ナタリア「お嬢様はそんなに老けていません!」
ヤシロ「なんで自分が娘だと思った!? お前が母親!」
ナタリア「私、まだ、純潔ですのに!?」
エステラ「そう言うと、まるでボクがそうじゃないみたいじゃないか!?」
ヤシロ「落ち着け、お前ら! 母娘みたいに仲がいいと言っているだけだ」
エステラ「…………お母様………………か」
ヤシロ「……あれ? 聞いちゃいけなかった感じか?」
エステラ「いや、問題ないよ」
ナタリア「お嬢様には、あまり奥様との思い出がないのです」
ヤシロ「そうなのか…………そうか」
エステラ「あ、そんな暗い話じゃないからね! 気にしないで」
ナタリア「幼い頃より、私がずっとお世話をしてまいりました。母親に甘えたい盛りのお嬢様を、お慰めしたのも、私です」
エステラ「ナタリア……もう、いいよ」
ナタリア「オネショをしたお嬢様を慰めて差し上げたのも……っ!」
エステラ「ナタリア、黙って!」
ヤシロ「…………なんか、お前も大変だな。エステラ」
エステラ「大変なのは、今みたいな状況の時が圧倒的だけどね……」
ヤシロ「でもそっか……エステラの母親…………」
ナタリア「はい。ご想像の通り…………とても元気な方です」
ヤシロ「生きてんの!?」
エステラ「勝手に殺さないでくれるかな?」
ヤシロ「いや、今の流れだと、完全に死んでるだろう!?」
エステラ「あまり会っていないだけだよ」
ヤシロ「同じ館に住んでるんじゃないのかよ?」
エステラ「……それは…………」
ナタリア「実は、お嬢様は奥様に避けられているのです」
ヤシロ「なんで? 実の娘なんだろ?」
ナタリア「あれは、お嬢様がまだ二歳の頃でした。甘えたい盛りのお嬢様は、奥様に抱っこされている時に………………」
エステラ(二歳)「ままぁ~! おっぱい~!」
エステラ母「おっぱいが、何!? 無いってか!? 悪かったわね、おっぱいが無くて! どうせぺったんこよ! ダッコされてても『アバラが当たって痛いなぁ』とか思ってるんでしょう!? だったら爆乳さん家の娘にでもなりなさい! 母はもう知りません!」
ナタリア「…………ということがありまして」
エステラ「なんでそんなことまで話しちゃうのさ!? 我が家の汚点を!?」
ナタリア「それ以降、奥様はお嬢様を避けに避け続け、現在に至る」
ヤシロ「……なんつぅか…………エステラって…………母親似なんだな」
エステラ「うるさいよ! あの人よりかは少しだけ胸あるよ!」
ナタリア「しかし、奥様は二歳だったお嬢様に『すくすくと育ち、でも胸だけは育つな!』という呪いを子守唄代わりに……」
エステラ「ナタリア、もう黙って! お願い! 汚点が!? 我が家の汚点が赤裸々だから!」
ヤシロ「エステラ……」
エステラ「なにさっ!?」
ヤシロ「………………どんまい」
エステラ「憐れんだ目で見るなぁー!」




