【86話後感想返信】マグダの休日
ヤシロ「マグダ。ここ最近働き詰めだろう。明日一日ゆっくり休暇を取ってもいいぞ」
マグダ「……クビ?」
ジネット「違いますよ! ほら、昨日まで外壁の外まで狩りに行かれていて、今日もお子様ランチの反響で忙しかったですし」
マグダ「……いらない子?」
ジネット「違います! 全然そんなことないです! マグダさんは必要です! もう、一生この店で馬車馬のように働いて欲しいです!」
ヤシロ「その発言はどうかと思うぞ、ジネット……」
ジネット「はぅ……で、ですが……」
ヤシロ「マグダ。実はな、明日はデリアが手伝いをしたいって言ってるんだ。川魚の保全のために一週間漁を休むんだと」
マグダ「……それは聞いている」
ヤシロ「で、同じ日にパウラもウチで武者修行したいとか言い出してな……断り切れなかった」
ジネット「おまけに、ネフェリーさんが『じゃあ、ついでに私も』とおっしゃってくださって」
マグダ「……足手まといどもがわらわらと?」
ジネット「マグダさん。皆さん、好意でおっしゃっていることですので……」
ヤシロ「でな、折角だからいつも頑張ってるお前やロレッタに休みをやろうってことになったんだ」
マグダ「……そう」
ヤシロ「明日一日ゆっくりして、明後日からまたモリモリ働いてくれ」
ジネット「働く時の音はモリモリでいいんですか?」
マグダ「……そういうことなら……分かった。明日は休んで明後日からばいんばいん働く」
ジネット「その音もどうかと思いますけどもっ!?」
――そして翌日。マグダお休みの日の大通り
マグダ「……買い物でもしてみるなう…………ん?」
妹「ぽっぷこーん!」
妹「今だけ大盛りー!」
マグダ「……由々しき事態」
妹「あー、まぐだっちょー!」
妹「わーい! まぐだっちょー!」
マグダ「……勝手にサービスを始めてはいけない」
妹「お客さん喜ぶよー?」
妹「いいことー」
マグダ「……それは違う。サービスは投入するタイミングも重要。サービス過多は逆に品質を落とすことになる。ヤシロの判断に従うべき」
妹「そっかー」
妹「先走り過ぎましたわー」
妹「これは痛いところを突かれましたなー!」
妹「はんせいー!」
マグダ「……分かればいい。少し手伝うから、頑張って」
妹「「「「わーい! まぐだっちょ好きー!」」」」
――夕方、ニュータウン
マグダ「……結局、普通に販売を手伝ってしまった。仕事から離れるために、ロレッタの家に遊びに行こう」
弟「あー、まぐだっちょー!」
弟「棟梁の推しメンー!」
ハム摩呂「陽だまり亭の天使やー!」
マグダ「……ロレッタは?」
弟「ろ、れった…………?」
弟「…………はて?」
ハム摩呂「記憶の、欠損やー!」
ロレッタ「いい度胸ですね、あんたたちっ!」
弟「「わー、ねーちゃんだー!」」
ハム摩呂「姉のDVやー!」
ロレッタ「姉の名前忘れた罰ですっ! お尻ぺんぺん、もしくは、おしりぷるんぷるんです!」
マグダ「……待って。お尻ぷるんぷるんは罰になるの?」
ロレッタ「あれ、マグダっちょ? 何か用です?」
マグダ「……別に」
ロレッタ「……なんかマグダっちょが、どっかの女優みたいです」
マグダ「……実はヒマを持て余している」
ロレッタ「じゃあ、ちょっと手伝って欲しいです!」
マグダ「……なに?」
ロレッタ「海漁ギルドの網にとんでもない物が絡まってて、あたしたちでは手に負えなかったです」
マグダ「……とんでもない物?」
ロレッタ「海に住む魔獣です。物凄く凶暴で、近付くと鋭い牙をガチガチ言わせて威嚇してくるです」
マグダ「……マーシャ、見落とし過ぎ」
ロレッタ「頼めるです?」
マグダ「……任せて。たったの5秒でそいつの息の根を止めてやる」
ロレッタ「……なんかマグダっちょが、どっかの大魔王みたいです」
――夜。陽だまり亭
マグダ「……結局、全然休まないうちに一日が終わってしまった……」
――ドアを開けて中へ入る
デリア「ぬぁわあ! そこどけ、ぶつかるっ!」
パウラ「だから、なんで全力疾走で料理運ぶのよ!?」
ネフェリー「ねぇ! 誰か焼き鮭定食のお味噌汁間違って持って行ってない!? 足りないんだけど!?」
ヤシロ「だぁ! お前ら、少しは周りを見て行動しろ!」
ジネット「あっ! マグダさん!」
マグダ「……た、ただいま」
ヤシロ「助かった! すまないが、今すぐフロアに入ってくれないか!? こいつら全然使えねぇんだ!」
デリア「そんなことないぞ! なんなら百人前だって一度に運べるんだからな!」
パウラ「だから、必要ないものは運ばなくていいの! あと、走るな!」
ネフェリー「あーっ! やっぱりデリアが持って行ってたんじゃない、みそ汁!」
マグダ「…………四十秒で準備する」
ジネット「なんだか、マグダさんがどこかの空賊のようです!」